第5話 おみっちゃん!
ワテは人力車を引いてる時が、最高に幸せです。
カラカラカラ。
時々、ガタン、ガタンて。
それでも腰と肩にかかる重み。
それを抱えて走っていると。
目の前が。
白く、そう、白ぉなって・・・。
ええんやなぁ・・・。
汗、びっしょりになって。
車屋に帰ると。
おみっちゃんが。
出迎えてくれるんです。
お父はんの、実の娘。
眩しい。
跡取り娘です。
「お帰りなさい、新吉っつあん」
優しい声がワテを包んで。
天国に連れてってくれます。
ワテは嬉しくなって。
懐から紙包みを。
小鳥の女将さんから貰った。
カラメルです。
女将さんに言わすと。
只の、砂糖の塊りや、そうです。
でも、ふんわりと甘い香り。
明治時代のワテらにとって。
想像もつかん。
甘い甘い、お菓子です。
せやから。
おみっちゃん。
可愛い顔を。
もっと、愛らしく。
ワテに。
最高の笑顔をくれました。
「おいしぃっー・・・」
ワテの疲れは。
いっぺんに吹き飛んだのでした。
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