45話 嵐の前の静けさ

「ミソラさん、こんにちは」


 突然の賢者訪問に驚きつつ、俺は無難な挨拶を送る。


「賢者さま……こんにちはです」

「ミソラちゅわ~んっブホワッ」


 ジョージのミソラさんに対する挨拶は、賢者がその手に持つ杖の先端がオカマの顔面にめり込んだため、中断された。

 どうやら、右目にクリーンヒットしたらしく、床でのたうち回るジョージ。


「ホワッツゥ!?」


「変な呼び方はよしてくれないかな、くれるよね? 人間」


 有無を言わさぬ態度でオカマを絶対零度の眼差しで睥睨へいげいするミソラさん。

 登場から数秒で怖すぎるっす賢者ミソラさん。


「あっ、タロちゃんはなんて呼んでもいいからね? いいんだよ。ミソラお姉ちゃんとかいいんじゃないかな、いいよね?」


 うめくオカマを全無視して、賢者さんは朗らか笑みを携え、名案でも思いついたかのように腕組みをしながら『うんうん』と頷いている。


「ミソラ、おねえちゃん、ですか……」


「あるれ、あれれ。敬語なんかいらないわ、いらないよ」


「あはは……」


 完全にオカマを視界から消しているミソラさん怖えぇ。


「ほむ。そんなことよりも、今日はいよいよ妖精の舞踏会だね」


 いよいよ本題か。

 今から行くかどうかは別にして、このタイミングで賢者ミソラさんの出現は何か意味があるのかもしれない。

 俺はゴクリと唾を飲み込み、うなずく。


「あるれ、あれれ。タロちゃん緊張してるね? でも、大丈夫だよ。きっと楽しいものになるからさ。タロちゃんが人間たちに悪さをされたら、私は黙ってないから」


 物騒な発言をしながらも彼女はローブの袖をもそもそまさぐる。

 ミソラさん恒例の四次元そでのお出ましか。

 

 今日は一体、何がでてくるのやら。



「とは言いつつも、今日は面倒を見てもらうのはこちらの方かな? ささーおまえたちー出ておいで、おるれー」


 ミソラさんが呼びかけると、彼女の袖から羽の生えた小人がシュシュシュッと風を切るような速さで飛び出してきた。

 勢いのまま天井に行きつくかと思われた妖精たちは、クルリとこちらへ方向転換し、きりみ降下よろしく、俺に接近して来る。

 

「わわっタロだ!」

「タロタロ、久しぶりー!」

「ニンゲンの街、うるさいね♪」

「飛びにくいよ!」

「風が出しにくいよー!」

「でもでも楽しい♪」


 三匹の妖精たちは、俺をグルグルと周回してははしゃぎだす。

 半ば予想していた、妖精たちとの再会。


 やはり、『気ままな雲の流れ亭』でミソラさんがお願いしてきた、妖精を舞踏会に連れていってほしいという案件は本気だったようだ。



「みんな、久しぶり」


 にっこりと微笑みかけると、妖精たちもにぱーっと笑みを返してくれた。

 そしてピュンピュンと元気に飛び回り、落ち着きなさげにジョージのお店を見回す。


「ニンゲン、水晶の力、封じてる」

「ここにもー」

「あそこにもん♪」

「なんで?」

「どうしてー?」

「わからっない♪」


 騒がしい妖精たちの様子を、ミナは驚いているのかジッと眺めている。

 口を開いてはつぐみ、開いては閉じるを繰り返している。

 

 どうやら、うちの神官さんは初めて見る妖精に興味津々のようだ。


「妖精さん」


 俺が飛びまわる彼らに声をかけると、三匹の妖精たちはすぐに俺の前に整列した。なんか訓練された軍隊みたいに俊敏な動きだったのは気のせいか。

 だが、パタパタと羽を動かしながら、空中に停止する三匹はかなり可愛らしい。


「なにタロ?」

「タロ、どしたー?」

「タロッタロー♪」


 三者三様の返答だが、その全てが子供っぽい反応で思わずにやけてしまう。

 

「俺の友達を紹介するよ。となりの女の子がミナ。床で転がってるのがジョージ。二人とも今日は一緒に行動をするから」


「「「はーい!」」」

 

 妖精たちの元気のいい返事を聞いて、俺は隣でうずうずしているミナに目配せをする。

 ミナは俺の意を汲んで、おずおずと前に歩み出た。


「妖精さん、こんにちは。私はミナヅキ。よろしくお願いします」


 妖精たちを前に緊張でもしているのか、若干こわばった声だったが、ミナは笑顔で妖精たちに近づいた。

 だが、妖精たちはサッと後方に下がりミナと距離をあける。

 彼女の挨拶に妖精達の反応は首を縦に振っただけで喋ろうとはしなかったのだ。それどころか、はためかせていた小さな背中の羽をパタッと停止させ、どこか様子をうかがうような眼差しで警戒をしているようにも見える。


 あの羽って動いてなくても空中に飛んでいられるんだ……。



「ほむ、ふむ。森の中でも、一際警戒心の高い妖精を連れてきたわ。きたよ。好奇心よりも警戒心の方が強い子たちなの。だから下手な行動には出ないだろうし、タロちゃんの言う事には・・すぐ反応するようにも言ってあるの。あるんだ。どうか気を悪くしないであげて、タロちゃんのご友人」


 ミソラさんが妖精とミナの間に入り、そんな説明をしてきた。


「そうなのですか……」


 それを聞いてちょっとションボリ気味のミナ。


「妖精さんたち。ミナはいい子だから、そんなに離れなくても大丈夫だよ」


 ミナを避ける妖精さんたちをなんとか近づけたくて、そう語りかけてみる。

 すると先ほどまで止まっていた妖精たちの羽は再びパタパタと動き始めた。


「タロがそう言うなら」

「しかたないなータロぉー」

「タロっタロン♪」


 犬のしっぽみたいだな、妖精の羽って。

 急に上機嫌になる妖精たちを見て、ふとそんなことが頭に浮かんだ。

 

 三匹の妖精たちはその身をゆっくりとミナに近づけ、緩やかに彼女の頭の上を旋回したと思ったら、そのうちの一匹がちょこんっと俺の頭上に乗ってきた。


「わわっずるいーずるいー」

「タロっちタロっち♪」

 

 俺の頭上に居を構えた妖精に見習って他の二匹も俺の両肩にちょこっと座った。


「あるれ、あれれ。タロちゃんは本当に妖精たちに好かれてるわ、好かれてるよ。じゃあタロちゃん、私があげたドレスを着てこの子達と舞踏会を楽しんでおいでね? 楽しむんだ」


 妖精を乗せた俺に、ミソラさんはクスクスと笑いながら顔を耳に近づけてくる。そして『妖精たちのお守りは任せたわ、任せたよ』とささやいてきた。




:秘匿クエスト『風妖精のおり』が発生しました:

:【クエストクリア条件】妖精三匹のHPを、2時間の間、0にしないこと:

:【クエスト失敗条件】妖精が一匹でもキルされる:

:【クエスト報酬】ようせいの粉×100 スキル『風妖精の友訊ゆうじん』:


 発生したログにビックリするが、更にビックリするのはクリア報酬だ。

 ようせいの粉もかなり嬉しいが、スキル、風妖精の友訊!?


 なんだ、これは。

 ものすごく、ものすごく気になる。わりとかなり、いや、もうかなり。


 というか、ミソラの森にいる妖精さんって風妖精だったのか?

