第19話 おばあさんの宣言

「大丈夫、みたいだな……」

「ええ」


 おばあさんはうれしさのあまり涙ぐんでいます。


「ま、まあよかった」


 おじいさんはちょっとドキドキしながらも、おばあさんがこれからも思いっきり太郎をギュッとできると分かって安心もしました。

 どの程度まで太郎の強度があるか調べておかないと、うっかり力を入れすぎてつぶしてしまったりしたら、泣くに泣けないですからね。


 おばあさんは、


「よかった、太郎や、これからもずっとおまえのことをギュッとできるよ」


 と、太郎をギュッとしてはきゃっきゃきゃっきゃと喜ばせていましたが、しばらくすると、太郎を囲炉裏端の暖かい場所に寝かせ、じーっと太郎の顔を見つめてだまーってしまいました。


 じっと太郎を見つめるおばあさんの横顔。

 じっとおばあさんを見上げる太郎の横顔。

 まるで聖母子像のようです。


 おじいさんはそんな2人を見て、いい光景だなあとほのぼのとした気持ちになりました。


 最初のうちは、おばあさんと太郎の破壊力を知って困惑しましたが、2人に対して思っていた気持ち、大事で大好きで、ずっと守っていってやりたい、その気持が変わるわけではありません。

 

 段々と暗くなる室内、いろりの炎にゆらゆら照らされながらじっと見つめ合ってる母と子。


(いや、正確には母と子ではないけどな)


 と、おばあさんが聞いたらまた屁理屈とため息をつかれるだろうなと、自分でツッコミを入れてちょっぴり笑っていると、


「おじいさん、わたし、この子を強い男の子に育てます。そう、ひーろーのように強い子に」


 おばあさんがいきなりきっぱりとそう言ったので、おじいさんはほのぼのとした気持ちをぶっとばされて、身体的だけじゃなく精神的にもおばあさんにくらわされた気持ちになりました。

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