第1話 春
桜咲く春。別れの季節が来るなら出会いの季節あり。アニメやラノベ、漫画ならぶつかって『あの時の!』ってなるパターンや、出会いは最悪で嫌われてから好きになったりとか色んなのがある。まあ現実はそんなことはない。
今日ものんびり学校まで歩く。まだ寒さが残りつつも暖かさが少しある。
歩く途中に見かける木々は立派に花をつけ桜を咲かせている。春と言えば桜はこいつが目立つからだろうか。
気づけば校門だ。前をチラチラ見つつも歩きスマホしている人、恥ずかしそうに手を繋いでいるカップル、イヤホンをしながら歩いてる人。今日も十人十色で色んな色を発している。
「おはよう!しろ〜!」
後ろから声が聞こえたかと思ったら俺の横にいる俊敏さ。いつもながら元気いっぱいだ。
茶髪ハーフロングで身長は150と数センチくらい。目がパッチリしている。というか朝から輝きすぎなんだよなその目。
そんな彼女の名前は『平山瑠璃』。とにかく元気いっぱいな子でムードメーカー的存在。たまになぜこんな子が俺とつるんでるんだと思うが、こいつはそんなこと考えてないからいいっかで疑問が溶ける。
「おはよう瑠璃」
「今日は待ちに待った入学式だね!早く後輩ちゃんに会いたいな〜」
「はいはい。紹介してやるから」
3年前。俺は仲の良い2個下の後輩がいた。その子は俺の通う高校に入ると意気込んでいた。俺がいるからという理由でだ。
時は進んで高校1年生、2年生。俺は瑠璃ともう2人の友人が出来た。そして集合旅行の時にその後輩が入学するかもしれない旨を伝えた。反応はそれぞれだったが歓迎ムードだったし会いたいとも言ってくれた。
だが俺は1つの不安があった。
それは中学卒業以降会えてないし連絡もとってない。それで俺の事や約束のことも忘れているかもしれないということだ。
スマホはデータが残ったまま壊れて高校入学と同時に新しいのを買ってもらった。それに加えて、中学と高校の時間の差が違うので余計に会えないということが起きている。なので会うどころか連絡すらもとれない。
「しろ〜どうしたの?辛気臭い顔して」
「3年間会ってない連絡してないから俺のこと、約束のこと忘れてるんじゃないかなって」
「はぁ〜。そんなことで辛気臭い顔してたの?」
「そんなことって……」
「いい?あの子にとっても大事な約束かもしれないんだよ?それに理由はともかく目標があるわけだから勉強だってするはずだよ?だからしろ〜のことも約束のことも忘れてないはずだよ」
「そ、そうかな?」
「そうだよ!」
そうだったら嬉しいんだけどな。まあこのことは今日分かるわけだし。
瑠璃の説得には納得をせざるを得ない。そんなに真っ直ぐな目で、真剣な声色で言われたら俺はその言葉を信用するしかないのだ。
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