第142話 一回戦
「ほれえ、一番乗りじゃあ!」
「おう、とっととその本売れやあ!」
「よこせえ!」
「外道の鬼」たちは出見世の主人たちに大声でそうわめきたて、持っている武器をぶんぶんと振り回してします。
「いや、やめて!」
「これはちゃんとした鬼たちに売る本だ!」
「そうよ、おまえたちなんかに売るもんか!」
見世の主人たちは必死にそう言って抵抗しますが、
「痛い目見たくなかったらとっととよこせやあ!」
「金払えば客だろうがあ!」
「それとも一発くらいたいかあ!」
そう言って、本をかばっている店主たちのあちこちを掴み上げ、中には吊し上げているやつまでいます。
「なんてひどいやつらだ!」
太郎は思わず駆け出し、矢のような速さであっという間に騒ぎの起きている出見世までたどり着くと、
「やめろお!」
騒いでいる外道の鬼たちの首筋をむんずとひっつかみ、次々と放り投げました。
「うああああああ!」
「何しやがるこのやろう!」
「やりやがったなあ!」
ぶっとばされた外道の鬼たちも、そういう争いごとには慣れているらしく、すぐに立ち上がって太郎に向かってきました。
「えい!」
太郎は、みなさん忘れているかも知れませんが、生まれつきがああで、成長の仕方がこうで、そしてその結果の今なのです。簡単に言いますと強い子なのです。
もう一度立ち上がり、群がってくる外道の鬼たちをもう一度叩き伏せ、
「むぎゅう」
「きゅう」
「ほへ~」
と、ダウンさせてしまいました。
「太郎さん!」
「かっこいい!」
「すてきー!」
その様子を見ていろは3人娘が大喜び。
「なんだと!」
「くそっ!」
「あいつ、ただじゃおかねえ!」
そんないろは達の後ろからそんな声がして、
「やっちまえええええええ!」
最初に出見世にたどり着いた数倍の数の、外道の鬼と思わしき一団が太郎に向かって走り出しました。
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