BRIO・BADASS

#3

内容が変わるようなアドリブや改変はご遠慮願います。

上演時間目安50分

演者様性別不問。性別指定がある役の性別変更不可。

2024.1.30

加筆修正しました。

＜登場人物＞

・キリヤ

旧新宿区営自警団所属。バイク大好き運動神経抜群・超・健康優良児の男性、２１歳。頭は悪いが人懐っこいお調子者。銃による近距離射撃で戦う。

・ジョーカー

旧新宿区の繁華街、ニュー歌舞伎町のド真ん中にあるバイク屋「グリッタールーター」店主。

口が悪い。バイク屋は表の顔、裏では改新宿区の極秘任務を請負う。年齢不詳、性別不問。

・エノン

自警団員の狙撃手、２０歳女性。銃火器の扱いに秀でている。

国家資格、国防狙撃手一級。

面倒みがよく心配性、旧式ＡＩ兵に家族を殺された過去を持つ。

ケガをしたとき左腕に浮かぶ「8」に見える痣が悩み。

・クイーン

ニュー歌舞伎町の歩くシンボル、ドラァグクイーン。「女の勘」がよく当たる

噂好き。毎週コマシアター前広場でドローンとBGMを駆使したミラーボールショーを開催している。元軍人。年齢不詳、性別不問。

・ジャック

旧新宿区営自警団、ニュー歌舞伎町支部の団長。キリヤより年上の男性。

ジャックは通り名だがそのまま使用しており、本名を知る人はいない。キリヤとは自警団創設前からの仲。元暴走族、総長。

－－－－お話はここから－－－－

－5年前、旧新宿区郊外

ジャック：なあキリヤ、お前に帰る所あるか？

キリヤ：…帰る場所なんかねえよ

俺にはこのバイクがあれば良い

ジャック：そのバイクでの試合で俺に負けたのに？

キリヤ：うるせえよ…

ジャック：お前、走り以外に出来ることあるか？

キリヤ：そんなもん…

8年前、空が雲に覆われた時点で無くなっちまったよ

ジャック：なら、新しいことを始めるチャンスだ

キリヤ：新しいこと？

ジャック：ああ、そうだ

キリヤ：暴走族総長が何言ってんだ

どうせあんたも…

走りで負けたら、今の俺みたいになるんだろうな

ジャック：…俺が？

キリヤ：走ることでしか自分を保てない…

あんた、俺と同じ匂いがするんだ

ジャック：へぇー、言うじゃねえか

キリヤ：そうなんだろ？

ジャック：否定は…出来ねえな

だが、俺はこの先を見据えてやりたいことをやる

これから族を解体して別の組織を創る

キリヤ：は？

ジャック：旧式ＡＩ兵からこの町を守る自警団だ

キリヤ：自警団？

ジャック：先日、妹が旧式の自爆に巻き込まれて死んだ

キリヤ：……

ジャック：俺はその時も今日みたいにバイクを走らせて試合をしていた

キリヤ：…

ジャック：当たり前だが、後悔しても妹は戻ってこない

なら、俺みたいな思いをする人間を減らしてやりたい

うちの族にも旧式に家族やダチを奪われたもんがいる

キリヤ：…旧式の自爆は人間、ましてや一般人じゃ防ぐことは出来ないだろ

警察や軍の仕事じゃないのか？

ジャック：警察や軍は旧式の破壊にまで手がまわってないのは、お前も町中見て知ってるよな

キリヤ：じゃあ…俺たちは旧式の自爆に恐れながらこれからも日々生きていけっていうのか？

ジャック：そんな生活なんざ俺はゴメンだ

だったら町中の一般人を旧式から守る団体…自警団を俺が創ってやる

キリヤ：自警団…？

それにどうやって旧式から人を守るんだよ

ジャック：旧式が暴れてる所へ最速で向かい、一般人を避難させてヤツらを破壊する

走り屋集団は機動力もあるからうってつけだろう

キリヤ：まあ…バイクで移動なら速いからな

…慈善事業になりそうだけど、あんたそれでも自警団を創りたいのか？

ジャック：ああ、守れる命があるなら守りたい

……妹が生きていたら自警団を創ることを応援してくれたかもしれない

キリヤ：そうか…

ジャック：キリヤ、お前も来い

そのバイクで旧式から人を守るんだ

－現在、旧新宿区ニュー歌舞伎町「グリッタールーター」

クイーン：キリヤちゃんにそんな過去があったのね〜

よしよし、よしよし、良い子いい子してあげちゃう！

キリヤ：うわ！やめろ！！

擦り寄ってくんな！髭が刺さって痛えよ！！

ジョーカー：(ため息)…お前ら、オレの店でなーにイチャついてんだよ

キリヤ：イチャついてなんかねーよ！

うわ！やめろやめろ！！鼻息かかるんだよ！！

クイーン：あら、レディに向かって鼻息がかかる…だなんて！失礼なキリヤちゃんね〜

エノン：キリヤはともかく、なんで私のバイク修理にクイーンまで来てるのよ

クイーン：久しぶりに女子トークしたくてね☆

エノン：女子トーク？

そんなネタを私に求めるの？

クイーン：ええ、最近新人団員の…イブキちゃんにヤキモチ妬いてそうだなーって思って！ふふふ(笑)

エノン：ヤキモチって何よ

クイーン：ケイトくんのこ・と・よ♡

エノン：はあ？？何よそれ！

ケイトはただの腐れ縁、イブキは生意気で気に食わないけど…

クイーン：良いわぁ〜！青春って感じ〜

ジョーカー：クイーン、ほどほどにしとけ

エノンがすげえ顔で睨んでるぞ

クイーン：あらエノン、せっかくの美人が台無しよ〜

あ、そんなに怖い顔をするなら

アタシと顔の交換しましょ？

それが良いわ！

エノン：絶対に嫌！！

クイーン：やだぁ〜ひどぉい！

キリヤ：ん？エノン、まだケイトに告白してねーの？

エノン：なっ！

キリヤ：鈍感な俺でも分かるぞ

付き合いが長いからだな、うん

エノン：…キリヤ、、あんたまでそういうこと言うの？

キリヤ：ケイトはモテるからなあ〜

この前も旧式から一般人守ったときにたくさんの女の子に囲まれてたからな

エノン：ええ？？！！

ジョーカー：あいつ、ただの優男にしか見えねーけど戦いの時は別人だしな

あいつはやべぇ、鋭い眼光でキレッキレだ

まあ、どの時代でもギャップってもんは強みだな

クイーン：アタシ、キレッキレのケイトちゃんに押し倒されたことあるの〜ふふふ(笑)

エノン：押し倒された？！

って…クイーンがなんでよ！！

クイーン：教えなーい☆

エノン：…ふん、別にいいけど

ジョーカー：妙な意地張るなよ

エノン：意地なんか張ってない！

ジャック：ん？なんか店内がやたら賑やかだな

よお、お前ら

エノン：あ、団長

クイーン：あらぁ〜ジャックちゃん♡

自警団の団長さんがこんな時代錯誤なバイク屋に何の用？

ジョーカー：時代錯誤、ねぇ…

吹くじゃねぇか、クイーン

キリヤ：団長どうした？

ジャック：お、いたいた

ってもキリヤの居場所は大体ここだもんな

キリヤ：俺になんか用でもあるのか？

ジャック：お前にしか出来ねえ仕事があるんだ、着いてこい

キリヤ：わーったよ、それじゃ俺行ってくるわ

クイーン：またね〜キリヤちゃん♡

エノン：……

－キリヤとジャックが店を出る

ジョーカー：どうした、エノン

エノン：なんだろう…

いつもの団長っぽくないような気がする

クイーン：エノンちゃんも何か感じたのね、アタシもなーんか嫌な感じがしたわ

「女の勘」って悪いことは本当によく当たるから困りものよね

エノン：クイーンは女で良いの？

クイーン：何よ、失礼ね！

ジェンダーフリーなこの時代に古めかしこと言うのね

エノンちゃん、本当に二十歳？

エノン：年齢不詳のクイーンに言われたくない

クイーン：そんなにツンツンしてると、イブキちゃんに先越されちゃうわよ☆

エノン：だから！ケイトはただの腐れ縁なんだってば！

ジョーカー：素直に気持ち伝えとけよ

お前ら自警団はいつ旧式の自爆に巻き込まれるかわからねーんだ

後悔したくないだろ？

エノン：うっ！…ま、まあ…それもそうだけど…

クイーン：そうね、アタシも後悔しないように今日もバリバリ働いちゃうんだから☆

ジョーカー：今日もコマシアター前広場でミラーボールショーだろ？

クイーン：ええ、ジョーカーも仕事がひと段落したら遊びに来てね♡

－ニュー歌舞伎町、警察署

キリヤ：おい、これは何の冗談だ？

ジャック：すまんな、キリヤ

キリヤ：……

ジャック：警察の皆さまも最低限の仕事をしないといけないんだ

まあ、署のノルマ達成の手伝いってとこだな

キリヤ：だからってなんで俺が捕まんなくちゃならねーんだよ！

バイクは走らせてるが、緊急事態以外、法定速度守ってるぞ！

ジャック：俺が代われるなら良いが…

旧式が暴れだしたら誰が自警団の統率をとる？

キリヤ：(舌打ちをする)ちぇ…

後で団長が持ってるヴィンテージバイクのマフラーくれよ

それくらいのもん貰わないと割に合わねー

ジャック：わーったよ、

ま、これは形式だけの逮捕だ

明日には普通の生活に戻れる

お前がこの檻ん中で何もしなければな

キリヤ：してもいないスピード違反で逮捕だなんて…おかしな話だ

ジャック：んじゃ、また明日

キリヤ：う…いざ、置いていかれると辛いもんがあるな……

－コマシアター前広場

エノン：(Ｍ)素直に気持ちを伝えろって言われても…

－上空のドローンからミラーボールが降りてくる

クイーン：みんな〜！おまた〜☆

今日もこんなにたくさん！集まってくれてありがと〜ふふふ(笑)

エノン：(Ｍ)…クイーンはいつも全力で自分がしたいことをやってる

クイーン：今日は特別なミラーボールが手に入ったの〜☆カモ〜ン！

－ドローンから赤い光を放つ小型のミラーボールが降りてくる

エノン：…何、あのミラーボール

クイーン：かわいいでしょ〜♡

この真っ赤なミラーボール、この町を守る自警団団長のジャックちゃんがアタシにくれたの〜♡良いでしょ、ふふふ(笑)

