Chapter 6
6-1
倫理なき魔法は、神の御業と見分けがつかない。
――魔法録 第6章
* * *
「
神殿の壇上に、真白の長衣を
「どうか、
老女が身を
続いて、若い女性が入ってくる。同じく老女の前に跪き、老女はまた、杯を渡す。
「巫女様」
杯を手に、女性は、ふっと視線を上げて老女を見つめ、淡く微笑んだ。
「本当に、ありがとうございました。この七日間、毎日ご飯が食べられて、温かいベッドで眠れて……私は、幸せでした」
晴れやかに微笑む女性の瞳を受けとめて、老女も慈しみの笑顔を描く。
「どうか、善き選択を」
そしてまた、次の人間が、老女のもとへ跪く。
老女は静かに微笑み続けた。
杯を渡したうち、何人が、明日の朝陽を見るだろう。
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