第7話 ダンスとマナー

 食事の時間にお父上より執務室へ来るように言われた。


 何の用事だろう、王都へ行く話かな。


「ライト、春に王都へ一緒に行くことになったので準備をしておくように」

「王都へ行くのですか?」


「剣聖ドジャーより王都の『祝福の宝玉』での祝福が必要と言われている、お前も聞いているか?」

「はい、何か不明な称号があるとの事で隠しスキルが有るのか無いのかも含めを確認した方が今後の指導ため必要と言われています」


「王都へ行っても、お茶会へは連れて行かない予定でだが、先方より依頼があれば連れて行くこともある、マナーとダンスは最低限は出来るように」


「お茶会へはお兄様を連れていけばよろしいのでは無いでしょうか」


「シャイニングは私が留守の間は、王都の学園が春休みで帰ってきて実務の勉強をする予定だ、王都に居るミラーは連れて行く予定だが、相手方の子供と年齢が離れすぎているとライトになるかもしれないのでしっかり勉強すること」


「我が家主催のお茶会はしないのですか?」


「シャイニングが学園を卒業する年に行う予定だな、子爵の我が家はそんなに頻繁にお茶会はしない、招待された上級派閥貴族へのお茶会への参加は必須なので、そのつもりでおくように」


「分かりました」


「勉強の予定はマナーとダンスが合格点になれば元の授業メニューに戻しても良いぞ」


 マナーとダンスの授業が嫌いという事をお父上には見透かされていたので合格点をとれるようになったら今まで通りの週一に戻してくれるってことでいいんだよね。


 2月までにマナーとダンスの授業で合格点を取れない場合は2月はもっと多くなるって事でもあることをこの時は知らなかった。


 剣術の修練は変わった事もなく、ドースを相手に<パーン>☆☆☆とドースに打ち込まれのは変わらず、魔法の方も訓練はしているが全く魔力を感じない。


 2月になりマナーとダンスの授業が急に3倍になった、僕の出来が悪く今のペースでは3月に間に合わないという判断で授業時間が増えた、僕はがんばっていたつもりなんだけどなー。


 王都への出発日が少し早くなった、シャイニングお兄様が春休みになる前に王都へ着くように行くらしい。


 お父上の代行は執事のアンドレーが毎年行っている、春は問題も少ない、今年はシャイニングお兄様も帰ってくるので大丈夫らしい。


 毎日ダンスの訓練をしている、剣術で使う筋肉と違う筋肉を使用するため、いつもと違うところが筋肉痛になり筋肉通のためダンスがスムーズに踊れなくなる、先生の厳しい指導を受ける毎日になっている。

 少しお休みが必要と思っているが、先生は乗り越えられる試練と言ってお休みはない。


 ダンスの相手は専属メイドのアイリスしかいない、相手をしてもらっているが、アイリスって貴族では無いのにどうしてこんなにダンスがうまいの?


アイリスに聞いても

「女性には色々と秘密がございます、この程度はメイドの嗜みでございます」などとどこかの御令嬢みたいな回答をされた。


 アイリスに僕のダンスはどうか聞いたら

「大分ましになりましたが後は足運びでしょうか、同じ年頃のお嬢様方と踊られるのであれば相手が力量不足でも相手の足を踏まない様リードして踊る事が合格ラインです」


「それじゃーもう大丈夫だね」

「明日からライト様がリードしてください」


 昨日出来ると思っていたが、アイリスがちゃんとリードしていた事が判明し、まだまだダンスの時間が続くことを覚悟した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る