第42話 寝て起きて食べて
あの日、
「ちょっと寝たい」
そう行って太郎が自分の部屋へ入ってしまった後、
「とりあえず寝かせておいてやりましょうか」
「そうだな」
そう言っておじいさんとおばあさんは心配して、ちらちらと部屋の中を覗きには行きましたが、太郎が起きてくるまでは声をかけずに様子を見てました。
そうしたら、太郎は寝る寝る寝る寝るねるねる寝るね、ってぐらい寝る。
「どうしたんでしょうかねえ」
「心配じゃのう」
そうして、
「太郎、太郎や、お腹が空かないのかい? お便所には行かないのかい?」
ゆっくりと揺り起こしてみたら、
「ううん、まだ寝たい」
そう言ってさらにねるねる状態を続け、3日ほどしてやっと起きてきて、
「お腹が空いた」
そう言って、がしがしとご飯を食べて、冬眠のクマぐらい食べて、食べて食べて食べ食べ食べて、そしてまた寝てしまいました。
そうして寝て、起きたら食べてを繰り返す生活が3か月ぐらい続きました。
「まるでクマ太郎になったようだ……」
おじいさんがそう言って嘆くような生活をしばらく続けて、
「ああ、すっきりした!」
そう言って太郎がすっきりした顔で起きてきたので、これでやっとそんな生活が終わったと、おじいさんとおばあさんはホッとしたものでした。
ところが、そうやって起きてきても、太郎はぼ~っと座ったまま、部屋の中でじっとしたままです。
「太郎や、久しぶりに山へイノシシでもとりに行くかな?」
おじいさんがそう声をかけても、
「ううん、行きたくない、ごめんね」
そう言って座ったままです。
「太郎や、久しぶりに川を見にいこうかね」
おばあさんがそう声をかけても、
「ううん、行きたくない、ごめんね」
何を言ってもそういう感じ。寝ていない時でも部屋の中でじっと座ったままでいるようになりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます