第19話
(でも、しょうがないじゃないか! どうしようもなかったんだもの! 心の中で叫んだが、その叫びは誰にも聞こえなかった)
「姉ちゃん」
呟いてから、布団に寝転がりスウェットパンツの中に手を伸ばした。
彼が自慰をするときのおかずはほとんど姉との淫らな妄想だった。今日はいつもと違うこともあった。
「……くっ」
彼は自分の姉の裸体を想像しながら、自らの性器を弄る。
「うわぁ……」
彼は自分が興奮しているのを感じる。そして、それを自覚すると更に興奮する。
(ああ、俺、こんなに姉ちゃんのことが好きだったんだ)
彼は姉の身体を思い浮かべる。彼の姉は想像の中でとてもスタイルが良い。足も長くて背も高い。
空想の中で彼が姉に近づくと、彼女も彼が何を考えているのかを察したのだろう。慌てて手を振る。
そうして、恥ずかしげに視線を逸らしながら言った。
「だ、だめだよ? 今日はもう……ね? 」
そんな彼女にの言葉の意味するところは明白で、彼は思わず赤面する。
だが、同時に思う。
(本当……何やってんだろうな)
空想の中では何度も体を重ねる関係の姉弟だった。今日は彼女がもったいつける。
(きっと、さっきまで現実の姉ちゃんと触れ合っていたからだろう)
現実の姉がそう簡単に弟に体を許すはずがないから、そう悟って妄想の姉にも少し抵抗された。
姉とセックスする妄想をするのは普段は1日を外で過ごして別れた後からだった。
弟の頭の中で、姉が上に馬乗りになって腰を振る。その光景を思い浮かべているだけで彼は興奮して勃起してしまうのだけれど、 それが現実から逸脱した自分勝手な妄想だった。体型が多少グラマラスに補正されているのは一緒に暮らしている母の影響かもしれない。
姉と接した新鮮な記憶の元では、少しスレンダーでかつ柔らかい実際の感触に妄想も補正される。
しかし表情はどう見ても姉のものではなく、彼の妄想の中では従順でどこか無表情な女性だった。
弟は、それでもまだ諦められないのか、時折こんなことを呟くことがある。
「いつか……お姉ちゃんとあんなことやそんなことしたい」
中学時代は毎晩のように思っていた。
こんなことでは、普通の恋愛できなくなるだろうと、時折妄想の相手をクラスメイトの女子に変えていた。
一般的に中学生では、女子の方が男子より大人びていると言う。しかし時折面会する姉は、実際の年齢歳以上に大人見て感じていた。 比べるとクラスメートの女子は子供っぽく感じる。
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