第3話 ダンさんの暮らし

ダンさんの家は山の手で。

物凄く、広い家に住んでいました。


そやけど。

人力車を頼む日は週に一回。


他の日は、どうしてはったのかしら。


ダンさんが来る日は、ほぼ、週に一回。

その日は、ダンさんがワテを貸切にして、専属になります。


せやから。

ダンさんが、株の取引所にいる間でも。


ワテはジッと、帰りを待ってました。


その間。

サボったりはしません。


いつ、なんどき。

ダンさんに呼ばれても飛んでいけるように。


番犬みたいに。

ジッと、待っていたんです。


「なんや、そないな目ぇで・・・」

ダンさんは困ったような、それでいて、嬉しそうに言いました。


「ちょっとくらい、ゆっくりしとっても、ええのに・・・」

それでも、ワテの頭を撫でながら優しい声で言いました。


「ほな、美味しいもんでも食いに行こかぁ?」


これが、「小鳥さん」の家に訪問する最初の日のことでした。


※※※※※※※※※※※※※※※


「な、何や、これぇ・・・?」

初めて食べた台所での「残り物」。


凄く、衝撃的でした。

ヌルっとして、甘酸っぱくて。


コリコリした後、ジュワっと肉汁が。


「どうや、美味いやろ・・・」

得意そうにダンさんが言います。


「エビマヨっちゅうねん・・・」


ワテはその言葉も聞こえんくらい。

夢中で、ほおばっていました。

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