第596話 修羅場開始(ドキドキワクワク)
※すみません、投稿する順番を盛大に間違えました。9時頃まで投稿していたエピソードはまた改めて投稿させていただきます(._.)
さぁいよいよワクワクイベント――じゃなくて、光秀さんの修羅場開始である。
『そういうところです』
こういうところらしい。
やって来たのはもはや我が庭とすら言える末森城。謁見用の広間で、一段高いところに座っているのがお義父様。尾張の虎、器用の人と称えられる織田信秀である。
お義父様の前で頭を下げているのが光秀さん。なんかもう処刑を待つ死刑囚的な雰囲気を発散している。
そんな光秀さんの隣には早苗さん。今の光秀さん、中々に情けない姿なのだけど、早苗さんが光秀さんに向ける目は温かだ。もしかしたら「私のために父と対峙してくれている! 素敵!」系に見えているのかもね。
「ふむ」
お義父様がちょっと声を出しただけで『ビクッ』とする光秀さん。ははーん、お義父様、光秀さんをからかって楽しんでますね?
人生経験豊富な私にはお義父様の真意を察することができたけど、まだまだ若造な皆様方はそんなこともできないらしい。光秀さんなんて冷や汗だらだらだし、部屋の両隅に控えるお歴々も居心地悪そうに身じろぎしたり視線を漂わせたりしている。
ここで「よくもこの場に顔を出せたものだな! 痴れ者め!」と光秀さんを糾弾する人がいないのは、お義父様の反応を待っているのでしょう。もしも主君が望まない対応をしてしまったら大変だからね。
う~んなんという恐怖政治。さすがは三ちゃんのお父さんか。
『恐怖うんぬんは、あなたは人のことを言えないのでは?』
まるで私が恐怖で人を支配しているみたいな物言い、やめてもらえません? 私ほど慈悲深く温厚で慈愛の精神で人々を洗脳――じゃなくて改心させる美少女はいないのだから。
『そういうところです』
こういうところらしい。
「よくぞ我が前に顔を出せたものだ、と、ひとまずは褒めておこう」
クククッと悪い笑みを浮かべるお義父様。こりゃ絶対悪役だわ。
そんな悪役と対峙する光秀さんが正義の側かというと……う~ん、落とした城の城主の妻を手籠めにしている時点でだいぶ悪役よね。全員悪役。
『光秀さんが悪役なら、その原因となったあなたは正真正銘の悪党ですね』
解せぬ。
解せぬっていると、何とか覚悟を決めたのか光秀さんが虫の鳴くような声を絞り出した。
「さ、早苗殿を側室に迎えたく」
言ったぁあああぁあっ! よくぞ言ったぞ光秀さん! ヘタレのくせによくぞ! よくぞ言ってみせた!
『ヘタレって』
光秀さんは割とヘタレなのでは? 帰蝶ちゃんは訝しんだ。
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