エノン：(Ｍ)他のミラーボールの3分の1…直径30cmくらいしかないのに、周りのミラーボールまで赤を反射して…すごくキレイ……

ジャック：おっ、エノンも見に来てたのか

エノン：団長…

ジャック：なんか元気無いな、どうした？

エノン：いや、別に何も…

ジャック：シケたツラで見たら後でクイーンに叱られるぞ

エノン：…団長、

ジャック：ん？なんだ？

エノン：こんな質問…縁起が悪いけど

もし明日、死ぬかもしれないって言われたら……何をする？

ジャック：本当に縁起が悪い質問だな

エノン：別に答えてくれなくても良いけど

ジャック：そうだな、俺なら…

エノン：団長なら？

ジャック：やりたいことを全力でやるな

エノン：全力で…

ジャック：そ、いま目の前でショーをやってるクイーンみたいに

エノン：そういえば、あの赤いミラーボールは団長がクイーンにあげたんだよね？

ジャック：ああ、クイーンにはいつも世話になってるからな

クイーン：この赤いミラーボール、全部宝石で出来てるの♡すっごくキレイよね〜

エノン：…赤い…宝石……？

ジャック：めっちゃキレイだよな

あの赤い宝石はな、

クイーン：昔アタシがたくさんもらってたルビーって宝石にそっくり♡

ジャックちゃんったら愛を贈り物に込めるなんて…本当にかわいい子♡

エノン：人工宝石…ヒューマイト…！！

ジャック：そうだ

そしてヒューマイトは衝撃を加えたり圧力をかけると…

クイーン：じゃ、始めるわよ！

BGMちょうだい！

ミラーボールショー！レッツ！ショータイム☆

エノン：クイーンのミラーボールショーに使われるミラーボールは…！！

－低音の効いたBGMが流れ出す

ジャック：おっ、選曲も流石だな

低音がめちゃくちゃ効いた…良い曲だ

エノン：あのミラーボール型ドローン、ウーファーを搭載したスピーカーでもある…

(腕に痛みが走り出す)……えっ！…何？！左腕が……！

ジャック：エノン、左腕はどんな風に痛い？

エノン：…っ！！団長…な、なんで？

ジャック：どうなんだ？エノン

今流れてるこの曲、サビの低音が半端ないんだ…お、サビがきた

エノン：んっ！！痛っ！…なんなの…これ、は……(意識を失う)

