お前は嘘つきだ!
天使のアンジェラから、俺と木下さんが両想いであることを伝えられる。
俺は彼女のことをそう想っていない。木下さんに話を聴いても、気になるかも? 程度だ。特に想っていないのは、話を聴けばわかる。
あの天使、ただのポンコツだろ。今度会ったら絶対文句言ってやる!
翌日。俺は寝坊して遅刻してしまった。校門で生活指導の先生に怒られたが仕方ない。自業自得だからな…。
怒られた後に教室に入ったら、木下さんは普通に授業を受けていた。
昨日遅くまでバイトしてたはずなのに…。彼女凄いな。
それからは普通に過ごす。俺も木下さんも、行動を起こさなかった。
当たり前だよな。俺達、接点がないんだから。
放課後。俺はさっさと帰り、自室でゲームをする。
アンジェラに文句を言いたくても、アイツの連絡先を知らない。
向こうが行動を起こしてくれないと、何も始まらないぜ…。
夕食と風呂を済ませ、自室で漫画を読んでいる時だ。
窓をコンコン叩く音がする。ここ2階だぞ? 誰が叩くんだよ?
俺はカーテンを動かして確認する。…アンジェラじゃないか!
ちょうど良い時に現れたな。文句が言えるじゃないか。
窓を開けて、アイツを部屋に入れることにした。
「わざわざ何の用だ?」
「2人が進展したか、聴こうと思って♪」
コイツ、まだそんな事言ってるのか?
「俺も木下さんも、想ってないんだよ。お前の勘違いだ!」
「そんなはずないって。晴ちゃんが嘘付いてる!」
「嘘を付いてるのは、お前だろ! ふざけるのもいい加減にしろよ!」
「……」
黙るアンジェラ。
見た目が中学生っぽいからな。怒鳴ると、ちょっと罪悪感が…。
「2人が両想いって知ったら、積極的に行動を起こすと思ったのに…。日本人はシャイって聞いたけど、ホントだったよ…」
1人でブツブツ言っているな…。
「お前の説明不足が悪いんだろ?」
仮に納得できる説明があっても、アンジェラの人柄で信じられんがな。
「だってあたし、説明嫌いだもん」
また子供のように駄々をこねる…。
「…こうなったら、実力行使だよ」
そう言って、立ち上がるアンジェラ。
「良ちゃん。明日を楽しみにしててね♪」
彼女は窓を開けた後、飛んで出て行った。
「…おい!」
すぐに窓の外を見たが、アンジェラは既にいなかった。魔法で消えたな…。
さっきのアイツの言い方、きっと木下さんに何かする気だな。
何かしたところで、あのポンコツ天使だ。大したことはできないだろ。
もしできたとしても、俺が彼女を正気に戻せば良い話だ。
慌てることはない…はず。
俺は楽観的に考えた後、ベッドにダイブした…。
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