2.雇われメイドになりました
男に運ばれてどこかに着いた。腕の中で猫になってる僕は薄く目を開けその場所を見る
館だ。大きな館。
この男の家なのか?1人でこんなどこに住んでいるのか?というか、妖怪の町からそんなに離れてないぞ、妖気を感じるし。なんだよこの男。
館に運ばれ一室に入る。綺麗に整備された部屋。人間用の部屋だ。ダブルベット…?にマオは置かれる。男は頭を撫で言う
[もし化け猫なら人になれるだろう。力が溜まったら人化して私のところへ来なさい。すぐ隣の部屋にいる。]
そう言って部屋から立ち去る。その後すぐ隣の部屋のドアがガチャンと、開いて、閉まった。
化け猫であることは知られてしまった。何されるか分からない、でももう逃げることも出来ない。マオは布団の中に潜った。
寝ていたのだろうか、数時間が経ってしまった。
〈人化して私のところへ来なさい〉
マオは思い出し、ベッドを降りる。
目を閉じ後ろ足に妖力をため、前足をあげる。そのまま力を放出し目を開ける。うん、できた。人の姿になり、気がつく。
『服がないっ!?』
そうだ、猫化した時ジャージはそのまま捨てたんだった。マオは慌てて部屋にあったクローゼットを開く。2着、服があった。クラシックなメイドの服と、軽そうな部屋着。
マオは部屋着を着て男の部屋に向かう。
そういえば人間のルールとか分からないな
とりあえず入るって知らせるためにドア叩くか。
コン コン コン
[起きたかい、入りな]
マオはドアを開け部屋に入る
男はデスクを立ち、部屋の椅子に座るよう促す。マオは言われた通りの椅子に腰掛ける
マオは警戒して妖力を少し貯めておいている。なにか仕掛けられたら直ぐにカウンターするためだ。
男は少し頬を緩め話し出す
[まぁ、そんな警戒しないでくれ。少し化け猫とは縁があってな、君が追われているっぽかったから、ついね。]
マオは相変わらず警戒している。じっと男の方を見つめ全身に妖力を纏う
[それで、君の名前とか言えるかい?]
『……マオ』
[マオくんだね。もし良ければうちに住まわせたいのだが、どうだい?向こうに戻ればまた追われる日々だろう。寝床はさっきの部屋、食事と風呂もきちんと用意しよう。]
マオは動揺した。なにか裏があるのか。
だがマオにとっては良すぎる条件。
確かに向こうに戻ればまた追われて食事なぞまともに取れないだろう。
(最悪、私は戦える。罠にかかってみるか)
『…わかった。向こうに戻るのもうんざりだし。その話、乗る。ところで、あの部屋にメイド服があった。僕を働かせるのか?』
[あぁ、この屋敷を私一人で回すのは少々苦しいものでね、別にその部屋着でも構わないが、一応メイド服を用意しているんだ。]
なるほど。メイド服…。もし奴らがここまで来た時メイド服を着てたら少しは僕だとバレにくいかもしれないな。館に住まう以上、安全でありたい。
『わかった。あの服借ります。住まわせてもらってるんだ、協力する。』
こうしてマオは、雇われた。
部屋に戻り、メイド服を出して着替え、
隣に置かれたドレッサーに向かい合い、
髪の毛を結って、置かれていた雪の結晶の髪飾りを借りて、両サイドのお団子にリボンをつけ、微笑む。
『今日から私は、雪夜舞音。』
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