第173話 盆踊り

 そして、そんな騒ぎを聞きつけた村の人たちも、


「庄屋さんちの梅お嬢さんが許嫁いいなずけを連れて戻られたそうだ」

「おお、それはよかったよかった」

「お金持ちの地主さんの息子さんだそうだ」

「めでたいめでたい、めでたいなあ」


 と、なんともめでたいお盆に村全体も大盛り上がり、鬼ヶ島に続けてのお祭り騒ぎとなりました。


 「天野屋輝蔵あまのやてるぞう一座」も大変身してあまてらす様の登場に、村人たちもぽおっと夢見心地。もちろん梅さんもうずめ様に変身し、家族や村人に修行の成果を見てもらうこととなりました。その結果、いろは達のように来年の「鬼の祭り」あらため「戯画市場」に行ってみたいと言い出す者も増えましたが、今では言われてるほど悪いものでも、怖いものでもないと誤解も解け、村の者たちで集まって、きちんと遊びに行こうか、などとの話も出ていたりします。


 そんな感じでお盆の間、8月13日から16日の4日間プラス、さらにお盆明けの後もまだまだお祭り気分でそりゃもうえらいこと盛り上がり続けとなりました。村ではずっと盆踊りの踊り続け、夜っぴて大騒ぎの日々です。


 それはそれは楽しいお盆を過ごしてはいたのですが、


「このままじゃ浦島太郎の竜宮城みたいに気がついたら何年も経ってたってことになりそうだ」


 と、そろそろ梅さんといろは達の故郷を立つことになり、


「これをどうぞお持ちください」


 と、村の特産品やらなんやらを積んだ荷車と一緒に盛大に送り出され、やっと次の目的地へと向かって動き出しました。


「一度家に帰ったら、またお父さんやお母さん、兄弟姉妹の方たちもうちに招待しますので」


 そう約束して一同は次の目的地へと向かいます。

 その場所とは……

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