十八学期 完璧な者達
今日も水野さん、お休みかぁ……。
あれから2日。保健室の先生は、すぐに治る的な事を言っていたが、どうやらかなり風邪をこじらせてしまったようで……今でも普通に熱は、あって辛い様子だそうだ。
うーん……。やっぱり癒し枠がいないと……私の心が持たないよぉ。はぁ……水野さんってなんかこう……全体的にもふもふしてる感じで可愛いんだよなぁ。恋しい……。
一限目の授業を終えて、ボーっと座っていた私。普段みたいにクラスの女の子のあんな所やこんな所をジロジロ見たりはせず、窓の外を眺めていると、突如クラスメイトの1人に話しかけられる。
「……日下部さん! 呼ばれてるよ!」
クラスメイトの女の子に呼ばれて、教室のドアの方を振り返ってみるとそこに立っていたのは……。
「え!? 会長!」
マジかよ! 会長自ら来てくれるなんて……! なんて素晴らしいんだ! なんだろ……もしかして、毎朝の私の猛アタックが効いたのかな?
私は、ここ最近挨拶週間というイベントを利用して校門の前で立っている会長に毎回、あいさつの後に話しかけていた。それは、なぜか……ふっ、決まってるだろ。こんな綺麗な人とお近づきになりたいに決まってるじゃないか! それに……
理知的に……且つ、本能的に考えて会長と仲良くなる必要は大いにある。むしろ、得しかない。なんたって、仲良くなれれば毎日……。
このおっぱいを拝む事ができる……! このおっぱいを毎日、好きなだけ……!
ぐふふ……! そのためなら私は……悪魔にだって魂を売れる!
そして、今日ついに会長自身から私の元へ来てくれたと言う事は……何かあると言う事! なんだろう……。デートのお誘いかなぁ? とうとう、私の完璧っぷりに惚れて……。
「……日下部さん、その……今日の放課後空いてますか?」
「はいっ! がら空き……じゃなくて、空いてます!」
「……良かったぁ。じゃあ、ごめんなさい。ちょっと放課後に折り入って頼みがあって……」
きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! やっぱり、デートのお誘いか! 会長と……ぐふふ、他の男どもにも成し得なかった氷会長の初デートを……私が……!
「……今日の放課後、クラス委員のお仕事をの頼みたくてさ……」
「……え?」
*
――氷会長の言う通りに放課後の時間を迎えると……私はクラス委員の仕事に駆り出されていた。どうやら、今日は運動会のクラスポスターを作る日らしく、それを作るのもクラス委員の仕事らしい。
実際、私達の学校の運動会は、毎年5月の終わり頃らしく……この時期になると段々、どのクラスも忙しくなってくるらしい。
しかも、大変なのが……運動会の後すぐに中間テストがあると言う事。いやぁ、まぁ……私は全然大丈夫だけどさぁ。普通の高校生なら死んじゃうよ。まぁ、私は勉強なんかしなくても余裕だけど……。
と、まぁそんな事を考えながら私は、ポスターに色を塗っていた。ポスターに描く絵は、既に決まっているらしく……大まかな絵は既に下書きされている。後は、絵を塗っていくだけらしく……。大きな旗の下にブルーシートを敷いて、体育館の中で地道にぬりぬりしていた。
いやぁ、本当なら今回も水野さんが隣にいてくれて、一緒にぬりぬりしてくれるはずだったんだけど……。私は、1人。愛木乃ちゃんは、自分のクラスの旗塗りがあるし……。
1人で塗り続けるのも意外と大変だ。自分の任されている範囲を塗りつぶせばいいのだが……旗がデカいせいでなかなか進まない。
と、私が少し旗塗りに飽きだして来たその時だった――!
「隣、失礼しますね」
そこに現れたのは、青髪の美人……氷会長! って、あれ? さっきまで3年生同士で作業していたはずじゃ……。
「……会長、どうして?」
「……あぁ、気にしないで。日下部さん、今日1人で大変だろうし……」
なんてこった……。会長、今日デートできないからって……積極的過ぎるだろ!? そんなに私と話したいだなんて……。日頃の努力の賜物だ! (2日だけだけど……)
よーしっ! 今日は、沢山話しかけちゃうぞ! そして、お近づきになって……ぐふっ! ぐふふ……。
*
早く帰りたい……! 日下部さんの隣に来た私=水野氷は、今すぐここから逃げ出してしまいたい気分だった。いや、だって……なんなのだろうこの子は……普通の男子生徒よりもなんだか……ジロジロ見られている気がするというか……本能的な恐怖を感じる。なんだろう……。この人は、私の何処を見ているんだ? 私ってそんなに見る場所あったっけ?
ちらっと一瞬だけ下を見てみる。……私の量の目に2つの山が見える。
……もしかして。いえ! そんなはずないわ! 瑞姫だって、日下部さんは良い人だって言っていたじゃない! 妹の言う事を信じないでどうするの……私!
「……会長?」
「……あっ、あらぁ? どっ、どうしたのかしら?」
「あぁ、いえ……なんだか、様子が変だったので……」
「いえ! 大丈夫よ! 気にしないで。作業を続けましょう!」
私は、慌てて作業を再開。それを隣で見ていた日下部さんも一緒になって色を塗り出してくれた。少ししてから日下部さんが口を開く。
「……会長って、どうしてそんなにお綺麗なんですか?」
「え……? いっ、いや別に私なんて……」
「そんな事ないですよ! 特にそのおぱ……いえ、綺麗だなって」
え……。なんか今、この子と一瞬だけ目が合わなかったというか……いえ、絶対今何か危ない事言おうとしましたよね!? 日下部さんって、やっぱり私のむっ、むっむぅ……。
あぁ、どうしましょう……。なんか、話せば話す程……日下部さんの事、苦手意識が出てきてしまう!
そもそも……瑞姫が変な事を私に頼むからこんな事に…………。
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