第81話 レジェンド

「よし、これでいいでしょう」


 おばあさんは満足そうな顔で満面の笑みを浮かべました。


 そう、完成したのです。

 あの、「アルファ団子」が!


 ぱっと見たところは白くてかちかちの丸い物体です。

 とっても食べられる代物しろものとは思えません。

 多分、食べ物だと思って口に入れて噛んだら歯が折れるでしょう。

 というか、説明されないと食べ物だとは思わないはず。


「ところがところが」


 おばあさんがにこにこしながらその白いモノをお茶碗に入れました。


「かちーん」


 やはり食べ物らしくない音がします。


「ここにこうして」


 おばあさんは湧きたてあっちあちのお湯をどぼどぼとお茶碗にそそぎました。


四半刻しはんときばかり待てば、元のやわらかくておいしいお団子のできあがり~」


 四半刻って、30分かい!

 結構待たせるな!

 

「という方のために」


 って、聞こえてるの?


「こうして」


 と、おばあさんは竹でできた水筒に「アルファ団子」を2つほど入れて、


「水を入れて」


 と、栓をしました。


「こうして一晩寝かせれば」


 と、その横にあった水筒と交換し、


「これは前もって昨夜から水に入れてあった分ですが」


 と、そちらの水筒の底のフタをはずして、


「あらあら、どうでしょう」


 と、ぶんぶんと振ると、


「ぼてっ」


 そんな音がして、竹の皮の上に白くて柔らかくておいしそうなお団子が2つ、出てきました。


「ほら、おいしいお団子ができましたよ」


 なるほど、水に長時間漬けることでじっくりとアルファ化して元のお団子に戻ったようです。


「前もっていくつかこうして戻しておけば、いつでもお腹が空いた時においしいお団子が食べられるというわけです」


 パチパチパチパチ! 

 まるで通販番組のレジェンドなにがしという方の実演のように「それいただくわ」とか言ってしまいそう。

 とりあえず、おばあさんの方は満足する結果が得られたようですが、さて、おじいさんは?

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