第4話 ダンさんの商売

ダンさんは週に一回。

ワテを呼び出します。


多分。

それ以外は。


大阪に。

いや、日本におらん、ちゃうかなと思います。


広い、立派な屋敷には。

誰もいません。


召使も。

ばあやも。


誰もいない、不思議な雰囲気です。


こんなに金持ちそうなのに。

奥さんどころか、家庭の匂いが一切、しないのです。


それでいて。

着ているものは超、極上。


羽織袴は。

結城紬。


お金に関しては、不自由どころか超、お金持ちのようです。


それでいて。

偉ぶるわけでもなく。


ワテと一緒に。

屋台の天ぷらなんか、フウフウ、言いながら食べてます。


「金は不自由しない程度で、ええんや・・・」

ふと、漏らした言葉を聴いていると。


「この時代にいる時はな・・・」

ワテが意味も分からず、怪訝そうな表情でいると。


「あっ・・・ああ・・・何でもない・・・」

慌てて打ち消しました。


今でも理解できないワテは気にするまでもなく。

今に、いたっています。


今日は久しぶりに。

小鳥(こがらす)さんちに行ってきました。


台所で食べた。

赤い汁みたいな食べ物。


少し甘く、酸っぱくて。

トロリとした喉越しと、柔らかい肉。


なんやろ。

醤油やミソ以外の調味料。


もしかして。

これが、西洋料理。


文明開化の味?


シチュウ。

いう、らしい。


ホンマ。

美味しかったなぁ・・・。




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