第133話 きゃんぎゃる
やがてたっぷりの団子が煮上がり、それを「へぎ」の上に乗せていく頃になると、洗濯娘いろはたちが、また新しい本や、何か分かりませんがこまこました物を抱えてうれしそうに戻ってきました。
「もういいの?」
「はい、今日はこれで」
「明日もまだもう一日ありますから」
「そうそう、明日もまたげっとしますよー!」
「そうか、よかった」
いろはたちの笑顔を見て、太郎も思わず笑顔になります。
「じゃあ、それを宿にしまってきたら手伝ってもらえるかな」
「はい!」
3人娘は宝物を置いてくると、太郎の見世で売り子を始めました。
「これでよし」
太郎は「日本一」の
「おばあさん印の太郎団子」
と書いた幟を並べましたので、まるでお団子が日本一のように見えます。
「じゃあ、売っていこうか」
「はあい!」
3人娘はそれぞれ、犬、猿、雉の扮装で、しっぽを振り振り、
「おいしいお団子どうですか~、わん!」
「1つ食べたらお腹いっぱい、栄養たっぷり~、きいきい!」
「安くておいしい太郎団子~、けーん!」
と、それぞれの鳴き声を織り交ぜながら宣伝をしていきます。
「おっ、おいしそうだな、ちょうど腹減ったし1つくれよ」
「ありがとわん!」
「こっちも1つ!」
「今すぐきいきい!」
「こっちにもちょうだい!」
「ありがとけーん!」
あれだけたっぷりと茹で上げたお団子が、みるみる売れていきます。
「これは急いで作らないとすぐ売り切れそう!」
太郎は急いで鍋に湯を沸かして追加していきます。
「うまいなこの団子」
「本当おいしいわ」
「1つ食べたらお腹いっぱい」
お団子の売れ行きは大好評、あっという間に販売予定を売り切って、
「本日完売となりました、ありがとうございます!」
早々に店じまいとなりました。
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