ゼダの紋章 なぜなに質問箱 Part2 第一回技術解析編

耀公明(以下公明)「どもっ、メルヒンの天才ドールマイスターの耀公明です」

耀紫苑(以下紫苑)「どうもぉ、ゼダ女皇騎士団人形番かつメリエル陛下の予備扱いという耀紫苑少佐です」

耀犀辰(以下犀辰)「紫苑の父で先代人形番の耀犀辰です」

メリエル(以下女皇)「そして、進行役アシスタントのエウロペア女皇メリエルです」

公明、紫苑、犀辰「えっ?」

女皇「なによ、なんか文句あるの?」

公明「というかですね、女皇陛下。実はこの回もファイル消失により実質2回目なのですってば」

紫苑「そうなんですよ。技術編に関しては耀家三人で行くという話になってて」

犀辰「というよりそもそもメリエル陛下の乱入があったので、イチャつきや脱線防止のために私こと犀辰パパまでいる仕様に」

女皇「だーから最初から参加してりゃ乱入とかしないでしょ!この中に頭悪い人居ないし、そもそもオツムに自信がない人はわざわざ小難しい話に乱入しようだなんて思わないでしょ。ディーンは前回出てるから入って来ないしヘタレなんだし」

紫苑「早速の爆弾発言ですね。まぁ、確かに剣皇陛下は筋通すからあたしたちを邪魔しようとか考えませんけどね」

公明「まぁでも陛下ならいいのか。もともと陛下も生体演算器っていうハイスペックマシンですからね」

犀辰「それに進行役アシスタントは頭良くて話を理解して適切に仕切れないと」

女皇「じゃ、サクサク行くわよ。まずは物語の軸になっている真戦兵から。もともとトゥルーパーという正式名称を持つ生体兵器なのよね。そして原材料はバラして作り直した龍虫。問題なのは動力源ね。『黒き森の鎮魂歌』ではあたかも電気で動くように描かれてましたが、アレはヘタレディーンの大嘘。なにも知らない一般人に龍虫がベースですとは言えないからなんでしょうけれど、実際のところの動力源ってなに?」

公明「いきなり直球がうなりをあげた剛速球ですね。もともと龍虫を構成している素体というのが主要パーツかつ動力源です」

紫苑「素体というのが一体化した筋肉、内蔵と骨格のようなものです。つまり昆虫がどうやって動いているかという話でありまして、神経系を包む固い皮膜が骨格でそれを包んでいるのが筋肉なんですね」

犀辰「それにとどまらず、どうやら脳の機能まで果たしているようです。つまりは反射的に動くだけでなく、戦略的知性や経験、そして情動まで司っているようなのです。早速というか第4幕冒頭で《虹のフレアール》が登場しますが、龍虫ベースの純粋真戦兵である《虹のフレアール》はもともと傑作真戦兵パーシバルだった過去を持つ魂を持つ存在なのだと剣皇陛下が暴露してますね。そして、フツーに喋ってます」

女皇「まっ、声帯がないので喋っているかのようだけれど、実際はディーンの脳内で処理されている言語変換された元パーシバルの思念信号波ね。そして龍虫と真戦兵は個体ごとに性格と性別のあるヒトってことよね」

犀辰「うっ、コッチの女皇陛下はすんごく賢いというか鋭いですな」

紫苑「ジェラールやルイスの言ってることが正しいのですし、あたしたちも実は“この子”って言ってて魂があることにも薄々気づいてます。そもそも《虹のフレアール》には建造にあたってディーンに縁のあるパーシバルを選んだ。選んだのはあたしです」

公明「紫苑がワンオフカスタム機を作る才能に長けているというのは、覚醒騎士化しても能力値を技術屋に全振りしてるので素体に封じられた魂の鑑定まで出来てしまいます。さすがに僕には其処まで出来ませんし、基礎設計と汎用機を作ることに関してだけは紫苑より上だって話なのです」

女皇「そうよね。公明は汎用性という誰でも使える優秀なものを作ることにかけては右に出る者がいない天才で、潰しの利くものを作らせると低コストでとんでもないものをこさえちゃう。真戦獣レジスタリアンがその典型例ね」

公明「ううっ、真戦獣レジスタリアンについて言われるとなんか褒められている気がしませんけど、ライザーさんに耕耘機がわりを作れと言われて高性能戦術偵察機をこさえちゃいましたのも事実です。早速、強行偵察型のキルアントタイプが第4幕で出てきます」

犀辰「ムコ殿はその筋にかけては中原最高峰とされるリンツ工房さえ凌駕しちゃってますから。話を纏めると動力源は素体であります。ついでに陛下がお尋ねなのは動力中枢のことですよね?言うならばエンジン。生体兵器なのですから心臓部はあります。龍虫の心臓部は素体の一部となっている心臓でして、我々が真戦兵を作るにあたっては真戦兵の心臓部として戦闘中の騎士が座るシート内に内臓しています」

女皇「さすがは犀辰パパさんは多里亜様の旦那様だった方ですね。話が早くて助かります。つまり真戦兵の急所となるのはシート部分。その心臓部が思念信号波の送受信装置ともなっている?」

