第27話 金属の錬金術と採掘 ガイア1817年1月11日〜
ダンジョンに何度も潜ったり、草原で薬草を探してポーションや毒消し薬、抗麻痺薬を手あたり次第作りまくった。出来た薬品は自分で使う分を除いて全てギルドに売却した。
『相変わらず非常識な量を作っているわね。どう?そろそろ
そう言われてステータスを確認すると、
『じゃあ、次は金属の錬金術を教えましょうか。また、素材集めからになるけど、ここのダンジョンで採掘できるわ』
『鉱山じゃなくてダンジョン?』
『鉱山の方が効率良く採掘できるけど、ダンジョンでも手に入るのよ。それにここからじゃ鉱山は遠いのよね』
『遠くても一度行けば、後はGATEで好きな時に行けるようになるから』
『あら、そうだったわね……でも、最初はダンジョンでの採掘の仕方を覚えると良いわ。ミスリル等の魔鉱石の鉱山はどこも枯渇して、ほぼダンジョンでしか手に入らないしね』
地上に出て、冒険者ギルドマウントテンプル支部のすぐ近くにある武器屋でつるはしを買った。鋼鉄製でなかなかの値段だった。アダマンタイト製のつるはしも置いてあったが、高すぎて手が出なかった。重量が有って硬くどんな岩壁も簡単に掘り進められると勧められたのだが……魔鉱石の採掘ならともかく、普通の鉱石の採掘ではオーバースペックらしい。
購入したつるはしを持って、ダンジョンに潜る。2層で方鉛鉱、6層で黄銅鉱、8層で閃亜鉛鉱、12層で錫石、16層で鉄鉱石が採掘できるそうだ。その先にも、銀や金も出る層が有るらしいが20層以降は急激に危険になるらしい。
(この辺りの素材で出来るものっていったら
銃弾を作るためには鉛と銅と亜鉛が必要だ。そして、銃本体を作るにも、工具や治具を作るにも鉄が要る。火薬を使わず、魔法で発砲する為に魔法陣を習う必要もある。しかし、魔法陣を作るために必要なミスリル鉱石は、ここのダンジョンでは採掘出来ないらしく、クエスト発注している。だが、品薄らしくまだ届いていない。どうしてもギルド外の工房が優先されてしまうらしい。
モンスターを警戒しながらの方鉛鉱の採掘はなかなか大変だった。探索魔法で警戒しながら、壁の表面に顔を出している方鉛鉱をつるはしで
そこで曲がりくねった洞窟の先に居るモンスターを探索する為に、魔力量を増やし、強い圧力で壁の中に魔力を押し込むようにイメージする事によって、壁の向こうに隠れているモンスターを探知する事が出来た。
ようやく安心して採掘が出来るように成って安心したところで、あることに気が付いた。壁に魔力が通りやすいところと通り難いところが有ることに。そして、ほとんど魔力を通さないところに方鉛鉱が埋まっていた。これにより壁の表面に出ている方鉛鉱だけでなく、壁の中に埋もれている方鉛鉱をゲット出来るようになり採掘スピードがかなり速くなった。
ただ、つるはしの立てる音にモンスターが引き寄せられて襲ってくるというデメリットも発生したが……
『ヒロ様、方鉛鉱を見つける速度が速くなってませんか?』
『探索魔法で方鉛鉱を見つけられるようになったからね』
『え?探索魔法は地表を調べる魔法ですよ?地面の中を調べる魔法では無いですよ?』
『そうなんだ。壁の向こうの敵を探そうとしてたら、壁の中に違和感を感じたんだよね。で、掘ってみたら方鉛鉱が出てきたんだよ』
実は今日、2層なのでソロで潜ろうとしたら、ナンシーが強引に付いてきたのだ。
『ヒロ様は絶対に採掘に夢中になって、モンスターに襲われるまで気が付きませんから一人では危ないです』
と言い出して引き下がらなかったのだ。
(シロも居るから安全だし、ゴブリン辺りに攻撃をされても怪我なんてしないんだけどなぁ……)
なんて事は思っても言えなかった。女性が親切心でこういう事を言い出した時、無下に断ると後が恐ろしいことになる事は俺でも判る。
半日、方鉛鉱を採掘した後は本部に戻って金属の錬金術の授業だ。
『あら、ヒロ。結構な量の方鉛鉱を採掘してきたのね』
『いや、今出してるのは極一部だよ』
『え?どれだけ採掘してきたの?今日半日しか採掘してないでしょ?』
『この10倍ぐらいかな?邪魔になるからアイテムボックスに入れてあるけど』
『あなた、以前に採掘現場で働いていた事でも有るの?』
『無いよ。探索魔法で壁の中を調べると、方鉛鉱の場所が分かるから効率的に採掘で来ただけだよ』
『え?探索魔法で方鉛鉱を探したの?あなた、とんでもないやり方を考え出すわね。今までそんな探し方、聞いたことも無いわ。まあ良いわ、授業を始めるわね』
今回は大きな乳鉢の様な容器で錬金するらしい。大まかに割った方鉛鉱を入れる。
『じゃあ、始めるわよ。まずは
『え?同時に二つの魔法を使うの?』
『そうよ。大丈夫、戦闘の時も身体強化しながら攻撃魔法使ったりするでしょ?あれと同じよ。慣れればすぐに出来るようになるわ』
数回の失敗を経てなんとか成功した。
『さすが魔力制御4000の化け物ね。こんなに早く成功させるなんて……』
『ちょっと、やれって言ったのはエリザベートでしょ』
『普通は半年とか1年とか練習してやっと出来る技術よ。町の錬金鍛冶師じゃ、一人じゃ出来なくて二人掛りでやっている所も多いわよ。まだ、
『このアクみたいなのを取り除くのね。でも、言い方が違うんだね』
『昔からの慣習っていうのもあるけど、これも素材なのよ。これから硫黄が取り出せるし、運が良いと微量の銀も混ざっているのよ』
ノロを取り除くと、長方形のケーキの型の様な容器をエリザベートが出してきた。
『では、出来た鉛をこの中に流し込んで。この容器一杯で鉛1㎏のインゴットに成るわ。流し込んだら
容器に移し、
『次は、この鉛のインゴットを使って加工の仕方を教えるわね。まず最初にさっきの半分ぐらいの魔力で
エリザベートはインゴットの真ん中だけに
渡された元インゴット、鉛の塊に
『そう、後は粘土細工と一緒よ。
エリザベートはそう言いながらテーブルの上で転がし、円柱状に変形させる。俺もエリザベートを真似て円柱状に変形させた。
『で、ある程度形が出来たら一旦
そう言いながら、円柱の中心だけに
『さらに、表面にだけ
翌日から午前中は方鉛鉱採掘、午後から鉛のインゴット作りをひと月ほど続けた。何トン鉛のインゴットが貯まったのだろう?自分でもよく分かっていない。
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毎週日曜に掲載予定です。
会話の「」内は基本地球の言語を、『』内は異世界での言語という風に表現しています。お互いの言語学習が進むと理解出来る単語が増えて読める様になって行きます。
youtubeで朗読させてみました。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLosAvCWl3J4R2N6H5S1yxW7R3I4sZ4gy9
小説家になろうでも掲載しています。
https://ncode.syosetu.com/n3026hz/
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