ダンジョンアタック⑥


 あれから三層を歩き回った結果、ここはいろんなモンスターの宝庫だと言うことがわかった。

 まずトレントや植物系モンスターが豊富な森。

 食虫植物のようなプラント【F5】、でかいだけのキノコのジャイアントトリュフ【F9】やらでっかいカマキリのラージマンティス【E2】、でっかいフンコロガシのキングスカラベ【E4】などがランクやグレード問わず群生している事が確認された。

 まるで未知の玩具箱だ。


 スカラベやラージマンティスの様な甲殻類は魔法の効きが悪い。

 その上巨大なのでタンク必須。

 武技だけでウェイウェイしてる生徒にとっての鬼門と呼べるべき環境だな。

 俺?

 もちろんサーチアンドデストロイだよ。倒せば手札になるんだ。

 倒さない手はない。

 なお、ズーが直接捕食すと使役はできないので、ズーが痰を吐き出す様に射出したディープコロイド君を媒介に乗っ取る方法で討伐してる。

 そう考えると1番活躍してるのって、スライムと交換したこいつの可能性があるよな、出会った当時は運用方法あるか? って決断を下したが、なかなかどうして悪くない働きを見せている。


 使役の条件は下剋上。

 ランクの低いモンスターで格上を倒す事で新たに仲間になるのだ。

 俺は文字通り空の上から高みの見物さ。日差しが強くて参るぜ。


 なお、使役可能だからって雇用するかどうかは別問題だ。

 今の所マーマン君でも問題ないからな。

 飛行機能を持つでヒュージマンティスに魅力は感じるが、あいつデカすぎるんだよ。

 羽音がバサバサうるさいし、鳴き声もうるさい。

 そんでもって森の生態系の中でそこまで強くないからさ。

 今は倒すだけ倒すコレクションと化してきている。


 使役する側にもメリットが必要なんだよな、残念ながら。


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 同時使役枠【5/5】

 ★コボルドシャーマン:ランクF_グレード4【1/1】

 ☆ディープコロイド:ランクF_グレード4【25/25】

 ★マーマン:ランクF_グレード6【1/1】

 ☆ジャッカル:ランクF_グレード6【2/2】

 ☆ズー:ランクD_グレード1【1/1】

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 ☆使役可能モンスター

 【ランクF】

 グレード1:スライム

 グレード2:ゴブリン、ワーカーアント、コボルドファイター

 グレード3:コボルドシャーマン、ナイトアンツ

 グレード4:トレント、キラーフィッシュ、ディープコロイド

 グレード5:マーマン、プラント

 グレード6:ジャッカル

 グレード7:ーー

 グレード8:ーー

 グレード9:ジャイアントトリュフ

 【ランクE】

 グレード1:ーー

 グレード2:ヒュージマンティス

 グレード3:ーー

 グレード4:キングスカラベ

 【ランクD】

 グレード1:ズー

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 ズーは一匹始末したら、以降現れることはなかった。

 ある意味こいつがボスだったのでは?

 そう思わなくもない。

 最初こそ、ジャッカルの数を増やそうとしたのだが、何か制限がかかっているのか何匹始末しても2/2以上増えなかった。

 グレード縛りでもされてるのだろうか?


 だからってズーを手放すなんてことは考えられない。

 もうちょっと小回りのきく個体が出てきてくれたら、すぐにマーマンと取り替えるんだけど。


 森を越えると足場の悪い湿地帯。

 泥がタンクや物理アタッカーの動きを制限する。

 魔法の効果が乗るのが唯一の救いか。

 魔法アタッカーのコボルドシャーマンはランクこそ低いが思いの外上手く働いてくれた。

 新しく使役可能になったのは、


 鰻に似てるマッドイール【E3】

 中型車サイズの蛙マッドフロッグ【E4】

 デカい蜻蛉、ドラグーンフライ【E4】

 