ジャック：あ、痛みで気絶したか

クイーン：みんな〜、楽しんでる〜？

－観客は歓喜の声をあげる

クイーン：うんうん、アタシも楽しいわ〜☆たくさん踊って楽しんでってね♡

ジャック：そろそろ行くか

(エノンを担ぐ)っしょっと…

－旧新宿区ニュー歌舞伎町「グリッタールーター」

ジョーカー：(Ｍ)クイーンのやつ、今日は一段と低音効かせやがるな…

店の防音壁が無かったら胃にも振動がきそうだ。

ま、これもニュー歌舞伎町の「色」だからな、

歩く観光名所なんて異名、誰が付けたんだか…

にしてもおかしい。

いつもうるせえキリヤから何も連絡がこねえ。

いま、旧式が暴れてる場所は無いはずだが…

－近くで爆発音がする

ジョーカー：なんだ！！

(窓を開けて遠くを眺める)……おいおい、何の冗談だ？

－旧新宿区警察署

キリヤ：…暇だな、

ああ！とーっても暇だ！！

－近くで爆発音がする

キリヤ：なんだ？なんで警察署で爆発音が…

－キリヤの檻の前に旧式ＡＩ兵が近づく

キリヤ：は？なんでこんな檻の部屋に旧式が来るんだよ……！！

－旧式ＡＩ兵が檻をこじ開ける

キリヤ：うおっ！！…嘘だろ？？

(攻撃を避ける)あぶね！！

おい！誰がいるかー！！

って言ってる場合じゃねーなあ！

－床には爆発で息を引き取った警官が倒れている

キリヤ：すんません！

旧式片付けたらちゃんと挨拶しに来ますんで、拳銃借ります！！

－キリヤの放った銃弾が旧式ＡＩ兵のコアを撃ち抜く

キリヤ：一体機能停止完了！

ここもだが…外はどうなってるんだ？

まずは団長とジョーカーに連絡しねえと！！

－エノンを担いだままバイクで移動するジャック

ジャック：まさかエノンが被検体「8」号とは…

近くにいると本当に分からないもんだな

エノン：…っ、ケイ…ト……

ジャック：寝言か、寝言も好きなやつの名前かよ…

エノンの頭はお花畑ってか？

平和なもんだな、おい

－コマシアター前広場

ジョーカー：？クイーンのミラーボールに赤いのなんか無かったはずだが…

それにこの広場でこの音量と振動じゃあ爆発音なんか聞こえねえよな…

…クイーン、すまん

最高に盛り上がってるとこ悪ぃが…

BGM、止めさせてもらうぞ！

－ジョーカーがドローン制御装置を銃で撃ち抜き、BGMが止まる

クイーン：え？…いきなり何？盛り上がってるのに〜！なんなのよォ〜！！

ジョーカー：クイーンすまねえ、非常事態だ！！

クイーン：ちょ、ジョーカー！！非常事態って一体何のことよ！

－爆発音がする

クイーン：爆発？！旧式…ＡＩ兵……！！

こんなに近くに…なんで？なんでなのよ！！

ジョーカー：町中で旧式が暴れてる！

お前も客も今すぐシェルターに避難しろ！！

クイーン：何よ…これ、、訳が分からないわ！！

ジョーカー：おい！落ち着け！

ニュー歌舞伎町の歩くシンボルのお前が冷静じゃねえと助かるもんも助からねえぞ！！

クイーン：うっ…し、深呼吸しないと…

ヒッヒッフー…ヒッヒッフー……

ジョーカー：…それで落ち着けるならいい

クイーン、キリヤの居場所知らねえか？

クイーン：ちょっと待ってよ！

ヒッヒッフー…ヒッヒッフー……

ジョーカー：キリヤだけじゃねえ、ジャックやエノンとも連絡がとれねえんだ

クイーン：(ひと息ついて)エノンちゃんは…ショーが始まる前に見かけたけど、もういないようね

ジョーカー：そうか、ありがとな！

んじゃ、避難訓練通り避難誘導は任せたぞ！

クイーン：え？アタシひとりで？

ジョーカー：なら、ニュー歌舞伎町商店街の連中と合流して避難しろ

クイーン：…っ、分かったわ

ジョーカー：ジャックは連絡つかねー事もあるが、なんでキリヤはオレの電話に出ねえんだ？

商店街のやつらに聞きながら探すしか無さそうだな…

－旧新宿区警察署

キリヤ：すんません！拳銃お借りします！！

－銃弾と共に旧式ＡＩ兵が倒れていく

キリヤ：クソ！…何体いやがるんだ？

キリが無い…！っと！！

警察でも旧式との戦い方の訓練をして欲しいもんだ！

通信は…あ、俺のスマホ没収されてるんだった！

にしても団長、なんで俺を形式だけの逮捕に使ったんだ？

たしかに団長が動けなかったら出来ないことは多いけど…

…ま、でもジョーカーがいれば正直なんとかなるんだよな

まずはジョーカーと連絡取らねえとな！

－エノンを連れて移動するジャック

ジャック：この辺りか…

旧新宿区と改新宿区の区境、

この先は昔、コリアンタウンと呼ばれていたな…

(タバコに火をつける)ふぅー……

そのコリアンタウンも今じゃあ大日本帝国の心臓に取り込まれちまった

エノン：…そのコリアンタウンに思い入れでもあるの？

ジャック：ようやくお目覚めか、エノン

エノン：痛みで今の今までずっと気絶したと思った？

ジャック：始めは気絶してたが、

ここに着いた時にはもう意識があるのには気付いてたよ

だから先に手錠を着けさせてもらった

エノン：…この手錠、、

これ、何かとリンクしているわね？

ジャック：さすが、その通りだ

エノン：左腕に少し痛みが走る…

ジャック：お前は本当に察しが良い

エノン：これも人工宝石ヒューマイトで出来ているのね…

