十三学期 反逆者
「それでは、これから……2023年度のクラス委員会議を始めます」
とある空き教室の机を会議用に四角形で真ん中を囲むような形の配列にして……三角コーンみたいなものにクラス名の書かれた紙の配列通りに座っていく……。
私と水野さんは、同じクラスのクラス委員と言う事で隣同士。一緒に座って前で話をしている3年生のクラス委員長の話を聞いていた。ふむ……まぁ、至って普通のクラス委員会議って感じね。周りにいる人たちも皆、各クラスの明るそうな人とか真面目そうな人を集めてきた感じで……まぁわりと何処にでもあるような感じのクラス委員会議だな。
……って、思う反面。
「……えっと、どうしたの? 水野さん? さっきからそわそわして……」
なんだか、とってもそわそわしてて落ち着きのない感じの水野さんを見て、私は心配そうに声をかける。
「……あっ、いえ…………その、大した事ではないんです。ただ……」
「ん?」
どうしたのだろうか。熱でもあるんだろうか。少し心配になりながら水野さんの言う言葉を待っていると彼女は、紅くなった頬っぺたを両手で抑えながら恥ずかしそうに言った。
「……なんだか、その……こうやって一緒に座っていると……まるで、結婚報告してる時の有名人になった気分ですね……!」
うーん。やっぱり熱あるかも? この子。後で、保健室にでも行かせた方が良いかなぁ?
「……あら? 水野さん、なんだかとっても頬っぺた赤いですわよ。後で保健室につれて行ってあげましょうか?」
すると、隣の2-3と書かれた三角コーンの席から今度は、愛木乃ちゃんの声が……って。
「……なんで、アナタがここにいるのよ?」
「……あら? 言ってませんでしたっけ? 私、日下部さんと同じ委員会に入りたかったので、つい……手を挙げちゃって。うふふ……こっちでも一緒ですね。よろしくお願いします」
「……なんで、ちょっと嬉しそうなの…………」
「そりゃあ、お友達と一緒の委員会だなんて嬉しいに決まってますよ」
「……そのわりには、なんだか嬉しいだけじゃない気もするけど……」
「……何か?」
「ううん。何でもないよ」
まぁ、確かに仲の良い人が何人かいた方がやりやすいかぁ……。と、そんな事を私が思いながら3年生のクラス委員長の先輩……名前は……なんだったかな? その人の話を聞いていると、その時だった。今度は、愛木乃ちゃん達のいるのとは、逆の方向から聞き覚えのある人の声が聞こえてくる。
「……あらぁ? 日下部さんじゃないですの。こんな所で、また会うなんて……奇遇ですわね」
「ん? どちら様ですか?」
「……金閣寺・F・恋金! 今朝名前言ったばかりですわよ!」
「……あっ、あぁ……銀髪時さんかぁ」
「金閣寺です! というか、金髪なのに銀髪って、貴方どういう神経してますの!」
「……あぁ、ごめんなさい。名前覚えるのは、苦手で……次は、間違えないようにするわね。銀杏字さん」
「……金閣寺ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「……そこ! うるさい! 一年生で、入学してはしゃいでるのかもしれないけど……ここは、クラス委員の会議場所よ! TPOをわきまえて! アナタ達、光星
高校の生徒としての自覚は、あるの?」
「……すいません」
「……申し訳ございませんですわ」
あーあ、怒られちゃった。せっかく、クラス委員長のおっぱい見てたのに……
この西園寺さんのせいで……。私の完璧美少女としてのイメージが少しズレてしまうわ……。はぁ、これからまた……少しずつ修正していかないと……。
そんなこんなで……私達の放課後のクラス委員の集まりは、各クラスの顔合わせと今後の活動方針について話す程度で終わった。私と愛木乃ちゃんは、帰る前に水野さんを保健室に運んであげて少し診て貰おうと思ったため、水野さんを運んで保健室に連れて行く事にした。
保健室の先生は、水野さんの顔を見るなり、すぐに熱を測らせる。……ちなみにこの時、制服のボタンをはずすのを手伝ったのは、当然私。当たり前でしょ?