 なんか森にいるから木とか土とかってイメージだったけど。


 とにかく、このクエスト、失敗条件に妖精のキルが表記されてるってことは、攻撃されればダメージが発生して、モンスターや傭兵プレイヤーみたいにキルされるって事がありえるんだな。

 

 正直、妖精を引き連れて舞踏会に出るとか重荷以外の何でもないと思っていた。絶対、目立つだろうし、色々聞かれるだろうし、疲れるだろうって。

 

 でも、目の前にこんな素晴らしそうな報酬をぶら下げられてしまったら、俄然がぜんやる気が湧き出てくる。同時に警戒度も一気に跳ね上がった。

 

 こんな貴重なクエスト、失敗は許されない。



「任せてください!」


 鼻息荒く、ミソラさんにそう宣言する。

 ミソラさんはコクリと頷くと、未だ床に倒れているジョージとミナを見回し、ローブの裾を両手でつまみ、一礼をした。


「では、みなさん。タロちゃんとの舞踏会を楽しむと良いわ、良いよ。ちょうどお客さんも来たようだし、私はこのへんで帰るわ、帰るよ」


 お客?

 ミソラさんの言葉に首を傾げると、またもや鳴る事のないはずの来客ベルが揺れた。


 

「タロうじ! ミナうじ! はらはら、よかったでありんす!」


 輝剣屋スキル☆ジョージの扉を勢いよく開いたのは、いつもの艶やかな佇まいとはかけ離れたアンノウンさんだった。


「間にあったでありんすね」


 アンノウンさんは俺とミナを見て安堵しているのか、ホッと肩をなでおろしている。その横をとんがり帽子を目深にかぶったミソラさんがスッと通り抜けていった。一瞬、アンノウンさんはミソラさんに視線を移したが、すぐに興味が逸れたようで、そそくさと俺とミナに近づいてくる。



「良きかな、良きかな……二人がまだ『妖精の舞踏会』に行ってなくて、げにとてもこころよし」


:アンノウンより『蒼雲そううん流しはかま』が譲渡されています:

:受託or拒否:


 うんうんと一人で満足顔のアンノウンさんは、いきなり俺にアイテムトレードを飛ばしてきた。


「おお、これがミナのはかま……「完成したのですか!」


 俺がログに驚いてる横で、ミナが歓喜の声をあげる。

 アンノウンさんに飛び付く勢いで、背伸びしながら質問をするミナが少し可愛らしい。やっぱり自分の着るはかまが、舞踏会でお披露目できるかどうか気にしていたのだろう。


「ええ、長らくお待たせして申し訳ない」


 アンノウンさんは清々しい笑みで袴の完成を表明してくる。


「依頼主はタロ氏であった。ゆえにタロ氏に渡すのが常道でありんすね?」


「あぁ、はい。じゃあアンノウンさん、お代の方はいくらに?」


「大まけに大まけで、3000エソでありんす」


 フフフと笑い、袖で口元を隠すアンノウンさん。

 よかった。手持ちのエソが7000程あるので十分に足りる。

 俺はアンノウンさんに全額を払い、代わりに『蒼雲そううん流しはかま』を手に入れた。


「ミナ、キミのはかまだ」


 そして、ミナに袴を譲渡する。その際にミナがお金を払うと主張してきたが、俺も男だ。女の子にプレゼントをする時ぐらいちょっとはかっこつけて、全額もたせてほしいというもの。

 というのも、予想よりもかなり安価だったからこんな事も思えるわけで、これはアンノウンさんのおかげでもあるけど。


「ミナにはいつもお世話になってるから。これはそのお礼だよ。お金なんていらないから」


 ニカッと笑い、ミナに『蒼雲そううん流し袴』を譲渡すると『それだったら私だって、天士さまにはいつもお世話に……』とゴニョゴニョと口ごもっていたが、『ミナは俺のお願いが聞けない?』と尋ねてみると、細い首をふるふると振り、『あ、ありがとうございます天士さま』と、了承してくれた。



 その後、ミナはさっそくその袴を着てみた。

『蒼雲流し袴』は、下に行くごとに濃厚な青のグラデーションが施されていて、それに伴い、灰色の淡い模様が青を引き立たせるように、所々に織り交ぜられている。そして驚くべきは、その雲のような灰が下地の青を殺していない。つまり、透き通っているのだ。やんわりとただよう雲は蒼空を決して曇らせてはいない。


 さらに、腕から袖に掛けた部分、それと微妙にわきの箇所が薄い灰色に染まっており、そこは光の加減でチラチラと透ける。


 つまり金髪ロリッ子のわきや二の腕がすけすけ。

 

 普段、神官服で露出度が皆無の装備を着ているミナが、しっかり服を着ているのに見えるという特殊かつ局部的とはいえ露出している事実がなんとも男心をくすぐる。 

 その絶妙な健康美かつ、未成熟な妖艶さがなんともいい! 