ジャック：ああ、だが…リンクしてるもんは…さすがにわからねえか、

エノン：自警団で管理しているヒューマイトか……クイーンのミラーボールに使われてたヒューマイト…どちらかだと思うけど

ジャック：エノン

エノン：何よ

ジャック：俺はクイーンにあれだけのヒューマイトを使ったミラーボールを作らせて贈ることが出来る

非人道的と罵られ、新雲暦(しんうんれき)からは所持も違法と言われている

このヒューマイト…何処から手に入れたか想像出来るか？

エノン：……まさか…！

ジャック：そのまさか、かもしれねえ

お前の考えをそのまま言ってみろ

エノン：…い、今もヒューマイトを作る人間が存在するということ…？

ジャック：そういうことだ

エノン：それと私をここへ連れてきたことに何の関係があるの？

ジャック：エノン…いや、被検体「8」号

俺の元に被検体で優れたヒューマイトを精製したいという依頼が来たんだ

だからお前を連中へ渡す為に連れてきた

エノン：被検体「8」号…？

……何を言っているの？

ジャック：イブキの嬢ちゃんもお前と同じ被検体だが、嬢ちゃんが行方不明になると区長の娘が行方不明って事件として大々的に報道されちまう

だが、お前は旧式と戦う自警団所属で身寄りもいない

いろいろと都合がいい

お前がいなくなっても旧式と戦って死んじまったって言えばみんな納得するだろうよ

エノン：…っ！！

－コマシアター前広場

クイーン：…ジャックちゃん

あなたがくれたこの赤いミラーボールが…まさかヒューマイトだったなんて、、

このミラーボールは何人の人間が犠牲になって作られたの？

アタシはこの屍の塊でショーを見に来てくれたみんなと町中の人たちを危険に晒してしまった…

この重い罪、どう償えば良いのか分からないわ…

クイーン：(Ｎ)人工宝石、ヒューマイト…

この地球が雲に覆われる前に作られた

旧式ＡＩ兵に搭載されている、通電性に優れた結晶体。

見た目の赤は人間の体内を流れるヘモグロビンの色…良質なヒューマイトほどキレイな赤になる。

始めは身寄りのない自殺者の死体を使って製造をされていた。

死体から作られたヒューマイトは紫色に近いものであったが、死後すぐの死体から製造をしたところ、赤いヒューマイトが完成された。

後に赤と紫色では通電性に大きな差が出ることが発表されると、

政府はすぐにヒューマイトの製造を禁忌とし、違法にした。

ヒューマイトのために人殺しが起きないように…

－旧新宿区警察署前

ジョーカー：…キリヤ、くそ！どこにいやがる！！

警察署付近で団長と歩いてるの見たってヤツの情報があったから来てみたが…

おい！キリヤ！生きてても死んでても返事くらいしろや！

キリヤ：死んでたら返事出来ねえだろ！

ジョーカー：うおっ！キリヤ！！生きていやがったか

キリヤ：俺はこんなんじゃ死なねーよ

ジョーカー：まあいい、五体満足で会えたんだ

ケガも無さそうだな

キリヤ：ケガなんかしてるほど暇じゃねーよ

ジョーカー：ま、バカは死なねーからな

キリヤ：なんだと？！！

つーか、今どうなってんだよ！

俺、さっきまで警察署の檻の中に入れられてたから情報がねえんだ！

自分のスマホも見つからねえ！

ジョーカー：お前、なんかやらかしたか？サツに世話になることとか…

キリヤ：ある訳ねーだろ！

むしろ警察は俺ら自警団に感謝するべきだ！

ジョーカー：んじゃ、なんで檻の中にいたんだよ

キリヤ：ジャックが言うには警察の面子のためなんだと

おかげさまで俺はスピード違反者扱いだよ

ジョーカー：お前、普段はビビって法定速度守るもんな

キリヤ：ビビってんじゃねえ！

規則があるなら守らねえと規則の意味が無くなるだろうが！

ジョーカー：キリヤ、お前…

檻に入って頭の中身変わったか？

キリヤ：それ悪口だな！受けて立つ！

じゃなくてだな、旧式が暴れまくってるこの状況は何なんだ？

自警団が機能してねえしよ…

ジョーカー、団長と連絡とれるか？

ジョーカー：それが、ずっと通話中になってて繋がらねえんだ

しかもエノンとも連絡がとれねえ

キリヤ：エノンが電話に出ない？

あの真面目で堅物なあいつが？？

ジョーカー：ああ、不自然だろ？

この状況…嫌な予感がする

－区境

エノン：ぐっ…！！また痛みが、強くなった…！！

ジャック：連中、ヒューマイトを持ってきてるのか？

ま、お前に暴れられると面倒だから懸命な判断だ

エノン：団長…連中って何？

ジャック：まだ団長って呼んでくれるんだな

エノン：うっ…！！痛っ！！！

ジャック：？

－クイーンが赤いミラーボールを持って現れる

クイーン：残念だわ、ジャックちゃん

ジャック：お？これは意外なお客さんだ

歩く観光名所のあんたがこんな所に何用だ？

クイーン：これを返しに来たの

あなたから贈り物を貰えて喜んだアタシは本当に馬鹿で全然キレイでもないしかわいくない

エノン：…クイーン？

クイーン：エノンちゃん…

ここはアタシに任せて

エノン：何をする気…？

クイーン：ジャックちゃん…

あなたがこれ以上罪を重ねる前に

アタシがとめてあげる

まず、このミラーボールはお返しするわ(ミラーボールをジャックに投げ渡す)

