63話 男たちの密談
〈クラン・クラン〉
【公式サイト 傭兵たちの宴会 掲示板】
(ジャンル ●生活系)
スレッド名
【美少女】NPCと傭兵、その5【キャラ】
67:ようやく期間限定イベント、『妖精の舞踏会』が始まったな。これから約、二週間か
68:『
69:運営様のありがたいお言葉だけど……このイベント、言葉通りの仲良し会になってる所っていくつあるんだかなー
70:ミケランジェロとか支配者との大規模戦闘攻略に成り変わってるし
71:そうなのか? わりと規模の小さな村々では、陽気な音楽と食事がふるまわれるだけで、
72:誰もが戦いに飢えてるわけじゃない
73:ガチ勢もいれば、まったり派もいるってわけね
74:『妖精の舞踏会』。ある意味、出会いを推奨しているようなイベントでもあるな
75:でも実際、一緒にプレイできる
76:おい、おまえら。イベントの有用性を語りたいのであれば、イベントスレで書いてくれ
77:まぁ待てよ。こんな美少女
78:というわけで、ここのスレってわけだ
79:美少女が現れたってイベント会場はどこだ! NPCも可! みんな報告頼むぞ!
80:今のところ発見されている大規模な街といえば『先駆都市ミケランジェロ』、『呪いの雪国ポーンセント』、『鉱山街グレルディ』の三つか
81:『鉱山都市グレルディ』には『賊魔リリィ』が来たよ。
茶色の石畳が敷き詰められた会場で、たくさんの人々が集う中。中学生ぐらいの女子がポツンと立っている写真がアップされた。その少女は、眩い程に輝く金髪を頭の高い位置二カ所から垂らし、いわゆるツインテールという髪型をしており、少し退屈そうに腕組みをしていた。彼女は、深緑のレザーアーマーに身を包んでいるが、そのデザインが若干奇抜だ。というのも、肌の見える部分がかなり多い。防具からあられもなく覗く、膨らみかけた未発達の谷間は男達にこれからの将来を夢想させ、際どい短さのショートパンツからはプリンとしたヒップが、そこから伸びた太ももはまだ熟れていない、青い果実を思わせる。いろいろと、男にとって目覚めてはいけない禁断領域を掻き立てる服装だ。少々露出度の高い盗賊然とした恰好を装っている少女は、舞踏会に似つかわしくない服装だからこそ、周りからは余計に浮いて見える。
82:あぁ、あの盗人美少女か
83:詐欺師少女とも言われてるな
84:なんだったか。男性
85:それで、ダンジョン内で宝箱を発見するとPTを即切り。背後からのバックアタックで、宝箱を独り占め
86:マジかよ……えげつないな
87:被害者の報復活動は?
88:見た目通りに14歳らしいぞ
89:ってことは……15歳以下の
90:『ファーストアタックシステム』ってやつか
91:何でもアリっていう物騒な世界だから、子供を保護するってのはわかるけど
92:運営の方針には同意できるが、納得いかないシステムだよなー
93:ま、こんな中学生に色目使われて鼻の下を伸ばしてるロリコン共には丁度いいお灸ってやつだろ
94:この子、可愛いなぁ
95:あんな子になら騙されても、悔いなんてないぜ
96:ほら、こんなアホな奴らもいるわけだし
97:俺はビッチ系美少女は遠慮かな
98:じゃあ、お姉様系とか?
99:やっぱり、『先駆都市ミケランジェロ』で灰王攻略組に加わってる
何人かのむさ苦しいオッサン
100:あー。ドMな奴らはあそこに直行だな~
101:俺、馬車ないんだけど……。『灰王の宴場広間』にすら入れません
102:彼女の強力な
103:気性といえば、確か『妖精の舞踏会』初日でシンは周囲の
104:あぁ。なんだっけ、妹だか何だかを
105:その妹ちゃんというのがホレ、これだよ
そこに投下されたSSには、絶世とも言える、愛くるしい容姿を誇る銀髪の美幼女が映っていた。蒼いサマードレスに身を包み、上品な灰透明なショールを首周りにまとわせている。更に良く見れば、彼女の背後には羽の生えた小人、いわゆる妖精が三羽、懐くように飛び交っている。豪華絢爛な馬車から、妖精と共にふわりと下り出る姿は、まるで物語のお姫様が舞踏会へ赴く1シーンのように絵になっていた。
106:可愛すぎるだろ
107:惚れたわ。いや、崇拝だな
108:こうしてまたロリコンが一人量産されていくのか……
109:というか、狩人シンの妹って……この子、どうみても外人の血が混じってない?
110:異母姉妹とかか! 父親、許すまじ!
111:こんな幼く、美しい
112:あ! この子を俺は見た事あるぞ! 舞踏会初日の日に、ミケランジェロの城門前で押し問答してる馬車持ち
113:噂の姫様か! 俺達下位
114:謎のNPCじゃなかったってわけだ
115:それは天使ちゃんだのぉ。ようやく我々の出番とやらのようじゃ
116:あ、長老。こんちゃっす
117:マジ、ばんちゃっす
118:こんばんぽ
119:こんばんわでござる
120:ござるどん、こんばんどす
121:みなの衆、集まったようだね。さてさて、我が姫の話でもして、この砂漠にも等しい枯れ果てたスレッドに、うるわしい雨でも咲かせようか
122:ガチでメルヘン卿は、マジで仕切らなくていい
123:リーダーはござる侍でごわすよ
124:ま、そこには同意かな
125:ふぉっふぉっふぉ
126:何だと!? 今回ばかりはボクも姫のために大活躍だったんだぞ!?
