第2話
それから僕らは本格的にキャンプの準備を始めた。
誰がテントを持っていくのか、交通量はどのくらいか、七輪はいるのか、弁当は持参するのか…等。
夏休み目前ということもあり、皆が浮かれているのは目に見えた。
「先生!」
ある日の放課後、廊下で前を先生が歩いていた。
久しぶりに二人きりだった。
先生は振り向いてから微笑み、首を傾げた。
小走りで先生に追い付いてから、僕は尋ねた。
「先生、休みとれそうですか」
うん、キャンプに行きますって正直には言えないけどね。
先生と僕は歩きながら言葉を交わした。
「へえ、先生も嘘つくんですね。想像できないけど」
そう?人だったら少なからず嘘はつくものじゃない?
「まあ…そうですね」
そうだよ。じゃあ、気を付けて帰るんだよ。
「あ、はい、先生も」
先生が嘘をつくのは、何度考えたって信じられなかった。
先生は人じゃなくて、先生は「先生」だった。
少なくとも、他の先生やクラスメイトなどと一緒の人間だとは思っていなかった。
先生は特別だったから。
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