第190話 リカバリー
「いやいや、だからわしはいいと言っておるじゃろうが。ただな、そういうクレームがあるのも事実なんじゃ」
と、神様はちょっと気の毒そうにそう言いました。
「でもな、それはそもそもはわしのミスじゃからな、それでここに来たんじゃよ」
「一体、何をどうするつもりでここに来たんですか?」
いつも穏やかな太郎が当然のように怒った顔になっています。
まあ、そりゃそうでしょう、結構ぼろかす言われてますから。
「うむ、まあ、なんてのかな、ちょっとばかりリカバリーと言うか」
「りかばりい?」
「簡単に言うと、おまえのその、ひーろーとしてちょっと足りないと言われる部分をなんとかしてやろうかなと、そういうことじゃ」
一体神様は何をどうしようと言うのでしょう。
「ひーろー協会が言うにはじゃな、一番の問題は引きこもりになったことだそうだ」
それを言われると太郎も言い返せません。
「それから、もっときちんとした鬼を倒せと」
確かに「鬼の祭り」に関わる不正は正したかも知れませんが、鬼退治をした、とは言いにくい。
「なんでそうなったかと言うとだな、生まれながらに強く賢すぎたのが原因と思われる。それが原因で無気力から引きこもりになったんじゃからな。だから、普通の赤ん坊として生まれ、それなりの努力をしながら育ったなら、そうはならなかったかも知れん」
まあ、確かにその可能性はあるかも知れません。
「それで、だな、当初の予定通り、じいさん、ばあさんを若返らせて普通の子として生まれ直すか、もしくは、桃から生まれる時にもうちょいポイントを整理して普通の子として生まれ直すか、そのどっちかを選ばせてやろうと思っておる」
それってつまり?
「おまえ、転生してみるか?」
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