犀辰「はい。正に龍虫と真戦兵のこころと魂が何処にあるかというと正に心臓ないしは心臓部ということだろうということでして、騎士の脳波あるいはネームレスコマンダーの思念信号波を受信して細かい動作を再現可能なのだということです。二つはよく似ていて覚醒騎士となると脳波がかなり思念信号波に近いものになります。ネームドとネームレスの混種ハイブリッドとなると思念信号波の送受信がネームレスよりも短距離になりますが、テレパシーのようなものであって半径500メルテ内の同族ないしはネームレスに一斉送信されます。群れで行動する龍虫は群れの一部として行動する他の龍虫を介して全体命令を伝達していると考えられています」

女皇「それを複雑化させつつ、個体識別思念信号波で単体にも命令出来る能力者がネームレスコマンダーとその上位種とされる龍皇子たちですね。彼等に関してはハイブリッドの数倍以上の範囲に伝達可能ということ。しかし傍受される危険も伴う?」

紫苑「覚醒騎士の戦闘力の一部とされるのが傍受能力ですね。つまり、なにを命令されたかの判別が可能であり、また龍虫から発せられる思念信号波の解読も可能で、実際にディーン陛下なんかは泣き言の類いまで聞いて、相手が何を考えているか分かって戦ってますし、ある程度の命令の書き換えが可能だということも。名前を持たないネームレスの個体識別思念信号波も--って表現されてますけれど、番外編内でケイロニウスがヴァスイムになりすませているのも--まで承知しているからなのです」

公明「逆にアリアスさんてスゴいのが、思念信号波についてはまったく聞こえてません。外から見た動きと鷲の目による配置確認能力だけで命令系統と命令意図を見破り、光学迷彩稼働状態の龍虫と真戦兵の位置まで把握しちゃってます」

女皇「スレイが魔術師って言われてるとこね。なにしろアタシがさっさと契約しちゃった優秀すぎる指揮官だもん。そして思念信号波のかわりに無線機を使いこなして無線機を内蔵している指揮機への連絡だけで作戦指揮している・・・ってアタシがスレイばっか褒めるとまたいらんこと言われる」

紫苑「やっぱ分かってましたかい。第4幕挿入の『乙女?たちの戦い』では早速イジられてましたケドね」

女皇「意中の公明がいるアンタはほっといてよっ!それでなんだけれど、真戦兵の操縦席内部の構造と機能ね」

犀辰「実はシンプルです。操縦桿はありません。戦闘中の騎士が握っているのは伝達系の一部でもある取っ手でしてこれはシートと直結しています。そして内蔵無線機はこの時代はまだ全機に配備出来ていません。無線機のない機体には指揮機からハンドサインで伝達しています。傭兵騎士団エルミタージュに関してはエウロペアスカウト騎士の機体にはほぼ全て無線機を内蔵しているみたいですがね」

公明「基本は出力制御のためのフットペダルです。アクセルとブレーキでして主に移動時に使います。ただし、神速のルイスさんはナノ・マシンの内燃加速を利用した瞬発力を機動力にしています。つまりフットペダルをドカンと踏んだ上で機体を形成しているナノ・マシン自体の運動を加速させているので神速だとか。細かい事については技術屋の僕らにもよくわかんないです」

女皇「あっそう。へー、ほー、ふーん(棒読み)」

紫苑「親友とか言いながら紋章騎士に関しては陛下は容赦ナシですね。まぁ、フットペダルに関してはメンテナンサーたちにも動かせるようにという配慮です。基本はあたしら整備技術屋は騎士じゃないですから。覚醒騎士のあたしが言うのも変なんですけどね。格納整備時は真戦兵自体が自動的に考えて微調整してます。つまり、フットペダルをチョンって踏むと何処に移動させたいのか勝手に考えて大体あってるのと、ブレーキ踏んで止めたい場所に来ると動きをノロくして大体の位置で直立不動姿勢をとる。仮にうっかりドカンと踏んでしまっても整備区画やメンテナンサー、自分を壊したり傷つける真似はほぼしません」

女皇「自動安全装置付きのオートマみたいね。整備時は直立不動姿勢なんだ?」

公明「ええ。基本的に全高6メルテの全体が見える形でないと損傷部分の正確な確認が出来ませんから。騎士の搭乗時は片膝をついて搭乗口を開口します。こちらに関しては真戦兵の脚部にスイッチがあって押すと自動的にそうした動作をします。覚醒騎士たちは外から叫んでもやらせちゃいますけどね。戦闘時にうっかりボタンに触れることも考慮して普段はプラスニュムでカバーされてます。機密兵器に関しては鍵がかかる仕様になっているようですね。第3幕でウェルリから逃げ出す場面では、タイアロット・アルビオレのハッチ開口キーをエドラス王から剣皇陛下が受け取ったっていうアレですね」

女皇「なるほどなるほど。光学迷彩に関しては?」

紫苑「操縦席内部のスイッチですね。コンシールとコンシールアウトに関しては騎士の手動操作です。覚醒騎士の場合は真戦兵への直接命令でやっちゃいますけどね。そして、光学迷彩の原理も機体の発光現象です。つまり、光ることで光を屈折させるようにプラスニュウムが独特の照り返しを行い周囲の風景に溶け込むということでして、夜間戦闘では逆に目立ちます。なにしろ光ってますから」