 これぞまさに、合法金髪ロリ和装。

 

 ……おっと危ない危ない。

 ミナの言うロリゴンなんかじゃないからね?


 俺が、穴が開くほどミナのはかま姿を観察していると、背中をチョンチョンと叩かれる。


「タロ氏にはこれを」


 なんと、まだ何かあるのですかアンノウンさん。


:アンノウンより『灰透明なショール』を譲渡されました:


「これは……」


「タロ氏が『透明な灰暗色』を数多あまたゆずりたもうたおかげで、作れた産物でありんすよ。タロ氏が着る予定のドレスに合えば幸いでありんす」


 渡された装備品を見る。

 どうやらアクセサリーのカテゴリに分類されるらしく、肩まわりを覆う羽織り物のようだ。



『灰透明なショール』

【死者の灰を清め、曇りなき透明な御手によって紡がれたショール。灰透明なその色は、羽織っている者の首元や肩口を上品に透けさせて魅せることができる。社交界では殿方を魅了させるアクセサリーとなる逸品だ】


装備条件:知力70 HP50 MP40

レア度:4

ステータス:魔法防御+20 MP+10


特殊効果:三つ折りにされている布地を広げて、その身を包めば、灰色とその姿を重ねることができる。完全に透明な姿になるとは言えないが、灰色が多いフィールドでは目くらましに十分な効果を発揮することができる。



 特殊効果がこれまたロマンすぎる。

 まさか、俺が錬金術で造り出した色と裁縫職人アンノウンさんの手が合わさって作成された装備に、透明マント的な効果が発現するなんて。



「装備条件が70と高いことになっているでありんす……装備は可能かや?」

「もちろんです! ありがとうございます!」

 

 ゴミステータスと呼ばれている知力は錬金術のために上げているので、余裕です。

 俺は興奮気味に『灰透明なショール』を掴み、首に巻きつける。


「それはそうとタロ氏」

「ほいほい」


 さらに『灰透明なショール』をよりエレガントに着こなせないか、布地を折っては巻き付け方を試行錯誤しようとすると、アンノウンさんが疑問を投げかけてきた。


「その頭と肩に乗っている小人は何でありんすか?」






 アンノウンさんの疑問に妖精と答え、彼女の興奮と質問攻めに無難な範囲で返答していき一悶着収めた俺達は、いよいよ完全武装で【妖精の舞踏会】に向かう事にした。


 俺はミソラさんからもらったドレス、重力を6分の1に軽減できるという特殊能力付きの『空踊る輪舞曲ロンド』と着て、アンノウンさんからもらった『灰透明なショール』を付ける。


 やはり女性モノの装備は膝あたりがスースーとしており、落ち着かない。

 だが、せっかく舞踏会用にもらったモノだし、着るほかにない。

 

 さらにこのドレスは、俺が歩く度にフワフワと地上から10cm程だが浮いてしまう。

 

 それに合わせて妖精たちも、俺の周囲を飛びまわるモノだから、『絵になるわぁん』と床ノックアウトから復活したジョージは恍惚の顔で呟き、ミナに至っては両の手を結んで地に膝を突き、瞳を輝かせながら神に祈るポーズを取っている。


「あはは……」


 アンノウンさんはというと、『はらはら、げに美しゅう』とどこから取り出したのかわからない扇子をファサファサと仰ぎながら、凝視してくる。


 どうでもいいんだけど、ジョージの服が割とまともというか、普通でよかった。いや、コレをまともと思ってしまうのは既に俺の感覚が毒されているのかもしれないが。


 ジョージは深いスリットの入ったチャイナドレスを着ていた。


 これがアンノウンさんに作ってもらったオーダーメイドの舞踏会用のドレスであるらしい。燃えるような赤に塗り尽くされ、金の縁取りが際立つゴージャスなチャイナドレス。さらに、黄色のラメが散りばめられており、優雅さと力強さという印象を見たヒトに与える。そんなステキな服も、スリッドの奥から引き締まった黒い筋肉が見え隠れし、アフロ頭のパープルアイシャドウ、化粧が濃ゆいオカマが着ているものだから、うん、台無しである。