エノン：クイーン……痛っ！

ジャック：贈り物を返されて俺は悲しいよ、クイーン

クイーン：前から気になってたの

あなたの電話がずっと通話中になっているときは決まって

大勢の旧式がニュー歌舞伎町にくるから…

他にも自殺者や突然死をした人の遺体を運んでいるところも

アタシ…見ちゃったの

エノン：…

ジャック：クイーン、なんであんたは俺の事をサツに言わなかった？

クイーン：…出来るわけないじゃない！！

あなたは私の大好きなニュー歌舞伎町を守る自警団の団長なのよ！

それに…アタシはニュー歌舞伎町で精一杯生きるみんなが大好きなんだもの！！

エノン：クイーン…！！

ジャック：愛情ゆえ…ってヤツか？

クイーン：そうよ！

この愛が今、あなたの居場所へアタシを連れて来てくれた！

ジャックちゃん、アタシのこと…ただのキレイでかわいいドラァグクイーンだと思ったら大間違いよ

ジャック：へえ、元格闘家とか

そういうオチか？

クイーン：お喋りする暇なんて無くなるわよ

－クイーンがサバイバルナイフを背中から取り出す

ジャック：ナイフファイト、か

その構えは…米軍式か

クイーン：さすがだわ

その通り、アタシ元軍人なの♡

ジャック：クイーンに敬意を持って

俺もコイツでやらせてもらおうじゃねえか

…元軍人相手に暴走族のチンピラナイフが通用するか、自信ねえけど

クイーン：自信がない？嘘おっしゃい、

あなた…目がギラギラしてるわよ

ジャック：そーかい

そんじゃ、俺からいくぞ！クイーン！！

クイーン：(野太い声で)元軍人なめんな小僧！！

エノン：(涙が溢れてくる)どうしよう…このままじゃクイーンが、、団長に殺されちゃう…！！

(Ｍ)せっかく狙撃手として一人前になれたと思ってたのに…！！私は武器が無いと何も出来ないっ！！！

まずはこの手錠をどうにかしないと！

－ニュー歌舞伎町、避難シェルター

ジョーカー：なに？！クイーンが出ていっただと？！

キリヤ：この発信機…クイーンからか、

GPS…ここって…区境だよな

ジョーカー：クイーンからは発信機をオレかキリヤに渡すように言われただけか…

キリヤ：町中は自警団と商店街のみんなが何とかしてくれる！

行くぞ、ジョーカー！

ジョーカー：ああ、お前ら！このニュー歌舞伎町商店街はこのくらいでやられるほどヤワじゃねえ！！踏ん張れよ！

これ以上なんかあったらオレに連絡入れてくれ、頼んだからな！！

－区境

ジャック：…そんなもんか？クイーン…

クイーン：かはっ…！(吐血する)

まだ、まだまだよ…っ！！

エノン：クイーン！！もう止めて！！

このまま続けたら死んじゃうよ！！

クイーン：…エノンちゃん……

アタシが倒れたら次はあなたがもっと酷い目にあっちゃう……

それは…それだけは絶対に嫌なの！！

エノン：でも…！

ジャック：被検体「8」号は武器がねえと本当に何も出来ないんだな

クイーン：ちょっとあんた！！

ジャック：元軍人かもしれねえけどクイーン、あんたはもう眠れ

－クイーンの腹部に更に深くナイフを突き刺し傷口が抉られる

クイーン：ぐあああっ！！！

エノン：クイーン！！嫌っ！！嫌ぁああ！！

ジャック：俺、女の泣き叫ぶ声嫌いなんだよな

エノンほら、これやるよ

女はキラキラしたもん、好きなんだろ？

－ヒューマイトで出来たミラーボールをエノンにぶつける

エノン：っあ！痛っ！！！(痛みをこらえる)

ジャック：自分の痛みには鈍感っつーか、他人の痛みの方が辛いってやつか？

さっきみてえに泣き叫べよ、被検体「8」号

エノン：…だ、誰が…叫ぶもんか…！！

ジャック：もう理解してるようだからバラすわ

お前の手錠とリンクしてるヒューマイトはこのミラーボールだ

クイーン：…おいゴラァ！！

お前の相手はこのアタシだろうがああ！！

ジャック：このミラーボールに振動や衝撃を与えると、

－ミラーボールをクイーンの脳天に叩きつける

クイーン：がっ……(膝から落ちる)

エノン：クイーン！！嫌あああ！！！

ジャック：左腕、死にたくなるくらい痛いだろ？

依頼主からお前を殺さないようにって言われてはいるが

痛めつけるなとは言われてねえ

エノン：私は…死ぬ訳にはいかない…！

ジャック：ん？クイーンのナイフで何をするつもりだ？

エノン：こうするのよ！！っあ！！

(Ｍ)ヒューマイトの共鳴とナイフの切り口から走る痛みで意識が飛びそう…

けど、私は…私は…！！

ジャック：ははは(笑)

左腕を捨てるのか？

左腕を捨てたらもう狙撃は出来なくなっちまうなあ

お前は自分の好きな男の名前でも叫んで死んでいく方がお似合いだ

ほら、叫べよ

「助けてー！ケイトー！」ってな！

エノン：…誰があんたの言う通りにするもんか！！…この！…この！！(ナイフに左腕を打ち付ける続ける)

