冬って寒いよね
@nenonezumi
「友達」
現在の気温は、3℃。
室内温度は、22℃に設定して暖房を点ける。
朝、ベッドから起き上がってすぐに、クローゼットから上着を取り出して着る。
洗面所で歯磨きをした後、朝食を食べながらテレビを点ける。
いつもの日課であるめざましテレビを見ると、天気予報は晴れ。ついでにめざまし占いを見てみると、ランキングは八位という微妙な数字。
ラッキーアイテムはスサノオの恰好をしようというものだ。
そしてめざまし占いに書かれていた内容は、
『遊ぶ約束をしている友達が来ないかも 約束はちゃんと守ろう』
というものだ。
なんとピンポイントな占いだ。と思っていたが、実は、偶然にも、今日は遊ぶ約束をしている友達がいる。
そのため、この占いが当たった場合、友達が家に来ない可能性がある。
それはまずい。
俺は占いを信じる派だからな。
だから、ドン・キホーテでそれを買いに行こうと思う。
そう決めたら、早速、朝食を食べ終えると、部屋の暖房を切って、財布をバッグの中に入れて外に出る。
やっぱり外は寒いなぁ……。
<友達視点>
今日、俺は友達と遊ぶ約束をしている。
スマブラをするために、あいつの家に行く。
やっぱり、実際に会ってゲームをする方が楽しいしな。
寒いけど、それでもだ。
あいつの家は、九階建てのマンションの八階にある。
エレベーターでそこまで上った後、部屋の扉の前に着く。
ピンポンを押すと、あいつが扉から出てくる、という事は無かった。
そりゃそうだ。
なにせ、約束したのは昼の一時から。
なのに、朝の十時から来てしまった。
暇すぎて早く来てしまったのだから、悪いのは自分の方だ。
きっと、今頃、寝ているか。
それとも、外出しているかの二択だな。
じゃあ、どうしよう。
こんな所で、ずっと待っているのもいくら友達とはいえ、ストーカーじみてて気持ち悪いし。
せっかく来たんだし、どこか近くの本屋にでも行って、適当に暇つぶししていよう。
それにしても、今日は本当に寒いな……。
<主人公視点>
という事で、一応、買ってきた。
これを着ればいいのか。
占い通り、着てみた。
羽衣とか勾玉はなぜか売ってあったので、着た。
これで、完全にスサノオノミコトだ。
とりあえず、今日はこれで一日を過ごす。
時間は経過して、時計の長い針は一時を指す。
すると、丁度、家のベル音が鳴る。
扉を開けると、なんとそこには母親がいた。
「お、お母さん。ひ、久しぶり」
「あんた、その恰好は何?」
「な、何でもないよ。中入って。それにしても、冬って寒いよね」
その前に母親が来る事を忘れていた。
まさに不意打ちだ。
クッソ……!ラッキーアイテム意味ねえじゃん!
「はぁ、まぁいいわ。あんたが一人暮らししてから、どんな生活してるのか分かんないけど、とりあえず、これ持って来たわよ」
一人暮らししてから、こうして支援してくれるのは嬉しいけど、今じゃねぇぇぇぇ!!!
「あ、ありがとう」
「それじゃあ、一人暮らし頑張って」
母親は玄関でそう言って、俺は帰りを見送った。
---
現在、昼の三時。
ソファーに座ったまま、ゲーム音が鳴り響く部屋で、ひとり寂寥感に包まれていた。
友達が来ない。
おかしい。
だって、二時間も経ったんだよ?
来ないってどういう事だよ。
俺は電話した。
いくら友達といえど、それは許せない。
電話が繋がると、俺は少し苛立った声で話す。
「もしもし、お前、どこにいるんだよ」
「あ……」と、何かを思い出したように一文字呟くと、言葉を繫げる。
「えっと、ごめん……本屋で本読んでると、面白い本があって夢中になっちゃった。許して!」
俺は、その言葉を聞いた時、
怒りのまま、
口から出る感情を露わにした。
「許せるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
冬って寒いよね @nenonezumi
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