第24話 太郎キック!
「どうやら今までの訓練は無駄だったようじゃのう……」
「ええ……」
2人はものすごくがっかりしました。
よくよく考えてみたらあんな怪力、丈夫な太郎です、あのぐらいのおもり、負荷でもなーんでもない。そんなことに気がついてなかった自分たちにがっかりしたのです。
「まあ、またよく考えてみよう」
「ええ、元々あんな胡散臭い本の言ってるインチキ臭い修行方法ですしね」
と、なんだかカルトの洗脳から解けた人みたいに言っている2人でした。
翌朝、おじいさんはまた何かいい方法がないかを仕入れるために朝市に行き、おばあさんはいつものように川に洗濯に行きました。
太郎はまだ歩けません。あれだけ筋力があれば歩けても不思議ではないんですが、そのへんは人としての形を成すためとかなんとか、人類の進化としての決まりがあるのかも知れませんね。とりあえずつっこまないこと。
「さあ太郎、そこで大人しく待っていておくれよ」
「きゃっきゃきゃっきゃ」
おばあさんが背負いかごを置いて、そこからすっと太郎を引き抜こうとした時、
「きゃっきゃきゃっきゃ」
太郎が足を屈伸のようにして大地を蹴る格好をします。
「あらあら太郎、立っちしたいのかい」
「きゃっきゃきゃっきゃ」
「どおれ、よいしょっと」
おばさんあひょいっと持ち上げて太郎をかごから出し、地面の上に立たせてやると、
「きゃっきゃきゃっきゃ」
うれしそうに何回も大地をキックしています。
赤ちゃんってこうして立つ訓練しているんですよね。
「そうかい、楽しいかい」
「きゃっきゃきゃっきゃ」
何回も何回もジャンプするように地面を蹴っては喜ぶ太郎。
「そうだ!」
おばあさんはうれしそうにキックを続ける太郎を見ていてひらめきました!
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