19.来島冬木は破壊される
ユウくん達からめちゃめちゃ怒られた。
何を怒られたって? スカートたくし上げスク水見せつけプレイの件です。
「レイちゃん? 女の子がそういうの本当に良くないと思う」
「レイ、お前本当にそういうところだぞ?」
「
三人からお説教されて
仕方ねえだろNTRヒロインは基本的に性的ガードガバガバの倫理観ゆるゆる女なんだから。
間男にどう考えてもレイプ紛いな迫られ方されたり、公衆の面前で乳揉まれたり尻触られたりしても、精々「や、やめてください……」みたいなヨワヨワな抗議するだけで、訴訟をチラつかせない
もちろんそんな内心は、おくびにも出さずに「はぁい」と殊勝に反省したフリをする。
真面目ぶりやがって子猫ちゃん達め。スカートたくし上げた時に、3人とも私の下半身に滅茶苦茶視線が行ってたの私は気付いてるかんな。
さて、何はともあれプール授業である。
更衣室で定番の「ユリちゃんでっっっっか」みたいな百合の押し売りをして、彼女の好感度を稼いだりしながら、プールサイドへ。
プール槽の中心を境に男女でエリアを分けて、それぞれに生徒が整列をする。
「うわ、フユキくん腹筋えぐっ。ユリちゃん見て見て」
「み、見ないよぅ。うう、水着は体型隠せないから嫌だなぁ……」
「ユリちゃんスタイル良いんだから、もっと自信持てばいいのにぃ」
そんな百合百合しいやり取りをしつつ、視線が合ったユウくんとフユキくんに、小さく手を振ったりしてアピール。ついでに山田くんにも。
「白瀬の胸やべえな……」
「音虎さん足なっが……」
「白瀬さんのおっぱいすげえな……」
「レイちゃん腰ほっそ……」
「白瀬でっっっか……」
男子の邪念に満ちた視線に気づかないフリをしつつ、にこやかに笑顔を向けたりしながら準備体操。
授業は自己申告制で、初級から上級に分かれてレーンを使うとのこと。私はバリバリ泳げるのだが、ここはユリちゃんに合わせて初級コース。楽ちんだしね。
「レイちゃんはてっきり上級コースかと思ったんだけど……」
「ユリちゃんシーッ! 別に自己申告制なんだからいいじゃない。ユリちゃんと一緒に泳ぎたかったし」
そんな感じで、ビート板を使ったりしながら適当にプカプカ浮かぶこと数十分。
「それじゃあ、残りの時間は自由にしていいぞー」
授業を監督していた先生の言葉に、男子たちから歓声が上がる。
女子たちは『男子ってお子様ねー』みたいな感じで呆れているが、まあ去年まで小学生だったんだし、こんなもんでしょう。
「レイ、お前なんで初級コースなんだよ」
男女エリアを区切るレーンロープ付近で、プカプカやってた私にフユキくんが声をかけてきた。
カモがネギしょってやってきたぜェ。グヘヘヘヘヘ。
鬼龍みたいになってる内心を完全に覆い隠し、私は美少女フェイスでレーンロープ越しにフユキくんとお喋りする。
「別にいいでしょー。タイムを競ってる訳じゃないんだから」
「ちぇっ、小学生の頃のリベンジ狙ってたのに」
話しながら、フユキくんは私の顔を不自然なぐらいに真っ直ぐ見つめてくる。
恐らくは私の胸を見ないようにしているのだろう。実に紳士的だが、視線が固定されてて逆にぎこちないぞ。そういうの純愛和姦系寝取り役として凄く良いと思う。イエスだね!
「ユウくんは?」
「ん、あっちで背泳ぎの練習してた。呼ぶか?」
「ううん、邪魔しちゃ悪いから。フユキくんも、泳ぎたかったら向こう行っても大丈夫だよ?」
「俺は実力詐欺でサボってた誰かさんと違って、授業中にガッツリ泳いだからいいんだよ」
軽口を叩いてくるフユキくんに、私はぶぅと可愛らしく頬を膨らませる。
そりゃあ近くにユウくんも居ないし、水着姿の私とお喋りする方を優先するよね。計算通り。
「そういえば、フユキくんお腹すごいねー。バッキバキじゃん」
「……お前、それ結構セクハラじゃね?」
「この間、人の胸が無いとか言ってた誰かさんに言われたくないなー」
「それ持ち出されたら俺は何にも言えねえじゃんよ……」
「あはは、ごめんごめん。でも、本当に凄いよね。男の子って感じで、私は良いと思うな」
ニヤリと微笑みながら、私は足を伸ばしてフユキくんの腹筋に触れた。
「ヒュ――ッ!? おま、何を……!?」
「わぁー、本当にカッチカチ。やっぱりプロテインとか飲んでるの?」
ニコニコと微笑みながら、私は
無論、性癖を破壊するのが目的である。
フユキくんは結構な人気者だし、言い寄ってくる女子は非常に多い。
まあ、間男枠は最終的に私を寝取ってさえくれれば、途中で誰かと交際していても別に構わないのだが、フリーを貫いてくれるなら、それはそれで都合が良いのも事実だ。
「ねえねえ、手で触ってみたいから、もうちょっとこっちに来て?」
「~~~~ッ」
という訳で、こうしてフユキくんの性癖を滅茶苦茶に破壊して、あわよくば私以外でヌけなくなったらちょうどいいな~と思い、無知シチュ紛いな行為をしているという訳である。
だが、そんな私の目論見はどうやら頓挫するようだった。
「はーい、自由時間終わりだぞー。全員上がりなさーい」
「ありゃ、時間切れだ」
先生の声に、私は水を蹴ってフユキくんから離れる。私は引き際を弁える女なのだ。
「それじゃ、また後でね。フユキくん」
「………………」
顔を真っ赤にしたフユキくんが、妙に時間を掛けてプールから上がってくるのを見て、私はちょっとだけ申し訳ない気持ちになるのだった。流石にプールで性癖破壊しようとするのは無法が過ぎた。
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