第5話 心器
「俺は今の状態だと
俺はポケットから緑色に光る宝石がついたネックレスを雪城さんに渡す。
「
「身体を……この石に……?」
当然の疑問だろう。この石に自分の身体が入るなんてイメージできるはずもない。
「見本を見せるから見てて」
俺は雪城さんに渡したものとほとんど同じタイプのネックレスを服の中から出す。そして、指でふれる。すると、
「
そして、俺の身体がうっすらと透ける。
「わっ……」
「これが反転状態だ。さわってみて」
雪城さんが俺の身体にふれようとする。しかし、ふれることはできない。
「実体が……」
「さっき言ってたように
俺の身体は元の状態に戻った。本当は
「あの……反転状態はわかったんですが、やっていることが……理解できないです」
「だよね。さっきの現象を言葉で説明すると翠魂石に自身の
「……私、そもそも
「
「……わかりました」
雪城さんは首からネックレスをぶら下げ、
「自分の指先から、エネルギーを流し込むことをイメージして」
雪城さんは目を閉じる。
「んっ……」
「!!」
瞬間、雪城さんの指先から大量の白色の光が溢れる。
(しかも1回でできるとは……)
一回で反転状態にできるのは相当センスがある。もっと時間がかかると思っていた。
「…………目を開けてごらん」
「あっ、すごい……私、透けてる……」
雪城さんは自身の身体が透けていることを見るまでわからなかったようだ。
「これが反転状態だ。違和感はない?」
「ないです。反転状態になったことも目で見ないとわかりませんでした」
「
俺は再び反転状態になる。
「
「
「あー……たぶん雪城さんは勘違いをしているよ。武器は自分で作るんだ」
「えっ……」
「
「
「心の武器と書いて
「……それは思い入れのある物ほど強くなるということですか?」
「概ねそんな感じだね。小さい頃からずっと剣道をしていた人とかだと剣に対する想いっていうのは強くなるとかそういう感じだね。心の強さが
「ちなみに、ネガティブなイメージを抱いてしまうとどうなるんですか?」
「いい質問だ。ちょうどこれから話そうと思ってたんだ。例えば剣を使って、
「なるほど……ネガティブになっちゃダメってことですね」
「いや、そうとも言えない。ネガティブなイメージが
「そうなんですか?」
「うん。例えばだけど、包丁で刺された経験のある死神がいるとしよう。その死神が
「……なるほど……」
「銃を実際に使ったことのない死神が作る銃と実際に使ったことのある死神が作る銃だとやっぱり全然違うね」
「そうなると武器って……難しいですね」
「まあね。現代の日本で使える武器ってほとんどないからね。一度実際に
俺は右手に黒い刀を出現させる。
「ないもない所から刀が……。目に見えない
「言われみればそうだね。あんまり意識したことなかったな……。
俺は刀を地面に突き刺す。
「心器はこうやって現実に干渉することも可能だ。ただ、普通の人間には認識できないし、ふれることもできない。よほど強力な心器でない限り跡は残らないよ」
刀を抜くと地面に傷はなかった。
「現実に干渉しないのであれば、安心して戦えますね」
「…………そうだね。」
(雪城さんって意外と好戦的なのか?まあ、
「でも、それはあくまで
「えっと……?」
雪城さんは意味が分からないといった表情を浮かべる。俺は銃を
「まあ見てて。まずは
銃声とともに球が発射される。銃弾は壁に撃ち込まれる。
「そして、
先程より大きい銃声とともに青色の光が放たれる。先ほどの撃ち込まれた壁の隣に光が当たり、小さな穴を作った。光はすぐに消えて穴だけが残る。
「なぜ
「でも……それって手間ですよね?」
「その通りだ。一つ手順が増えることになるからね。スピード重視なら、間違いなく
「銃を使うのって色々と考えないといけないんですね」
「うん。銃を使う人は多い。理由は武器として想像しやすいからだ。雪城さんは武器と聞いて何が思い浮かぶ?」
「やっぱり……銃や剣が思い浮かびます」
「だから死神が戦う武器は銃や剣が多いんだ」
「わかりました。早速、作ってみます」
「いや、それはもう少し後にしよう。まずは
俺はまず
「わっ……青い……」
「
「で、これが全体防御。言葉通り身体全体を守る。そしてこれが部分防御だ」
俺は全身にまとったオーラを解いて、右腕のみに
「より硬く防御するためにはたくさんの
「長時間の戦闘を想定するのであれば、考えて
「そういうことだ。
夜に戦闘して、日中は回復に努めるというのが死神の基本スタイルになる。
「楽しいことを考えるとかですか?」
「それも正解だ。心が満たされることをすればその
「そうなんですね……」
「おすすめはしないけどね。つまり、心を動かすと
「わかりました」
「最後に特殊防御だ。これは難しいし、コツもいるから習得は後回しでいいよ。簡単に言うと
俺は雪城さんの方に腕を振る。すると、雪城さんの目の前に青い壁ができる。
「……すごい……硬い……」
雪城さんは目の前の壁をさわる。
「ひとまずは全体防御と部分防御からだ。まずは自分の身を守れるようにならないと話にならない。じゃあやってみよう」
「はいっ!!」
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