 


 アンノウンさんに謝れ、オネェ。


 まぁとにかく、これで準備は整ったのだ。

 そろそろ出発といこうじゃないか。

 


「じゃあ、みんな。いこうか」


 俺の合図を皮きりに、その場の全員がジョージの店を出る。

 みんなの足取りは軽く、それを目にした俺は緊張が和らいだ。


 屋内から屋外へ出たため、目に入った日差しが眩しい。俺は軽く影をつくるため、右手をかざしながら考える。

 

 光があれば、影もある。

 期待と不安が渦巻く【妖精の舞踏会】。


 無用に絡んできそうな傭兵団クラン、『一匹狼』はミケランジェロの舞踏会に来るのだろうか。なるべくなら来てほしくない。

 

 いや、来ていたって、あんな気に食わない奴ら、歯牙にもかけずに振るまってやる。どんな事が起きても対応できるように、この日のために色々と準備してきたんだ。

 俺は錬金術で作成した品々、アイテムストレージ内を確認し、後ろで待機している仲間を見渡す。



 相変わらず、ミナは可愛いし、ジョージはキモい。

 アンノウンさんはリアルの用事があるらしく、今日の舞踏会は出席できないそうだが、後日一緒に行く事を約束してある。



 とても心強い仲間たちだ。



 さらに今日は、ミナとジョージに加えて晃夜こうや夕輝ゆうきとも会場で合流する予定になっている。

 何を不安がることがあるのだろうか。

 肩をちょんちょんと触れてくる妖精のコロコロと変わる表情を見て、俺の口元には自然と笑みが広がる。



「行こうか」


 アイテムストレージから馬車のフィギュアを取り出す。

 これはミソラさんからもらったモノ。

 それを使用すると、『銀精アルジェントたちの馬車』が、街道に出現する。


 白馬四頭に引かれる立派な四輪馬車が金の粉を爆散させて登場したことに周囲の傭兵プレイヤーが一瞬ざわめくが、さらに俺がそれに乗ろうとすると、一段とざわつく声が大きくなった。


「我が主様、どちらに行かれますか?」


 御者の黒人間、クロスケが俺に質問をしてくる。


「ミケランジェロの王城へ」


【妖精の舞踏会】実装と同時に解放される、ミケランジェロの支配層エリア、ミケランジェロの王城へ。周囲のざわめきを置き去りに、俺達は出発した。




 ふと、馬車の窓から空を見上げると、気持ちのいい澄み渡った青が、ミケランジェロの上空を支配していた。






〈クラン・クラン〉

【公式サイト 傭兵たちの宴会 掲示板】

〈ジャンル ●生活系〉


スレッド名 【天使ちゃん】PvP【守護者たちの集い】



723:いよいよでござるな、みなの衆


724:だな。妖精の舞踏会か


725:ふぉっふぉっ、果たして天使ちゃんはミケランジェロの舞踏会に来るかのぉ


726:いつもミケランジェロにいるぽ。きっと、来るぽ


727:マジ、俺フレンドになるチャンス。マジでガチで高ぶる!


728:みな、目的を忘れてはならぬでござるよ


729:ござるどんの言う通りでごわす


730:たしかにな。今まで、天使ちゃんに近づく輩は俺たちが、なんとか撃退してきたものの、今回のミケランジェロで開催される妖精の舞踏会では大御所おおごしょが集結する


731:ちと、わしらの手に余るのぉ


732:個人個人で動くのも限界があるな


734:いっそのこと天使ちゃんのための傭兵団クランを結成するか?