－一発の銃声が鳴る

キリヤ：エノン！クイーン！

何がどうなってる、

……おいクイーン…クイーン！！！

ジョーカー：クイーンはオレに任せろ

派手にやられてるが息はある！

ジャック：(舌打ち)しつこいドラァグクイーンだな

キリヤ：エノン！手錠まで…！！

左腕もひでぇ…意識はあるか？

エノン：キリヤ……

キリヤ：早く止血しないと

その前に手錠を壊す！

ジャック：手錠を壊すのはオススメしねえよ

キリヤ：団長…！！

これはどういうことだ？

ジャック：エノンの手錠とそこに転がってるミラーボールは共鳴してるんだ

手錠を壊したらミラーボールが爆発するぞ

キリヤ：ミラーボールが爆発…

それだけか？

ジャック：ああ、そうだ

キリヤ：安心してくれ、エノン

エノン：急に何よ…

キリヤ：うおりゃああ！！！

エノン：えええ！！

ジョーカー：あのバカ！ミラーボールを下水道の方に投げやがった！！

キリヤ：エノン、鼓膜やられたら悪い

エノン：大丈夫、慣れっこだから！

－キリヤが手錠へ何発も弾丸を放つ

キリヤ：おっし！手錠問題は解決！！

止血だ、止血！

エノン：ちょ…何よ、これ…！！

潰したはずの痣が浮き出て…傷が塞がってく…！

ジョーカー：…イブキのやつと同じか

クイーン：うぅ…その声は……ジョーカー…？

ジョーカー：クイーン、意識が戻ったな

だが今は口を開くな…傷口が更に開いちまう

クイーン：うん……あり…がと…

キリヤ：…正直言うとナイフを持ったあんたに勝てる気がしねえ

族の中でも恐れられてたあんたの通り名は昔の映画そのまま

「切り裂きジャック」だったからな…

ジャック：そう呼ばれたこともあったな

どうする？キリヤ、

お前は俺をどうしたいんだ？

キリヤ：…(小声で)殴る

ジャック：あ？聞こえねえな

キリヤ：うおりゃああ！！

ジャック：っと、だいぶ大振りなストレートだな

キリヤ：団長、丸腰の俺にナイフ使うのか？

お得意のナイフ無しじゃあ俺には敵わないってか？

ジャック：もっとマシな煽り方があるだろ、全く

キリヤ：男なら拳で語れ！

俺は小学校でそう習った！

ジャック：はははは(笑)小学校て、

まだクソガキの頃じゃねーか

だが、拳のぶつけ合いってえのも悪くは無い

キリヤ：さっきまで警察署で退屈させられた分も含めて全部拳で返す！！

ジャック：ま、拳が当たらないと意味は無いがな

キリヤ：(Ｍ)…さすが団長！

フットワークで翻弄してきやがる！

ジャック：当ててみろよキリヤ

エノンを痛めつけ、クイーンを半殺しにした俺が憎いんだろ？

キリヤ：クソが！！

うおおおお！！

－ジャックがキリヤの拳を叩き落とす

ジャック：猪突猛進とはよく出来た言葉だ

いまのキリヤそのものを表してんな

キリヤ：こんなにも当たらねえのかよ…！！

ジャック：悔しいか？悔しいよな？

お前の拳はさっき檻の中で溜まった鬱憤も

お友達を苦しめられた怒りも何もかも俺にぶつけられねえよ

キリヤ：うおおおおおお！！

ジャック：もう終いにしようぜ、キリヤ

－一発の銃声が鳴る

ジョーカー：…今度はなんだ？

クイーン：…！！

エノン：ウソ、でしょ？……ねえ！！

キリヤ：は？

ジャック：ぐあ！！(吐血する)

キリヤ：団長！！

ジョーカー：エノン！足が動くならこっちへ来い！！急げ！！

エノン：…うん！！

キリヤ：団長…

ジャック：ぐはっ(吐血する)……

キリヤ：…心臓に被弾してる

－ジャックがキリヤの頭に手を置く

ジャック：(Ｍ)後は…任せたぞ……キリヤ…(キリヤに鍵を渡す)

キリヤ：これ…あんたのガレージの鍵じゃねえか…どういうことだよ！！

…団長！！団長ぉお！！

うわあああああ！！(大泣きする)

ジョーカー：キリヤ！ジャックも連れてこっからずらかるぞ、急げ！！

エノン、すまねえがクイーンをサイドカーに乗せてくれ

エノン：うん、わかった

クイーン…大丈夫だからね

クイーン：(微笑む)

ジョーカー：急げ！！

キリヤ：…ああ

ジョーカー：おう！！テメェら、無事に帰らねえと俺が殴りに行くからな！！歯ぁ食いしばれよ！最速でニュー歌舞伎町まで行くからな！

－キリヤとジョーカーのバイクはニュー歌舞伎町へ向かって走り出す

エノン：(Ｎ)弾道から察するに団長を撃ったのはおそらく…

私を買い取ろうとした団長の依頼主だろう。

すぐに気配を消していなくなった。

私たちはニュー歌舞伎町へ急いで帰り、病院へ向かった。

ニュー歌舞伎町では自警団と商店街のみんなが

被害を町の外へ拡げないように奮戦してくれた。

町の外に被害は無かったけど…

今回の被害は自警団が出来てから過去最大のものだった。

－一週間後、ニュー歌舞伎町「グリッタールーター」

ジョーカー：キリヤ、あれからジャックのガレージへ行ったか？

キリヤ：…行ってない

なんだろ、まだ落ち着かねえんだ

ジョーカー：ジャック…あいつは行方不明者や町中で転がったまんまの死体を売っていたらしい(タバコを吸う)

キリヤ：…

ジョーカー：族長やってた時、事故で死んだヤツの死体を埋葬してたところにヒューマイトを作っているヤツらが現れて…

ジャックに死体と引き換えに札束を渡してきたんだと

キリヤ：っ……クソ！団長…何してんだよ…！

ジョーカー：ジャックのヤツ、

自警団を作るための金にしてたみたいだぞ

キリヤ：え…

ジョーカー：自警団は維持費も半端ない

最初はスポンサーもいなかった

今、こうして自警団があるのは

あいつが先陣切って実績を作ったからだ

その実績があって武器製造会社大手二社がスポンサーになった

んでもって改新宿区長も区営にした

ニュー歌舞伎町商店街とも連携とって

今や大日本帝国イチの防衛都市だ

キリヤ：ジョーカー…なんでそんなに詳しいんだ？

ジョーカー：…俺んとこにはいろんな所から

情報がまわってくるようになってんだよ

キリヤ：団長のあの言葉…

あれは本心だったのか…

俺にはもうわからねえよ

－ダンスミュージックと共にクイーンが入ってくる

ジョーカー：あ？

クイーン：なによ、ジョーカー

せっかくアタシが来たのに

なんて顔してるのよ〜

ジョーカー：お前は大人しく入院してろ

腹部二箇所に右腿も刺されて重症だっただろ？

病室へ帰れ、シッシッ

クイーン：あらやだ、塩対応

キリヤちゃんは〜…

お葬式みたいな顔してるわね

エノン：クイーン、(咳払い)