そして、熱を測り終えると先生は、水野さんを寝かせてから言うのだった。
「……軽い風邪ね。水分とってよーく眠る事ね。先生、これから下でドリンク買いに行ってあげるからよく休むのよ」
「……あっ、ありがとうございます」
お礼を言うと保健室の先生は、少し妖艶な笑みを浮かべて微笑み、保健室から出て行ってしまう。
うーん。しかし、あの保健の先生も……なかなかのダイナマイトボディーの持ち主。いや、素晴らしかったな。こうやって会うのは初めてだけど……。うーん。たまらん。……黒タイツから見える素晴らしいムチムチの太もも……そして、ヒップライン。白衣がまた大人っぽさを強調していて、素晴らしい。
いなくなってしまった事が惜しい位だ……。
「……日下部さん? どうしたの?」
「……あっ、あぁ! いや、何でもないよ。それで、どうしたの? 愛木乃ちゃん?」
「あぁ、いや私がー……っていうよりはね」
「ん?」
どうしたのだろうか? 愛木乃ちゃんがチラッと後ろに視線をやった先には、寝ている水野さんがいる。さっき先生に少し横になってから家に帰ろうと言われたばっかりで……とても具合悪そうに寝ていた。その水野さんが私の方を見てきて、言うのだった。
「……ごめんなさい日下部さん。私のせいで……」
「……良いのよ。それよりも……今は、少しでも休んで」
「……ありがとう……ございましゅ」
可愛いなぁ。この子……ほんっとうに可愛い。こういう守ってあげたくなっちゃう所が……最高なのよ。
と、本音でつい「ぐへへ」なんて笑いが出てきそうになった所で水野さんが言った。
「……それで、もしよろしければなんですけど……お水を一杯飲ませて貰っても良いですか?」
「……ん? あぁ、分かりましたよ」
私は、すぐに水野さんのために保健室にあった紙コップを発見。お水は、既に入っており、誰も飲んだ痕跡がない事から保健室の先生が気を効かせておいてくれたものなのだろう。水野さんの元へそれを持って行くと、彼女の体を起こしてコップを渡して飲ませてあげた。
「……ふぅ」
喉を潤わせた水野さんが、さっきより落ち着いた表情でコップを私に返してから喋り出す。
「……ありがとうございます。とってもスッキリしました」
「ええ。良いのよ。これくらいなら全然……」
と、私がまだ喋っている途中で水野さんが、突然私の言葉を遮って喋り続けるのだった。
「……日下部さんにお水を飲ませてもらって、ちゃっかり日下部さんの体に触れちおう作戦、大成功です!」
「……ん?」
「……はにゃ!?」
「……あら?」
この時、3人は水野さんが突然言い出した事に意味不明に固まり出す。特に水野さんは、恥ずかしさのあまり……顔を紅くさせていき、体を震わせていく。
「……あっ、あれ? 私なんで? 何で今……本音を……?」
「え……?」
「……はにゃ!? また!」
どうしたのだろうか? 水野さんの様子がどうもおかしい。……風邪によるものなのだろうか? さっきから変な事を言って、あたふたしている。
「……どうしたの? 水野さん?」
私が水野さんに聞き返すと、突如そこに……聞き覚えのある声をした何者かが保健室に入って来る。
「……かかりましたわね! 私の本音駄々洩れ薬に……」
「え? もしかして……水野さんに変な事をしたのは……まさか!」
その時、私たちの元に現れたのは、金髪に縦ロールの高級感漂う雰囲気の制服の上に白衣を着たお嬢様。彼女は、私達に言った。
「……日下部日和さん、今度こそ……貴方の弱点を……私が暴いて差し上げますわ!」
彼女は、手に持った謎の紫色の液体の入ったフラスコを私の前に突き出してくるのだった――!
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