78話 残念少女と鬼畜メガネ
「ユウ!」
巨人ゾンビに殴られた
ユウ(夕輝)Lv9 HP21/450
「大丈夫だっ」
なんとか絞り出したであろう声で、
「うぉらっ!」
「えいやっ」
『
「グォォオォ」
百騎夜行の二人が試みた反撃は、『
だが次の瞬間、大きな両腕を広げ、俺達を一気に掃討しようとやたらめったに腕を振り回し始めた。
太い腕が乱雑に打ち出される攻撃は、まるで丸太が吹き荒れる嵐そのものだった。
全員がその範囲から逃れようと、家の隅へと退避しようとするが、長いリーチを誇る巨人の腕からは逃れられない。
「みんな、目をつぶって!」
だからこそ、俺はここぞとばかりに両目を瞑って『
瞼の裏で強い光を感じれば、すぐに目を見開き『
「が……が、ぐ……おでは……な゛に゛を゛じでいる……」
なんと頭を抱え、朦朧としつつも『
この出来事に、その場にいる全員が
だが、『
「グガァァアアッ」
「っち! タロ、今のをもう一回やってくれ! もう一度でも、あんな攻撃をくらったら即全滅だぞ!」
そしてわずかばかりの間、『
その間にやれる事はやらなければならない。
まずは『
「やるしかないぞ!」
「せいやっ」
「はいです」
「突撃ぃ!」
「ちょこざいなっ」
『
だが、その身体はビクともしない。
みんなのアタックは多少の肉を削りとっただけに過ぎず、『
「ターゲットはゆらちーだ!」
次の攻撃に備えていた
「あ、あたし!? なんで!?」
「『アピール』を飛ばしたはずなのに……」
ドゴッと土が激しくめくれ、
ゆらちLv10 HP87/280
「攻撃の余波だけでっ! このダメージ!? ユウと違ってアタシが直撃なんてしたら即死ねっ!」
器用に地面を転がりながら、『
「もう一度、『アピール』! 多分、ゆらちーにターゲットが移ったのは、巨人ゾンビが赤属性に弱いからだ!」
夕輝が『
「なーるほどねっ。あたしの愛剣『
またもや夕輝が『
アンノウンさんも何かの
「
そして、『
「『
うちの神官ちゃんが放った二つの炎弾は、『
「ブフォ……」
しかし巨体ゆえの耐久力なのか、顔面が火傷でただれようが、焼け焦げようが敵が崩れ落ちる事はなかった。
「これでも、堪えてないな……『アピール』!」
敵の標的がミナへと移るのを防ぐために、アビリティを発動した
もう一撃を耐えられるか心配だ。
俺がそんな不安な気持ちになった時、ふとアシストログが流れる。
:風妖精のバフ『
妖精による独自の知識や見解を、フゥが
願ったり叶ったりだ。
いい子だぞフゥ! ナイスだぞフゥ!
『タロんタロんっ♪ あの光が怪しいんだよー! あの光をやっつけちゃおうよ』
うん? ……上空で漂っているだけのホムンクルスをどうにかするより、目の前の巨人に対応した方が理にかなっているはずだけど……。
それでも、自信満々にフゥが言うのなら何かあるのかもしれないと踏み切った俺は、フゥに上空へと飛び立つ事を念じ、『
その際に背後から轟音が鳴り響き、パーティーメンバー欄の
「おい、タロ! ユウにポーションを頼む!」
「ちょっと待って! あいつを倒した方がいいっぽい!」
すでに右手で小太刀を握りしめていたので、俺は残る左手で『
「無害な人魂なんて放っておけ! それよりユウが!」
「フゥ!」
前回、反撃された失敗を活かし、今回はフゥが上段から強風を発生させて相手が体勢を崩したところで小太刀の一撃を浴びせる算段だ。
いける!
ゆらめくホムンクルスは、俺の太刀筋に反応できない。
そう確信した瞬間、光の中の小人が嗤ったように見えた。
そして『
「くっ」
飛行経験は敵の方が一枚上手だったようだ。
直線的な動きの俺は、先が読みやすかったのだろうか。
難なく俺の攻撃を回避し、ふわりと上空を旋回した『
また衝撃波を受けてしまう。
そう思い、無理矢理に身体をねじまげて、せめて一太刀だけでも相手にいれようと奮起し、後ろを振り返る。
だが、そこには俺の予想を遥かに超える事態が起こっていた。
「え?」
青白い人魂には
「……助かった?」
何が起きたかさっぱりわからないうちに、矢に射抜かれた『
次の瞬間、大きな物が倒れる音とともに屋内がズシンと揺れた。『
「んん、一体どうなってるんだ?」
「あれ? どゆこと?」
お前がしでかしたんだろ?
眼鏡イケメンの俺を見つめる双眸は、そう尋ねてきている。
「ホムンクルスが消えると、巨人も倒れた……」
俺は……みんなも、錯覚していたのだ。
『
『
だからこそ、あの
謎は解けた。
解けたのだが、じゃあ肝心の『
そんな新たな疑問が浮かびあがった俺に、その答えがすぐ近くから発せられた。
「やりましたわ! この
弓矢を構えた女性
金髪のツインテールをご機嫌なワンちゃん並みに震わす姿は、まんま女子中学生なのに、その身に付ける装備は露出度が高いこと高いこと。
そんな禁断の果実臭を匂わせる美少女
「
彼女は高笑いをしながら、大声でそんな事を言っている。
「あ、えーっと……」
彼女が突然こんな所に現れたのには、困惑してしまう。だけど、助けられたのは事実だし、お礼ぐらいは言っておかないとだ。
みんながリリィさんに唖然とするなか、俺は彼女の方へと歩み寄って行く。
「『
だが、リリィさんの背後に素早く回り込み、首筋あたりにチョップを決め込んだ
「早い話、こいつも敵だろ?」
ドサッと地面に崩れ落ち、状態異常『
「お、予想以上に上手く決まったな。15歳以下の傭兵相手にも、状態異常アビリティは便利だな」
眼鏡イケメンは無様な醜態をさらす金髪ツインテ中学生を見下ろしながら、メガネをクイッと持ち上げる。
今後、
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