第31話 太郎ちゃんに叱られる
あっという間に時が過ぎ、太郎は5歳になりました。
いや、めんどくさくてぶっとばしたわけじゃありませんよ?
そのぐらい子どもの成長ってのはめざましいってことなんです、うん。
5歳になった太郎は強い体と賢い頭、そして整った顔立ちの子どもに成長しています。
「おばあさん、僕がそれ持つよ!」
「おやおや、ありがとう太郎」
さっと駆け寄って洗濯のカゴを背負い、おばあさんと手をつないで川に洗濯に行くようになりました。そうそう、歌もかなり上手です。
「おじいさん、今日は一緒に行くよ!」
「おうおう、そうかい太郎」
さっと道具を担いでおじいさんと手をつなぎ、やはり登山気分で鼻歌を歌いながら山も行くようになりました。
「ねえねえ、おじいさん」
「なんだい太郎?」
「イノシシの肉はとってすぐに食べないで寝かせてから食べるのに、ヤマドリは寝かせないのはどうして?」
「え、えっと、それはだな」
人の5歳はコミュニケーション能力、理解力、記憶力、言語能力などがぐんと発達し、ちょっとした反抗期のような時期を迎える頃です。この頃になるとなんでも自分でできるという自信がついてくることもあり、こんな風に大人に挑戦的な態度を見せることも出てきたりもします。
「ヤマドリはその方がおいしいから、かな」
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
「わあっ!」
「ヤマドリを寝かせないのは~体が小さいから~」
「え?」
「ヤマドリは体が小さくて肉が少ないでしょ? だから寝かせたら柔らかくおいしくはなるけど、その分食べられる部分が減ってもったいない、だから多少硬くても調理方法を考えておいしく食べる方がいいから、なんだよ」
「そうなのか! 本当に太郎は賢いなあ」
「本当に太郎は賢くてかわいいいい子ですねえ」
「本当だなあ、こんな素晴らしい子は世界中探してもいないだろう」
何を言ってもやってもこんな感じ、おじいさんとおばあさんはすっかり親ばかちゃんりん全開です。
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