735:っていうか、マジ俺ら天使ちゃんのガチ傭兵団みたいなもんだよな


736:ふひっ。彼女が作ったら即入団するぺろ


737:その可能性があったか。じゃあ今、誰かが作るわけにはいかないな


738:おいどんも天使ちゃんのいる傭兵団に入団したいでごわす


739:じゃが、明日はいかように天使ちゃんを守れば良いのかのぉ


740:むむむむ、無念でござる……



741:キミ達! そんな気概で、純真にして神々しくも尊き花をお守りできると思っているのか!


742:ぽ、その口調は


743:ひさびさのメルヘン卿だな


744:メルヘン卿、マジどっか行っておk


745:メルヘン丼でごわすな


746:ちぃとばかし、戻ってくるのが遅いんじゃないんかのぉ若造よ


747:おお、メルヘン卿、復活したでござるか!


748:ぐっ。復活が遅くなってしまってすまない。だが、ボクが戻ってきたからには、美しき花嫁を必ずや我が炎で守りきってみせる!


749:やれやれ、途中参加のくせに偉そうだな、メルヘン卿


750:まぁまぁ、みなの衆。同志が増えるのはいいことでござるよ


751:押忍おす! ござるどんがそう言うなら!


752:そうじゃのぉ


753:マジござるっちがそう判断するならマジおk


754:ござる侍に免じて納得してやるか


755:プフゥッ! しかたないぽね


756:少し見ぬ間に、なにやらござるサムライの評価が上がっているな


757:当たり前だ。一番、花を愛でるとか守るとかほざいてたメルヘン卿のお前がいなくなってから、ござる侍が中心になって天使ちゃんに危害を加えそうな傭兵プレイヤーを掃討してたんだ


758:メルヘンどん、敬意を払うでごわすよ


759:ボクは決して消えたのでは……ただ、自分を見つめ直し、鍛え直し、真に彼女にふさわしい自分になるために、研鑚を積んでいたのだ……


760:その間に俺達は必死こいて、天使ちゃんにちょっかいをかける輩の情報収集をしたり、暗殺、奇襲、乱戦と駆けずり回ったんだが?


761:まぁ楽しかったらいいぽっ


762:マジでガチで、あーいうの、ガチ初めてでハンパないっ!



763:それは、その。すまなかった……ボクとした事が……愛しの姫君をキミたちに任せきりになってしまうとは……



764:若いうちは頭を下げる柔軟さがあって良いのぉ。歳は取りたくないものじゃな


765:なんだかんだ、毎回メルヘン卿の話題が出てたでござるよ。みな、心配してたでござる


766:おい、ござる侍! ソレを言ったらまたこいつは調子づくからダメだろ


767:マジ、後の祭りww


768:で、ござるな。それがしとしたことは、これは失敬でござった


769:しかたないっぽ。とにかく、メルヘン卿、おかえりぽ


770:おかえりでごわす!


771:キミたちがボクの事を……そんなに思ってくれていたとは……まさか、ホモではあるまいな!?


772:ありえん


773:メルヘン卿、マジどっかいっておk


774:やめてくれぽ、メルヘン卿趣味じゃないっぽ


775:メルヘン卿がメンヘラ卿になったでごわす!


776:若いとは何とも、愚かしく、おもしろいのぉ


777:確かに戦国武将の間では、戦時に女子を連れていけない事から、戦場でそのような色事を繰り返していた人物はいるでござるが……それがしはもちろん未経験でござるし、そのもないでござるよ


778:ござるサムライのガチレスわろたぽ


779:と、とにかく、このボクが来たからには、彼女の安全は心配ない! キミ達も来る舞踏会に備えて、万端の態勢を怠らぬようにな!


780:いつの間にか仕切ってるよメルヘン卿


781:まぁまぁみなの衆。ここは、舞い戻ったメルヘン卿の面子を立てておくでござるよ


782:誰が仕切っても、わしらがする事は同じじゃろうしのぉ


783:我らが天使ちゃんを守る


784:マジで明日はガチ戦の予感w


785:ぷひぃっ。たのしみっぽ


786:ごわす!


787:天使殿の守人たちが、いざ参るでござるよ



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