女皇「あのニブちんルイスが第2幕のトンネル内でやったっていうアレか」

犀辰「基本的に夜間戦闘はほとんどしません。龍虫も夜襲はほとんどしません。なにしろ龍虫は複眼で真戦兵を捉えますが、闇の中では機能しづらいのと、やはり光学迷彩を利用した発光機能で視界を確保しますけど、目立つのでかなりの危険行為になります。夜は寝て次の日の日中に備えるのがなにより」

紫苑「真戦兵vs真戦兵の場合は夜間戦闘もします。ブラムド・リンク強奪作戦時やナイトイーター捕獲作戦では夜間戦闘してましたけれど、騎士の夜目が利くから出来ることであって新月の晩に大規模にやったなんて話はあまり聞きません。それこそ隠密機動の人たちなんかは修練で身につけてます。星明かりだけでやれるのはディーンとナダっちやセリーナだけでしょうね。単独隠密戦闘ってことです。リンツ・タイアロットのように滑空機能がある機体でも着地地点の確認が覚束なくなります」

女皇「なんかヴァスイムなら上手いことやりそうだわね」

公明「光学迷彩に関してはまだ新しい機能なんです。ネームレス側の技術屋が龍虫に取り込んだせいで真戦兵も獲得した。カナリィみたいな年代物の老朽機体にはそもそもないですし、《純白のフレアール》に関しては僕がミスりました。剣聖機サウダージの改修ということでプラスニュウムを転用しちゃったら、光学迷彩自体はプラスニュウムが白濁化してて使い物にならなかったっていう」

女皇「ていうか龍虫に光学迷彩と自己修復機能取り付けたのってアンタたちでしょ」

公明「ギクッ」

女皇「そもそも狂気持つ名無しの天才技術者ってアンタとジュリ・・・」

犀辰「陛下、陛下、そのあたりで。ムコ殿はともかくその名前出すとネタバレにも程があります」

女皇「まぁカンベンしてあげるわ。それで飛行型真戦兵っていうのが出てくるけど、それの場合は操縦系統がかなり異なるってことなのかしら?」

犀辰「ええ。タイアロット・アルビオレに関してはタイアロットオリジナルとされるゼピュロスに性能的に近づけたものです。もともとタイアロットシリーズに関してはリンツのように滑空機能までは持っていました。早い話、飛空戦艦から投下した後にグライダーのようにある程度飛べます。しかし、上昇機能はなかった」

女皇「ジェットエンジンやプロペラがないものね。『黒き森の鎮魂歌』に出て来るファンダール改カネミツ型の《菊一文字》や《疾風》にはジェットエンジンが搭載されてたみたいだけど」

犀辰「試作試験段階でしたけれどね。しかし、アレはまあフィクションなので」

紫苑「パパ。ゼダの紋章だってフィクションだってば」

女皇「そうだけど、ゼピュロスの飛行原理ってどうなってんの?」

公明「アンタがいうかぁ。もともとプロトタイプの真戦兵には飛行能力があったっていうし、使徒真戦兵にはホントは光の翼があって全部飛べることになってる」

女皇「わね。でもそれってさ、再現セカイ内には重力や揚力がある程度再現されてるけれど、厳密にはないのと一緒だし、ナノ・マシンの属性変化で無効化したなら」

紫苑「おりてこられなくなりますね。そして突然戻すと上からズドンとなりますがな」

女皇「そういうことかっ!でも少しずつ戻すのなら使徒搭載機には出来る。なるほど、飛空戦艦って使徒龍虫なんだわね。だから作り方が分からないのに赤外線レーダー装置だとかかなりの高性能になっている。使徒は《滅日》を超えて存在してきたのだから、終末に近づいた科学技術を取り込んで作られているのだけれど、計器の使い方と装置を維持するのがせいぜいで未熟な時代に新たに作るとかは難しかった」

犀辰「そうですね。原型となっているのが飛行型巨大龍虫ヒュージノーズ。まだ殆ど出てきていないのは出て来ると相当に厄介ですし、ネームレス側の事情ですね。そのあたりについても第4幕で剣皇陛下が暴露してます。寿命のない龍虫は強力個体化すると思念信号波での制御が難しくなる。それをどうにかするのが」

公明「個体融合というネームレスコマンダーの切り札です。その内訳は今後語られることになりますし、ネームド側が使徒との契約と呼称しているのも実は・・・」

紫苑「そろそろストップ。これ以上は第4幕以降に判明する事実だし、技術解析編に関してはPart幾つになるか分からないけれど、まだ続ける予定です」

女皇「そろそろ文字数がおしてきてるからか。ということは、またこのメンバーでお送りするってことでいいのかしら?・・・ということはこのメンバーは次回までの生存が確定してるってことなのか」

公明「そんなわけで引き続きゼダの紋章をお楽しみください」

                  (Part?の第二回技術解析編に続く)

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