第6話
二人であぜ道を歩いている最中に、女の子は言った。
もしかして、お墓をつくるつもりだったの?
僕は頷いた。
「死んじゃった生きものは、おはかをつくってうめないといけないんでしょ?」
うん、そうだね。…じゃあ、どうしてお墓をつくらないといけないと思う?
僕は、本や人から聞いた話で「墓をつくる」ということを知ったから、なぜつくるか、というのは考えたことがなかった。
「…分かんない。でも、死ぬのってかなしいことだから、おはかをつくったらかなしくなくなるのかもしれないよ。」
そういうと、女の子は驚いたように目を見開いた。
悲しくなくなる…考えたこともなかったわ。でも、だったらこの子のお墓は早いところつくらないとね。
そう言って、足を止め、僕の方を向いた。
「僕も、はやくつくりたい」
心からそう思ったので、僕は言った。
どこにつくろうとしてたの?
僕は場所を告げた。
すると女の子は眉を顰め、苦々しげに言葉を吐き捨てた。
あぁ…私と同じじゃないの。
「やっぱり、戻っておはかつくりたい」
そんなこと言ったって、お父さんお母さん心配するんじゃない?
「まだかえってこないよ」
彼女はため息をついた。
分かったよ、じゃあ戻ろう。これも宿命なのかなあ。
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