第105話 お腰につけたきび団子
太郎は何の声なのかなと思いながらと考えながらも、まあいいや休憩しようと予定通りに植え込みの隣の岩に腰掛けました。
ガサガサガサ、おばあさんのお団子を取り出してお昼ご飯です。
おばあさんの「アルファ団子」じゃなくて正式名称「きび団子」は、雑穀の
このお団子、水で戻して1つ食べれば、もうそれでお腹いっぱい元気百倍という、まことに非常食や保存食、携帯食としてばっちりの一品に仕上がっていたのです。
太郎はお団子を5つ、筒に水と一緒に入れて腰に下げていました。これだけあれば一日に十分な数です。
一つを一緒に荷物に入れてくれていた「へぎ」の上に出し、その上から筒に入ったきなこを薄くまぶしました。
「へぎ」とは、木を薄く削って紙みたいにしたものです。木の目に沿って薄く削ることを「へぐ」と言って、そうやって薄くしたものを「へぎ」と呼ぶんです。
今でもおまんじゅうなんかをそれに包んで売っているところもありますね。
もう少し分厚く削って、お赤飯なんかの入れ物のフタになってる木のペラペラしたの、あれも「へぎ」ですし、鏡餅を乗せる「三宝」と書いて「さんぼう」と呼ぶ台みたいな物、あれも「へぎ」で作られています。
その「へぎ」を紙皿みたいに使えるように、太郎が団子を食べる時に困らないようにと、そんなところにまでおばあさん、気をつかってくれていました。
それを一口パクリ。
もちもちもちもち。
じっくり味わって食べていると、どこかから視線を感じました。
「あの~太郎さん、そのお腰につけたお団子、あたしたちにもいただけませんか?」
え、誰?
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