第174話 執行猶予

 そうして次に向かったのは、鬼ヶ島管轄の奉行所でした。


 悪徳役人が小さくなりながら門をくぐり、その後ろをあまてらす様とその一座、それからやや小さくなってやらし屋一同も続きます。 


 島での出来事をあまてらす様(そう、師匠は変身してました)が「カクカクシカジカ」とお奉行に事情を説明し、印籠の方にも報告を上げることになりました。


「本来なら、やらし屋一同と、それに力を貸した道を外した役人たちはそれなりの処罰を受けるべきである」


 と、お奉行様がギロリとにらみながらそう言うと、悪徳役人とやらし屋はしょぼしょぼしょぼと小さくなりました。


「だが、話を聞くと来年からの鬼の祭り、ではなくなんであった? うむ、そうそう、戯画市場への協力を約束するとのことで被害者たちからも罪一等を減じてほしいとの申し出もあり、尽力のほどを見せてもらってからあらためて判断をする」


 と、猶予をもらってホッと一安心です。


 あの時、広場で印籠が出た後、あまてらす様たちや太郎が祭りの代表としてお奉行に口添えすることで素直すなおに奉行所へ行くとやらし屋と悪徳役人が約束をしたので、島の者たちもそれで納得することとなったのです。


「そのほうたちの行動によっては、『例のお方』もきっとそれなりに評価をしてくれることであろうから、決して悪いことではないと心得よ」


 お奉行さまにそうとも言われ、


「ははあ!」


 と、お白洲に並べられた元「外道の鬼」側の一味は平伏し、きっと祭りの力になるとあらためて誓いました。


 そして執行猶予を受けた一同と、来年の祭りやその他のことについて色々と話し合い、それを主催者や島の人たちに伝えたり、そんなことをしていたので、太郎が家に帰るのにそれなりの時間がかかってしまったのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る