第4話 ヒロイン大勝利!?
「というわけで、ワルキュラよ。
そもそもわたし以外は、彼女にプレゼントなど贈っていないし、プリシラ嬢も受け取っていない。
ちなみに、その購入費用も、わたしが個人的に運用できる資産から捻出しているので、国家予算から不正流用もしていない。
さて、お前の言い分は全て論破されたわけだが……
まだ何か言うことはあるか?」
「ぐっ」
悪役令嬢は唇を血が滲むほど強く噛んでわたしを睨み付ける。
そのすさまじさに思わず震えてしまうと、カリナン様がそっと抱きしめてくださる。
ああ、本当に殿下は素敵。しかもわたしを愛してくださってる。
裏設定まで知っているから、本当に好きになれるかしら……って心配したけど、恋ってそういうものじゃないのね。引きニートが、知識やフィクションだけで判ってるつもりだったのとは全然ちがった。
肉体接触に関しては、何度か情熱的なキスは交わしたけれど、それだけ。
フィクションに出てくるような婚約破棄やらかし王子は、肉体関係をガツガツと求めてくるものだけど、カリナン様は、ほんとうにわたしを大切にしてくれて、こらえてくださってる。
わたし、本当に彼が好きになってしまったの。
もし王子でなくなったとしても、彼が好きよ。
大丈夫。
何度も確認したし、大丈夫。
わたし、引きニートで、なろう系の小説読みあさってたから、ざまぁに対する護身は完璧。
悪役令嬢は、闇魔法も光魔法も使えないし、というかこの世界に魔法ないし。
妖精王とか聖女とかそういうのでもないし、というかこの世界にそういうのないし。
王家とつながってカリナン様より高い継承権とかも持っていないし、強大な隣国の皇帝の隠し子でもないし!
何かスゴイ発明の才があって、それがこの国の基幹産業だったりもしないし!
本人にすごい武力とか、パンチ力とか、金の力があるわけでもないし、人望もないし!
強大な高位貴族のおさななじみとかいないし!
人智を越えるほど彼女を溺愛している義姉、義妹、義兄、義弟もいないし!
王家の方にもちゃんと根回し済み。
悪役令嬢の実家ってちょっと力がありすぎるんで、王家としても潰したいらしいのよね。
この断罪を国王陛下は黙認し追認するつもりだっていう言質も証拠の書類もとってあるし。
実は1年前から妃教育とかも受け始めてるし! 頑張って勉強してるし!
よくいるヒドインみたいに、我が儘言ってさぼったりもしてないし!
筋がいいって褒められてるし!
それに悪役令嬢の実家についても調査したのよね。
そうしたら人身売買とか、麻薬の取引とか、武器の密輸とかもごろごろ。
マジで悪役令嬢にふさわしい実家だったわ!
カリナン様と側近方はそれに対しても備えをしてるのよね。
明日には、悪役令嬢の実家にも武装した部隊が突入するてはずよ。
わたしの、いえわたし達の計画に抜かりなし!
カリナン様は、きびしい目で悪役令嬢を睨むと、重々しく告げる。
「アルヘンシラス公爵令嬢ワルキュラ!
そなたの悪事の数々明々白々である!
更に、プリシラ嬢が私達に淫らな罠をしかけているという偽りの告発をしていた時、そなたは、なぜか私を始めとする側近達のうちあけたことなき秘事まで知っているくちぶりであったな。
そこから判断すると、そなたが他国のスパイと繋がっている、ないしはスパイそのものであるという可能性も疑わねばならぬ。
これは見過ごしにはできん! 厳しい詮議の必要あり!」
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