第107話 お供します

 太郎が3人の洗濯娘にきなこをかけたお団子を渡してあげると、


「ありがとございます~」

「助かりました~」

「お腹空いた~」


 と、はくはくとお団子にかぶりつきました。


「急いで食べるとむせるよ、ほら、お水も」


 水筒を渡してあげると受け取って、団子を食べては水を飲み、水を飲んでは団子を食べて、あっという間に1つずつ食べ終わってしまいました。


「なんか、まだまだ足りないみたいだね、ちょっと待って」


 太郎は急いでお湯を沸かし、お団子を戻す準備をします。

 そしてその間に話を聞くことにしました。

 何しろお湯で茹でても戻すのに30分はかかりますので。


「でもまあ、とりあえず1つ食べたら少しは落ち着いたよね?」

「はい、おかげさまで」

「生き返りました」

「落ち着きました」


 3人は今ではもうなんだかキテレツな扮装を見られるのも慣れたのか、リラックスして太郎の前に鎮座ましましています。


「本当、一体どうしたの、その姿は」

「えっと……」

「それは……」

「理由が……」


 3人でもよもよと言いにくそうにしていたのですが、


「何にしてもそんな姿を見たらほっとけないよ。いいから理由を話してごらん」


 太郎にそう優しく言ってもらったのと、ここで何も言わずに黙っていてお団子のおかわりをもらえなくなっても困るなと思って、ぼちぼちと事情を話すことにしました。


「実は……」


 3人が話したのは、思いもかけない話でした。


「はあ、なるほどねえ、そういうこと」

「はい」

「そうなんです」

「すみません」


 謝るようなことではないのですが、それだったらそうと言ってくれてたらよかったのに、と太郎は少しだけ思いました。


「まあいいや。ってことは、目的地は同じってことだよね、一緒に行こうか」

「はい!」

「ぜひ!」

「お供します!」


 ということで、太郎は3匹、じゃなく3人のお供と一緒に鬼ヶ島を目指すことになりました。

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