劣等生のハイランカー〜おまけ集〜
双葉鳴🐟
海斗【学園ダンジョン激闘編】
ダンジョンアタック⑤
二層から降りてきて、最初に目にしたのは湖だった。
目の前に水場があり、辺りは平原となっている。
生憎と俺の手持ちに水場に強い奴は……スライムくらいか。
スライムを餌がわりに湖に投下すると、出るわ出るわ水棲モンスター共が。
最初に出てきたのはマーマン。
強化した★ナイトアンツや★コボルトシャーマンを更にスライムに寄生させてリミッター解除してんのに普通に苦戦した。
まず魔法の効きが悪いという事と、意外と素早いのが挙げられる。
トドメは寄生★コボルドファイターの不意打ちアタックでようやく撃破。
使役可能枠が表示されたらなるほど納得グレード5。
初っ端から上位グレードを引き当てたとは幸運と見るべきか、はたまた続く草原においてお荷物となるかで判断に迷う。
まずはテイム可能状態にしておくのがベストだろう。
テイムは俺の生命線だからな。
続いてキラーフィッシュ。ピラニアの様に鋭い歯を持つ魚だ。
基本的に水の中から出られない為、テイムするのは後回しにした。
テイム枠に変更はなし。
水場では強くとも、こうも平原が続くなら水陸両用が求められるからな。
一時的に★ワーカーアントを解雇して、マーマンを雇用。
水場の他生物を探るのと同時に、弱点を洗い出す。
結果、水場ではマーマンに敵う生物は見当たらないことが判明。
他に潜んでいたのはグレード4のディープコロイドと言うナマズ状のブヨブヨの生物だった。
こいつは基本水中の活用が最優先の個体で、なんとスライムの亜種。ナマズの見た目は敵の目を欺くためのものだった。
この先水場が続くのなら、スライムよりもそっちを優先すべきか?
他モンスターに寄生させた場合のリミッター解除や命令伝達率はスライムよりも上だった。正確には解除させたリミッターの制御も可能と言うのが大きいな。しかし残念ながら陸での活用が厳しいので見送ることにした。
だって寄生オンリーで戦うにしたって、陸で雇用できなきゃ意味ねーし。
水場の検証はこれくらいにして、草原の散策に入る。
今まではずっと穴倉だったのに対し、今度は派手に別世界観を出してる第三層。
晴れ渡る空、照りつける太陽。遠くを泳ぐ様に飛ぶ鳥。
本当にここは地下なのかと疑う程である。
そしてお出まししたのがジャッカル君。
此奴はグレードが高いのか、★ナイトアンツと★コボルドファイターでも苦戦した。若干物理が聞きにくいので、★コボルドシャーマンのバフを乗せてようやく対等になる化け物である。
なお、魔法はよく通るので★コボルドファイターの尊い犠牲によって討伐することに成功した。
なお、ジャッカル君のグレードは6だった。
ここにきてグレード上がりすぎじゃね?
そんな風に思う俺はまだどこかで油断していたのだ。
ここから先が真の試練の場であると言うことを。
◇
「待て待て待て待て、聞いてない! 聞いてないぞッ、どうわっ!」
風景の一部だと思っていた鳥は、モンスターだった!
空からの強襲を紙一重で回避する俺、俺のいた地面を貫く強靭な嘴。再び上空へ飛び上がり、俺の真上を旋回して狙いを定め始めた。
いや、ダンジョン内なんだから当たり前の話なんだが。
生態系のあまりの激変っぷりに思わず唸りを上げる。
なんせそいつのランクが明らかにFじゃないのだ。
これ、やっぱり水場から餌を持ってくるべきだったか?
俺の手持ちの中で1番強いジャッカル君さえ瞬殺する化け物が上空で付け狙ってくるとか、三層って理不尽の塊かよ!
俺は探索者みたいな強化人間じゃないんだぞ!
