あれ、勇者様??

ミツアキ

第1話

 二手に分かれることになった。1人が敵を食い止め、その間に残りの3人で姫の囚われている塔に向かう。

 俺たちは敵の待ち伏せに遭い、囲まれてしまった。こんなところに敵がいたとは。俺たちの向かってくるルートを予想し、兵を伏せていたのだ。こいつらの相手をして体力と魔力を消耗しては、姫のいる塔までたどり着けない。ここで、まともに戦うよりは、誰かが陽動し、敵をひきつけ、その間に塔に向かう方がいい。陽動役は多少危険ではあるが…

「ここは俺が食い止める!先に行け!!ぬあああああ..!!」

ユウヤが絶叫しながら、敵の魔物の群れに斬り込んでいった。魔物達がユウヤに襲い掛かる。なんて頼りになる奴だ。彼はパーティーのために陽動役となり、魔物の群れに突っ込んでいってくれたのだ。ユウヤは剣の扱いが上手く、回復魔法もかなり使える。彼なら上手く凌いでくれるだろう。

 ユウヤの陽動のおかげで魔物の囲みに隙ができた。俺たちはその隙をつき、囲みを突破する。


 塔の守備の魔物がいくらかいたが、たいしたことはない。3人の連携で突破し、塔に向かって走る。もう少しだ。少し息があがってきた。魔力もあまり残っていない。仲間の2人も疲れているようだった。

 塔の入り口に2匹の魔物がいるのが見えた。おそらく、これに加えて塔の中で姫を拘束している魔物が数匹いる。

 俺はパーティーの戦力を考えてなんとか成功できそうだと思った。目の前の2匹と塔の中の魔物を殺し、姫を助け出す。手早くやればユウヤの救援にも向かえそうだ。

 もう少しで成功だ。姫の救出を成し遂げれば王様から巨額の報酬が支払われる。それに魔物にさらわれた王国の姫を助け出したのだ。民衆は俺たちに尊敬のまなざしを向け、俺たちの名声は高まる。もう少しだ。もう少しで俺たちは勇者になれるんだ!!

「キャーッ!!」

 女の悲鳴があがった。仲間のマリだ。


 

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