第48話
弟の外見は柔和だからクラスメイトだったとしても親しみやすい男子だと思う。
(それでも恋人になる可能性はあるだろうか?)
今でも十分に恋人以上に仲の良い関係だとは思う。世間一般の姉と弟だって、こんなに日々思いあって生活してはいないだろう。
彼と一緒にいるのはとても楽しいし、心地良い。
「でも」
「智樹は、私のことを」
(本当に私のことが好きなの?それとも、ただ執着しているだけ?)
弟のことは好きだ。それは間違いない。でもその「好き」がどういうものか。
もし自分が男子から告白されていたら――自分はどうするだろう。
「そんなの、OKするわけないわ」
『お姉ちゃん』として慕ってくれる弟を裏切ることになってしまう。自分の貞操は守らなくてはならないのだ。
(でも、もし)
もし智樹がクラスメイトだったなら? もしも智樹と恋人同士になったとしたら? 自分はそれをどう受け止めるのだろう。
浴室で全裸でいる。鏡に映る自分の裸身を見ていると、余計に性的な思考が頭を占めていく。
(でも、私も智樹のこと)
弟としてではなく、異性として見ているのだろうか? それとも家族として守るべき対象として考えているのか? 今までずっと家族としての愛情だと考えていたけれど、それが違っていたら――自分は一体どうなってしまうのだろう。
でもそれを強く自覚してしまったら、自分がどうなってしまうのかが分からない。
(私は……智樹のことを……)
「ああもうっ!なんでこんなにもやもやするのよっ!」
優奈は自分の乳房に手を当てた。そして、ゆっくりと揉んでみる。
より強く揉んでみる。
今度は、乳首を指でつまんでみる。
さらに、今度は――。
どんどんエスカレートしていく。
(ああ、もう!なんなのこれっ!?)
自分はおかしくなったのだろうか? でもなぜ? わからない。分からないけれどとにかく今はこのもやもやの原因を知りたい。そのためには自分が今何をしているのか自覚する必要があるのだ。もっと自分の知らない部分を知らなければ。
今までにないくらい強く乳房を掴み、乳首を指で押し潰すように刺激する。
下腹部も熱くなり、体の奥が疼いている。
(なんでっ!どうしてっ!?)
もっと強くしたら?それとも、もっと激しくしてみたほうが良いのだろうか?
優奈は、さらに自分を追い詰めていく。
(ああっ!ダメ……これ以上やったら……私……!)
その瞬間だった。自分の意思とは関係なく体がびくんと震えたかと思うと全身に電流が走ったかのような衝撃に襲われた。それは今まで感じたことの無い種類の快楽だった。
今までにないくらい、頭が真っ白になった。
(なにこれ……?)
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