 サイズがサイズなので奇襲に向かないが、マッドフロッグはジャンピングからのボディブレスで退路を塞ぐのに活躍しそうだ。

 追い回すのはジャッカルがやってくれるし、あとは上空からディープコロイドを射出して始末して回ろう、そうしよう。


 長く伸びる舌でヘイトも取れるし、図体からタンクも張れそうだ。

 狭い場所にも舌を伸ばす感じでいけそうだし、マーマンを解雇してマッドフロッグを雇用する。

 

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 同時使役枠【5/5】

 ★コボルドシャーマン:ランクF_グレード4【1/1】

 ☆ディープコロイド:ランクF_グレード4【25/25】

 ☆ジャッカル:ランクF_グレード6【2/2】

 ☆マッドフロッグ:ランクE_グレード3【1/1】

 ☆ズー:ランクD_グレード1【1/1】

 ─────────────────────────

 


 実際、マッドフロッグの活躍は見事なものだった。

 水陸両用なのは当たり前だが、陸上での行動も問題ない。

 ディープコロイドもお役御免か? と思った時だ。


 ──それが現れたのは。


『ギッ、ギィ』


 トカゲの頭を持つ人形のモンスターだった。

 知性を覗かせる瞳。

 そして身につけた装備から歴史を感じさせる。

 強靭な鱗は魔法を弾き、泥の足場でも地上と変わりなく動ける強敵の登場だった。


 一回層のゴブリン、二階層のコボルド。

 三階層の知的生物はリザードマンか。

 群をなし、さらにはコボルドよりも豊富な才能を持つ。


 リザードソルジャー【E5】

 リザードマジシャン【E6】

 リザードシャーマン【E6】

 ハイリザードマン【E7】


 そして、この三階層の支配者はリザードマンと見ていいだろう。

 Fランクさえ出揃ってないというのに、才能持ちが遭遇してきたどんなモンスターよりも上位の時点で察する。

 寧ろそれ以外がやたら集中してるのだ。

 ここは彼らにとっての理想の地。

 見つかればこっちもタダでは済まないだろう。


 しかし俺にとっては好都合。

 ジャッカルやコボルドシャーマンの代わりが出てきてくれたのだ。

 俺はすぐさま使役可能にして手札を充実させた。


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 同時使役枠【5/5】

 ☆ディープコロイド:ランクF_グレード4【25/25】

 ☆マッドフロッグ:ランクE_グレード3【1/1】

 ☆リザードシャーマン:ランクE_グレード6【1/1】

 ☆ハイリザード:ランクE_グレード7【1/1】

 ☆ズー:ランクD_グレード1【1/1】

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 ハイリザードはリザードソルジャーの上位互換。

 ソルジャーの武技【スラッシュ】より強力な【ハイスラッシュ】や、【ハイドロブレス】と言った魔法も使える。


 そして魔法タイプはマジシャンとシャーマンで迷ったが、マジシャンの攻撃手段がデバフの類だったので、シャーマンにした。

 コボルドとは違い、リザードはパーティへの攻撃力アップ【ストレングスオール】、パーティへの防御アップ【バイタルオール】。

 そして何より回復魔法の【アクアヒール】だ。


 もちろんデバフを重要視していないわけじゃない。

 デバフの1番厄介なところは重複するところだ。

 複数に囲まれて一気に下げられたらどうしようもない。

 しかし、俺は上空に居るのでここまで魔法が届かないのだ。

 制空権の有利を得たのである。

 そして何より一度テイム可能になればいつでも補充可能。

 俺は戦闘をけしかけて文字通り高みの見物というわけだ。


 というか、ディープコロイド君の寄生アタックが強力すぎて手放せないでいる。

 上空から攻撃可能とか強すぎるだろ。

 ズーもちょっとやそっとじゃリザードマンの攻撃を受けない。


 が、一番のウィークポイントは何を隠そう俺である。

 モンスターだけ強くなっても、俺が弱いので見つかったら悪・即・斬! モンスターから見れば俺は敷地内に侵入した不審者だからな。


 入り口付近の水場に戻ってディープコロイドの補充をして、いざリザード狩りじゃー!

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