第171話 それぞれの道へ

 太郎はみんなと少し離れた場所に梅さんを呼び、思い切って想いを打ち明けました。


「僕と、結婚を前提としてお付き合いしてくれませんか!」

「ええっ!」


 太郎、おそらく人生で一番勇気を絞った瞬間です。

 だけどいきなりそれかあ!

 いや、梅さんもびっくりやろ!


「初めて会った時からいいなと思ってました!」

「はい、あたしも!」


 って、梅もか!


「あの、初めてお会いした時から、星の王子さまのような方だなと思ってて、でもその後は、太郎さん、お優しいし、強いし、かっこいいなって……」

「梅さん……」

「きゃあああああ!」

「すてきいいいい!」

「みんなああああ!」

「え!?」


 なんと、もしかしてとドキドキワクワクしながら洗濯3人娘が盗み聞きをしていたようじゃ。


「聞いてええええ!」

「ちょっと待っていろはちゃん!」

「待てませええええん!」

「洗濯子ちゃん!」

「いいことよおおおお!」


 と、太郎と梅さんが追いかけようとしますが、大声で叫びながら広場に駆け戻ったもので、あっという間にみんなの間に知れ渡ってしまいました。


「なんだなんだなんだーもう一回、火、焚くかあ!」

「焚いちゃえ焚いちゃえ!」


 ってことで、一度消えたはずの篝火を点け直し、今度は太郎と梅さんを取り囲んでみんなでお祝いの大騒ぎです。

 結局、みんな一睡もしないまま朝までどんちゃん騒ぎ。明るくなってきてから、ようやくみんな惜しそうに自分たちの行く方向へ別れていきました。


「そんじゃ来年な~」

「おう、再会を楽しみにしてる」

「みんな~達者でな~」


 少しずつ島から離れていき、島に最後まで残ったのは太郎と、「天野屋輝蔵あまのやてるぞう一座」と、それからやらし屋ウィズ元外道の鬼たちだけとなりました。


「さあ、これからどうする?」

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