第161話 祭りの後

 こうして、祭りの2日目は思わぬスタートになったものの、とても穏やかな一日になりました。


「さあさあ、今年の祭りはこれで終わりだよ、名残惜しいがまた来年のために気持ちよく終わろう!」


 主催者がそう宣言し、残念そうな声の中、みんなが互いに拍手を送り合い、後片付けに入ることになりました。


「この後はどうなるんですか?」

「この後は後夜祭こうやさいですよ」

「後夜祭?」

「ええ、前夜祭があったでしょう、あんな感じで今夜も残れる人だけで、もう使って終わった機材を燃やしながら、周囲に集まってじっくりと見届けるんです」

「そうなんですか」

「うずめ」

「あ、はい」


 太郎がうずめ様と話していると、今日も一筋も乱れず一日を終えたあまてらす様が声をかけてきました。


「さて、祭りも終わり。後夜祭のためにあたくしたちも後片付けに入りましょう」

「はい。じゃあ太郎さん、後ほど後夜祭で」

「あ、はい」


 太郎は並んで離れていく美しい2人の背中を見送り、小さくため息をつきました。


 なんてお似合いの美しくキラキラしい二人でしょう。

 とても自分が入る余地などなさそうです。


「太郎さん」

「あ、洗濯子ちゃんたち」

「あたしたちも着替えてきます」

「犬、猿、雉、かわいいのに」

「そうでしょ?」

「でも決まりなんです、祭りが終わったらそこから鬼は人に戻るので」

「そうなの」

「はい。なのでみんな普段の姿集まって、祭りの名残りを燃やしながら普通の生活に戻っていくんです」

「って、聞いた話で、あたしたちも初めてのことなんですけどね」


 そう言って3人で肩をすくめてクスクスと笑う。


「だから、太郎さんも着替えた方がいいですよ」

「え?」

「その扮装かっこいいですけどね」

「いや、これは……」


 太郎のこれは扮装ではなく、素の旅姿なんですが、勘違いされるのもあれなので、着替えることにしました。

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