内心で憤りながら、冷静に分析を進める。あいつを頭上に放置するのは無しの方向で。そもそも危険な奴を放置できるほど俺は強くない。
俺の武器は観察眼とテイムしかないのだ。
そして水場に戻り、マーマンを確保。
二層まで大活躍したスライムを解雇し、確保したマーマンでディープコロイド君を殺しまくって上限いっぱいまで枠を広げた。
どうしてマーマンを増やさずにディープコロイドを増やすか。餌は多い方が良いんじゃないかって?
マーマンは強化するまでは増やすけど、数はいらないかな。
餌が多くても逆に維持する方が大変だ。
あいつ鰓呼吸だからさ、陸での移動が制限されるんだよ。
だから一体の強化マーマンにディープコロイド君を大量投入! ほぼ粘液と言っても過言ではない水分があいつの唯一の取り柄みたいなもんだからな。
そんでその水分はマーマンを地上で生かすための水分だ。
あのクソデカバードのお腹の中から生きて脳まで届くのはディープコロイド君だけ!
そういう意味ではグレードが低くったって活躍させる方法はいくらでもあるのだ。
スライムを雑魚と言う探索者は学園の中にもたくさんいる。
俺でも倒せる雑魚だ。
でも見方を変えるだけでこうまで違う用途が見えてくるのがテイマーの面白いところだよな!
そうしてクソデカバードと直接対決。
★マーマンが陸上で吠える!
しかし呆気なく食われる★マーマン。
計算通り! 俺はほくそ笑み、★マーマンの中にしこたま投入したディープコロイド君による乗っ取り作戦を決行させた。
クソデカバードは余裕の笑みで上空を旋回し、突如その肉体の制御が奪われる。
抵抗虚しく肉体を乗っ取られ、そして俺のそばに降り立つ。
緊急回避した時も思ったけどでかいよな、こいつ。
直立させたら余裕で3メートルはあるんじゃね?
人間と何もかも違いすぎる大型鳥型モンスター。
名前はズー。そしてランクの変動ぶりに思わず吹き出すほどだった。
─────────────────────────
同時使役枠【5/5】
★コボルドシャーマン:ランクF_グレード4【1/1】
★ナイトアンツ:ランクF_グレード4【1/1】
☆ディープコロイド:ランクF_グレード4【25/25】
☆ジャッカル:ランクF_グレード6【1/1】
☆ズー:ランクD_グレード1【1/1】
─────────────────────────
☆使役可能モンスター
【ランクF】
グレード1:スライム
グレード2:ゴブリン、ワーカーアントコボルドファイター
グレード3:コボルドシャーマン、ナイトアンツ
グレード4:トレント、キラーフィッシュ、ディープコロイド
グレード5:マーマン
グレード6:ジャッカル
【ランクE】
【ランクD】
グレード1:ズー
─────────────────────────
はい、クソゲー。
俺は精一杯の評価を学園ダンジョンに送りつけた。
多分倒す想定をしてない回避すべき脅威的立ち位置なんだろうな。
平原で余裕かましてると痛い目見ますよ的な。
それをランクFのグレード4で倒せちゃう辺り、テイマーにとっては相性ゲーな気がするね。
しかしこうもグレードやランクが爆上がりすると戦力不足を痛感させられる。
二層には二層の、三層には三層の戦い方があるって事だよな。
そして二層のモンスターで三層を無双させない為の圧倒的すぎる壁がある。
学園ダンジョンが何層まであるかわからんが、少しだけ気合を入れ直すとしよう。
俺は改めてダンジョンの不思議を痛感すると共に、マーマンの雇用とナイトアンツの解雇を検討した。
ディープコロイドには★マーマンの陸上用補助ユニットと、ズーの体内で待機してもらう様に活用!
陸はジャッカルに★コボルドシャーマンや★マーマンを乗せて高速軌道アタッカーとしての運用だ。
俺はズーと共に空からの奇襲だ。
さぁて、楽しくなってきたぞ!
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