第15話 辞書

持たされた本を持って読書室に向かう。それにしてもここの図書館広いな。この馬鹿でかい本棚だけでもすごいのに読書室もついているなんて。広すぎて逆に移動がつらいくらい広い。そしてこの本重すぎ!貧弱な俺には厳しすぎる。

「大丈夫ですか?」

話しかけてきたのは若い女性。そして俺のタイプにドンピシャって感じ。見た感じだと職員ではないようだけど普通に親切な人なのかな?

「すいません。」「大丈夫ですよ。もしよかったら手伝いましょうか?」「本当ですか!それならお言葉に甘えて。」

一応俺のほうが年下だけど男なので3冊持つことにする。もっと持てるだろという突っ込みは認めません。だって重いんだもん。まだ少年の俺の体だとつらい。

そうしてその女性と話すことができないまま読書室についてしまった。

「ここでいいですか?」「そこで大丈夫です。ありがとうございます。」「それじゃ私は予定があるので。」

そういうと彼女は行ってしまった。なんかすごい落ち込んでいる自分がいる。まあ縁がなかったと思うことしかできない。そういうのも含めて相性だと俺は思う。

これ以上考えると悲しくなりそうなので辞書に目を通すことにする。この辞書は名前順で並んでいると思いきや発見順に並んでいるようだ。いや探すのがめんどくさすぎる。ちょっと心が折れかけている俺がいる。呼んでもないのにもう心が折れてるって大丈夫かな。なんかこのまま返してしまいたい。でもさっきの女性も手伝ってくれたんだしちゃんと探すことにする。別に読み込むわけじゃないからパラパラとめくっていく。ちゃんと読んでいくと面白そうだけどこれを家にまで持ち帰る勇気は俺にないしそもそもこの本は貸出不可っぽい。

とりあえずざっと探したところだとない、、、、え?ない?そんな馬鹿な。探すために今日一日を溶かしたのにないなんてことある?もしかしたら見落としているだけかもしれないけどここからもう一回探すなんてことは無理。もう疲れたし早く家に帰りたい。この本を戻して、、、、本を戻す?どうやったらいいんだ?回収してくれるようなものは見当たらないしどうしよう。とってくるのは虫だけど戻すのは自分でやるなんてことはないと思いたいけど。

結局カウンターに聞いたらおいておいていいということだった。なんか片付けてない感じがして罪悪感がするけどそれが普通ならしょうがない。これで責められることはないと思うしきっと大丈夫。

そして改めて考えると今日の収穫は何もなし。それなのに大量の時間を溶かした。

、、もしかしてめちゃくちゃ無駄なことしていた!?


あとがき


読んでいただいてありがとうございます。これからも不定期に書いていくのでよろしくお願いします。


そしてアドバイスなどがありましたらコメントお願いします。

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