第46話

「ああっ……!気持ち良いよぉ……」


 智樹の声を聞いているうちに、優奈もなんだか変な気分になってきてしまった。


(なんか私までエッチなことしたくなってきちゃった)


 そう思うと同時に自然と手が動き出し、目の前にあるものを握りしめていた。そしてゆっくりと上下にしごく。


「ふぁっ!?」


 智樹が小さく悲鳴を上げる。しかしすぐに快感へと変わっていったらしく、

「ああ……」と艶っぽい吐息を漏らすようになった。


 優奈の手の動きに合わせて、彼の身体がびくんと震える。その様子を見ている内に、だんだん自分も興奮してきたらしい。優奈の秘所からは透明な蜜が溢れ出していた。


 彼女の手の中でビクビク脈打つ陰茎。それが限界に達した時、どぴゅっと精液が放出された。


「うわっ!」


 いきなりだったので驚いたものの、優奈反射的にそれを手で受け止めていた。どろりとした白い塊が手のひらの上で溜まっている。


「ごめんなさい、大丈夫?」


 智樹は射精した後は頭がボーッとして、まともに思考ができない状態だが姉を気遣った。優奈はコクリとうなずいた。


 ティッシュで手を拭い、智樹に服を着せる。そして彼が自室に戻ると自分も部屋を出た。


 階段を下りながら、さっきのことを思い出す。


(結構出たわね……それにすごく熱かった……)


 先ほどの感覚を思い出そうとしながら、彼女は浴室へと向かった。


 服を脱ぎ、浴室に入る。一番湯だった。シャワーを浴びながら、手に付いたものの感覚を流し落とす。


 排水溝に流れていく湯を見ながら、優奈は思った。


「赤ちゃんの元……」


 口に出してみる。それがどういうものなのかは知識としては知っている。

もし弟との子供が出来たらどうしようか――そんなことを考えてしまう。

姉弟同士で子供を作るなんてありえないことだけど。


「大変なことになってしまうわ」


 でも……自分にとって弟は異性たり得るのか?


 弟が自分のことをどう思っているのかはわかっている。


 そもそもこの関係はいつまで続くのだろう? いずれ終わりが来るのだろうか。


 弟に彼女でもできれば自然と関心が移るだろう。しかし、何年間も彼は一途に姉に思慕の情を抱き続けてきた。 そんなすぐに心変わりするとも思えない。この関係がずっと続くのではないかと思うと、優奈は少し怖くなった。


 弟と結ばれることなど決してない。


 それは分かってはいるけれど、このままではいけない気がした。いつか一線を越えてしまいそうな予感があった。


 そうなったら、もう戻れないかもしれない。

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