第627話 狂ピーポー系ヒロイン
『ちなみに斎藤義龍の母・
ほーん? 深芳野さんは私の義母ってことになるから……つまりお兄様や私にとっての叔父さん? そう言われてみれば顔つきはどこかお兄様に似ている気がするし、身長が高いところも一致している。
『深芳野も身長は180cm~190cmくらいあったとされていますし』
戦国時代の女性どころか、現代の男性と比べても高身長。お兄様が195cmくらいだっけ? なんだこの一族身長高すぎでしょうに。少しくらい三ちゃんに分けてやってくれ。
「え~っと、一鉄さんは私の叔父さまということになるのですか?」
「その『一鉄』とは……? いや、不思議と
「あら、そうですか? では、その時はよろしくお願いしますね」
頑固一徹の語源になったのならもうちょっと気むずかしくて寡黙な人なのかなと思ったけど、意外や意外。口数の多い人っぽかった。
『そうですね。残された逸話からすると、頭の回転が速く、小粋な人柄だったのかもしれません」
ほうほう?
『たとえば、稲葉一鉄に関する讒言を受けた織田信長はその讒言を信じ、一鉄を殺そうとします』
【ちなみに『讒言』とは嘘偽りを目上の人に訴え告げることですね】
あかん、解説キャラがダブルでダブル解説だ。
『そのとき一鉄は茶室の掛け軸に記されていた漢詩を読み下しながら無実を訴え、難を逃れます』
【その漢詩について解説しましょうか?】
いえ結構です。
『一鉄の態度に感じ入った信長は「実はお前を殺すつもりだったのだ」と告白するのですが、対する一鉄も「拙者もそれを察して一人くらい道連れにしてやろうと思っていたのですよ」と懐刀を見せるような小粋な人物ですし』
小粋というか頭おかしいというか。戦国時代の
『あなたよりはマシです』
まるで私が戦国時代ピーポーを遙かに超える狂ピーポーであるかのような物言いであった。解せぬ。
そんな戦国ピーポー・稲葉一鉄さんにはプリちゃんの姿が見えないので、構わず話を進めてくる。
「姫様のお作りになった養生院ですが、評判は西美濃にまで届いております」
「そうなんですか?」
「えぇ。拙者も漢方医学を学んではいますが、西洋の医学については無知。ここは姫様にご教授願いたいのですが……」
「それは構いませんが……。こんな小娘に教えを請うのは、立場的に大丈夫なんですか?」
「ははは、心ない者は『血の繋がらぬ姪に取り入るとは情けない』と噂するでしょうが、そんなことは言わせておけばいいのです。――いざとなれば首を落とせばいいのですから」
最後にサラッと黒いことを言う一鉄さんだった。うーん戦国時代ピーポーである。
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