あなた、そんなに無神経なドラァグクイーンだったかしら？

クイーン：シーっ！わざとよ〜わ・ざ・と！

キリヤちゃんみたいな単細胞は煽るくらいがちょうどいいのよっ！

キリヤ：クイーン、全部聞こえてるぞ

クイーン：あらやだ☆

ジョーカー：エノン、ケガは良くなったか？

エノン：うん、後は右腕の腫れが治ればもう平気よ

ジョーカー：そうか

エノン：ねえ、ジョーカー…

ジョーカー：なんだ？

エノン：私の左腕、あんなに傷つけたのにもうキレイに治ってるの

やっぱりおかしいよ私…

ジョーカーに教えてもらったお医者さんからも結果が出るまで半年以上時間が掛かるって言われて…

結果待ちの間にあんなケガして……

私…自分自身が怖いよ

ジョーカー：…エノン

クイーン：キリヤちゃん、エノンちゃん！

あんた達もアタシと一緒にコマシアター前広場へ来なさい

エノン：なんで？

クイーン：いつまでもシケたツラするもんじゃないわ

それに今日は毎週恒例、アタシのミラーボールショーの日なんだから！！

ジョーカー：おい、クイーン…全然ケガ治ってねえだろ

クイーン：ジョーカー、あんたもバカね

こういう時でもこの町の日常を提供するのがアタシよ！

ま、アタシもあの直後はどうやって罪を償おうか考えたけどね！

アタシにはアタシにしか出来ない償い方があるの☆

ジョーカーに壊されたドローン制御装置はもう新しいものが届いたから

あとはアタシがステージに行くだけよ☆

あ、これドローン制御装置の請求書♡

ジョーカー：げぇ……こんなに高ぇのか、あの装置

キリヤ：クイーンは本当にすげえな

クイーン：あら、キリヤちゃん♡

それはラブコールかしら？？

キリヤ：調子狂わせやがって…

エノン：キリヤ、行こう

キリヤ：エノンもまだ完治してないだろ

エノン：私は右腕が腫れてるだけ

キリヤみたいに頭の中まで治療は必要無いの

キリヤ：それ、俺のこと遠回しにバカって言ってるだろ

エノン：ケガ一つしてないのに

いつまでバカ拗らせてるのよ

キリヤ見てたらいろいろ考えるの面倒になってきたわ

キリヤ：なんだとー！！

エノン：クイーンのミラーボールショー見たら

その後はケイトと3人で行くわよ

…団長のガレージへ

キリヤ：…行くしかねえよな

ジョーカー：なら、俺も同行させてくれ

ジャックについてまだ調べたいことがある

キリヤ：わかった！隅々まで調べるぞ

ジョーカー、エノン

エノン：うん

ジョーカー：おうよ

クイーン：(Ｍ)みんな少しずつ前へ進もうとしてる

アタシはニュー歌舞伎町のみんなが大好き

大好きなみんなのためにアタシが出来ることをするだけ

－5年前、旧新宿区郊外

ジャック：キリヤ、お前も来い

そのバイクで旧式から人を守るんだ

キリヤ：人を守る？

俺にそんな大層なこと出来ねーって

ジャック：まだやったことねーからビビってんだろ

キリヤ：は？ビビってねえよ！

ジャック：まずは始めることだ

何事もやってみなくちゃ

現状は変えられねえよ

最初の一歩はビビるだろうが、

あとは仲間が何とかしてくれる

キリヤ：結構大雑把なんだな

ジャック：大雑把上等！！

おっし、さっそく今から自警団、始動だ！

キリヤ：は？今から？！！

ジャック：「明日やろうバカ野郎」って言葉、知らねえのか？

キリヤ：初めて聞いた

ジャック：言葉の通りだ

行くぞ！お前ら！！

－現在、旧新宿区ニュー歌舞伎町コマシアター前広場

キリヤ：(Ｍ)団長は俺らが知らない間に汚れ仕事をしてまでこの自警団を創った。

団長がなぜ俺にこのガレージの鍵を渡したのか…確かめないといけない

エノン：キリヤのくせに何真剣な顔してんの？

キリヤ：なんだよ

エノン：そんな顔してたら後でクイーンに擦り寄られるわよ

キリヤ：うげ…それは勘弁してくれ…

クイーン：そこのキリヤちゃん！

いまアタシの悪口言ったでしょ！！

さて、本来はニュー歌舞伎町の歩く観光名所のアタシだけど

ケガが治るまではニュー歌舞伎町の座る観光名所でいさせてね♡

じゃ、ミラーボールショー始めるわよ☆

レッツ！ショータイム☆

－空へ向かうミラーボールから音楽が流れ、広場にいる人達は踊り始める

ジョーカー：楽しめる時に思いっきり楽しんでおけよ…お前ら

to be continued