127:なんだこいつら
128:美少女スレの新参者か。こいつらは熱狂的な天使ちゃんファンだよ
129:天使ちゃん?
130:さっきのSSにあった銀髪美幼女の
131:へぇ(笑)
132:
133:それをいうなら、ボクもでぷよ……まさか城門に入る前に、馬車に突き落され、反撃をしようとしたら分からず屋の
134:おいどんは……その日は私用でログインできず、面目ないでごわす
135:お前らの分は俺達が頑張ったし。気にするなよ
136:それにのぉ、わしらが天使ちゃんの助けに赴けたのは、事前にござる侍が彼女の行動パターンを予測しきってくれたから実現できたものじゃったしのぉ
137:ガチでマジでグッジョブ
138:
139:まぁまぁ、次の機会を
140:そうでごわすよ。焦りは禁物でごわす
141:キミ達は……いつまで傷のなめ合いをしているんだ。とにかく侍を慰める会は後にしてほしいな。ボクが知りたいのは、最近の姫の動向についてなんだ。話を先に進めようじゃないか
142:メルヘン卿、ガチで厳しい
143:空気よめぷ
144:じゃが、メルヘン卿の言葉も一理あるのぅ。近日中に、正確には『妖精の舞踏会』初日後に天使ちゃんを見た者はおるかの?
145:見てないでごわす
146:ガチで見かけない
147:……発見できなかったでござる
148:もしかして引退しちゃったぷ?
149:天使ちゃんなら、二日間インしてないぞ?
150:おお、貴重な情報じゃのぉ
151:てか、ガチでどこ情報よ
152:いや、ほら。天使ちゃんとパーティー組んでたメガネイケメンいたろ? あいつとフレンドになっておいたんだ。んで、そいつからさりげなく聞きだしておいた
153:間者活動、御苦労でござる
154:お手柄じゃのぉ
155:本丸を落とすには、まず外堀から埋めるでござるな
156:それにしても、すこし軽率でごわすね
157:ぽっぴぃ! そんな簡単に天使ちゃんの近況を明かすメガネイケメンはダメぽね
158:ガチで天使ちゃんファンクラブにはマジでふさわしくない奴だな
159:まぁ待てよ。男同士の友情も大事だろ。それに、俺の信頼があるから聞き出せたって見方はないわけか?
160:信用? それは、キミがここで情報を流してる時点で、甚だ疑問視を投げかけずにはいられないな
161:お前らは同志なわけだし……
162:ここで天使ちゃんの情報を求めてるのはどこの誰ぽかね、メルヘン卿ぽ
163:てか、マジで地味にそこまで把握してるのがすごいよな、ガチで
164:確かにのぅ。ジミーは凄腕じゃ
165:キャラもガチでジミーだったしな
166:誰が地味だ! リアルモジュールにしたら、ああなったんだよ!
167:・・・・・・
168:・・・・・・
169:いや、その、ガチでごめん
170:すまなかったのぉ・・・
171:なんか、そっちの反応の方が傷付くんだが!?
172:ぽ、ぽにかく! ジミー情報によると天使ちゃんは、ここ数日クラン・クランにインしてないぽね
173:あ、天使殿がいたでござる
174:え?
175:ガチで!?
176:ぽ!?
177:なんじゃとぉ!
178:ごわす!?
179:ちょ、どこだ!?
180:先陣突撃の栄誉をこの手に! これにて御免!
181:おいいいい
182:早まるでない若造め! 場所を言うのじゃ!
183:ぽおおおおお
184:ござるどんんんんんん
185:さっき言ったばかりだろおお! 男の友情だいじぃいいい
186:かくも儚きモノなのだな……
――――
――――
222:さっきの奴ら、やばくないか?
223:あぁ、けっこうやばいよな
224:でも、少しだけ楽しそうだったわ。ほんとに少しだけな
225:ていうか、語尾に『ぽ』とか『ぷ』って付ける奴いたけど、あいつキモいよな。喋り方に特徴があったから、クラン・クラン内で特定しちゃったんだわ
226:どんな奴よ
227:『空間魔法』って強力なスキルを使ってた
228:なんだ、そのスキル! 聞いた事ないぞ!
229:ボコられた時に、本人が自慢げに話してた
230:詳しく!
:《227のコメントは運営により削除されました》:
231:キター!(((・v・;)))
232:運営、仕事はやすぎだろ
233:特定のワードにひっかかるものは自動削除か……うまく、ひっかからないように説明しなくちゃいけないな
234:どうして、ここまで攻略に関わる情報に対して規制をかけるかね
235:アカウント凍結されないようにしろよー
236:一部を残して、けっこうな範囲の情報
237:とりあえず、美少女の話に戻ろうぜ
238:俺はNPCだったら賢者ミソラがモロに好みだなー
こうして、男達は美少女を追い求め、密談は続くのであった。
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