第135話 初日終了

「自分で絵を描きたい人は自分で描いて、描けない人は絵姿を買って、そこに花押を描いてもらうんです」

「なるほど」


 太郎はいろは達に色々と説明を聞きながら、あまてらす様たちを見ていました。


 本当にきれいです。キラキラキラキラ輝いています。

 他にもたくさんの人がキラキラしていますが、あまてらす様のキラキラ度は他の人とは全く違いました。


「おきれいね~」


 いろはたちがうっとりとため息をつきます。

 なるほど、これはうずめ様が惚れ込んで、家を出てでも弟子になりたいと願うはずです。


 たくさんの人がキラキラの人たちを取り巻いて、絵を描いたり差し出したりしていますが、いっとう列が長いのは、やはりあまてらす様、そしてその次はうずめ様のようでした。


 そうこうしているうちに夏の長い日もかなり傾き、初日のいべんとの終了時間が来ました。


「さあさあ、後はまた明日だよ、2日目もお楽しみに!」


 主催者がそう宣言し、みな、見世を畳んだり、片付けたりしてそれぞれが今夜過ごす場所へと戻っていきました。


「おつかれさまでした」


 うずめ様が太郎たちを見つけ、そう言って近寄ってきました。


「うずめ様こそ!」

「おきれいでした!」

「本当!」


 3人娘はきゃあきゃあ喜びます。


「お団子はたくさん売れましたか?」

「あ、はい、おかげさまで完売です」

「それはよかったですね」


 うずめ様は一日中がんばったのに化粧も着付けも崩れてなくて、まさにプロという感じだったので、太郎はますます感心してしまいました。


 と、


「うずめ」


 誰かが太郎の後ろから前にいるうずめ様に話しかけてきました。


「あ、あまてらす様」


 いろは達の声に驚いて太郎が振り向くと、そこにはやはり髪一本崩れぬお姿のあまてらす様が、ニッコリと笑いながら太郎を見ています。

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