第5話 学校事件〈草〉

昨日、学校の理科室が燃えた。私達三人は、キララが犯人かもしれないと

睨んでいた。

「さて、一限目の準備するか!」

「いや切り替えまでが早いな。」

「私、寝て切り替えるから‼」

「何その機能。」

「でしょ!さっ、早く行こう‼」

「「うわっ!」」

私と桜はフウカに強引に引っ張られて、教室へと向かった。


一限目が終わった休み時間、またもやキララに会った。

「「「あっ…」」」

「ど…どうも。こんにちは…」

「あなた、吞気ね。理科室が燃えたって言うのに。」

「いや、そうでもないです。最初はパニックだったので。」

「それでもよ。なんでそんなにのんびりしているのよ?」

私は、今しかチャンスがないと思い、キララに声をかけた。

「キララ。」

「ん?何かしら?私あまり時間ないのよ。」

「じゃあ、単刀直入たんとうちょくにゅうに聞く。昨日の事件、犯人、

あなたじゃないの?」

「あら、何を言っているの?何か証拠とかあるのかしら?」

「証拠は特にない。だけど、単に心当たりがあったから。」

「じゃあ、私を疑わない事。けど、フレイムね。犯人、

光君じゃないかしら。あの人、やんちゃだから。」

「いや、それは…」

「じゃあね。私は、授業があるから。」

私達は、何も言えずに、モヤモヤしたまま、次の授業へと向かった。


全ての授業が終わり、放課後、エントランスに出た私は、

つい「またか…」とため息をついた。

何名もの生徒が、つたでぐるぐる巻き状態にされていた。

しかも、魔力が吸われるらしく、最初はあがいていた人も、

段々と衰弱していた。

「これはヤバい…」

「私と桜は、属性相性最悪だから、フウカの風魔法でお願いしてもいい?」

「まっかせて‼『攻撃魔法 疾風の嵐』」

「た…助かった…ありがとう…」

「だけど…この量は…」

フウカの言う通り、エントランスでぐるぐる巻きにされていた人は、

ぱっと見約100名はいた。この魔法学校ダイアモンドは、全校生徒

800名。8分の1が捕まっていた。と、桜が私に声をかけた。

「ねえ…この中に、もしかしたら、草属性グラスに有利な人がいるかも…」

「…!桜それだ‼だけど、たぶんその人達は衰弱してるかも…」

「私の広範囲の回復魔法があるけど、流石にこの範囲は広すぎる…」

「もっと広い回復魔法が出せる属性…」

その時私は閃いた。この範囲を包めるような属性…!

「桜!月属性ルナ‼」

「え…?」

月属性ルナの回復魔法なら、このエントランスを包める‼」

「けど、月属性ルナって魔法石がムーンストーンだよね…」

そう…この世界ではローブを着用し、結ぶところに魔法石がはめ込まれている。

魔法石は属性によって違う。そして月属性ルナの人のローブには、

ムーンストーンがはめ込まれている。そして月属性ルナの人は少ない。

早くしないと襲われている人達が…フウカの魔力も残り少ないはず…

「お願い…助けて…」

私が願った時、私のローブのアクアマリンが輝いた。と同時に、光が現れた。

「え…何…?これ…?」

ひかりがすうっと消えたかと思ったら、私のローブの宝石が、

ムーンストーンへと変わっていた。

そうだったんだね。」

「え…なんで光が…?」

「説明は後!取りあえず助けること優先!絆‼回復魔法唱えて‼」

「…‼うん!やってみる…‼」

私は助けることを優先にして、魔導書を開いて、月の回復魔法を唱えた。

「『回復魔法 月光の霞』」

「あ…魔力が…戻ってきた…?」

私は応援を求めるために叫んだ。

「誰か!草属性グラスに有利な属性持っている人!光に加勢して‼」

フウカと光がつたを切り、属性が有利な人がフウカ達に加勢する。

その状態が続いた。そしてやっと、約100名を助ける事ができた。

その頃には二人共疲れ果てていた。

「ふう…疲れた~。」

「フウカ、光、ありがと…今回私、何にも出来なかった…」

「いや、桜は私に助言、くれたでしょ?ありがとう。」

「…!うん…そうだね…ありがと…」

「泣かないでよ~。」

私は桜にお礼を言った後、光に尋ねた。

「ねえ、さっきの『やっぱり』って何?」

「ふふふ…それはね……その内教える~。」

「え~⁉何それ?!意味分かんない!教えてよ!」

「大丈夫‼その内、その力に目覚めると思うから!その時に教える‼

それじゃあ俺は帰るから!じゃあね‼」

「いや意味分からない!教えて~‼」

「やっぱり好きじゃん。」

「違う!光、あの意味教えて‼」

何故か月の魔力を使えた私は、その後いくつかの事件が起きた後、

この魔力について、衝撃の事実を知ることとなった。

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