第8話 魔物との初戦闘とスキル事情

 なとか、マナーとダンスに合格点をもらい、王都へと旅立つ日が来た。


 王都まで馬車で10日間であるが、あくまで何事もなければの話である、途中魔物・盗賊等との戦闘があれば、もっと時間は要する。


 ドラグーン子爵領と接しているラズール伯爵領との境界の山を越えると後はベルーガ子爵領を超えれば王都直轄地になる、街道は「魔の森」の近くを通る箇所もあり危険がまったく無いという旅ではない。


 この時期、貴族が春のお茶会・懇親会・派閥会合等で王都方面へ向かう時期なので出没しそうな魔物はある程度倒され、間引きされている時期ではある、今年は我々の行動が早かったのでどうなることか。


 師匠の聖剣ドジャーも一緒に王都へ行くことになっている、一般的な魔物程度が出てきても安心していられる。


「ライト様も今回魔物討伐に参加してください」


「えー、何を言っているのですか、師匠」


「私が見ていますので魔物と戦ってもらいます、あくまで攻撃より防御優先でお願いします、『魔境の森』と違い街道沿いにはレベルの高い魔物は出てきませんので日頃の訓練通りやれば大丈夫です」


「バックラーの盾とライト様に合った剣は用意してあります」


「お父上は知っていたのですか」


 ニヤリと笑い「一応相談は受けていた」と言われた。


 バックラーと剣は兄たちが年少の頃使用していた物で魔鋼等が使われている、子供が持つには過分な性能のものであった。


 大人は剣を常時携帯してたいる、子供には危険ということで魔物が出現したら渡される事になっていた。


「どなん盾と剣なのですか?」


「実践用の武器は修練に使用していた重さの盾と剣に近い物で強度が修練用より高くなっている、今夜見れると思うので我慢してして下さい」


 父親のホワイト子爵は武器を渡すのはもっと先になると思っていたが、途中で魔物が出る確率が高く、強い魔物が出ない場所なので、一度魔物との戦闘を経験させ色々確認したいとドジャーに言われ承諾した。


 ドラグーン子爵領と接しているラズール伯爵領との境界の峠を越えたところで、

「魔物が接近しています、ライト様準備をしてください」


 師匠の聖剣ドジャーにそう言われあたふたと準備をしているとランドウルフという魔物が近づいて来た。


師匠が

「ダルビー分隊長、1匹の残してくれ」と指示を出した。


 今回の護衛隊の司令官はホワイト子爵であるが全体の攻撃指揮は聖剣ドジャーに任されていた。護衛隊程度の規模での指揮は分隊長が行うが今回はライトの魔物との初戦闘もあるので攻撃指揮を聖剣ドジャーが行っている。


 最後の一匹を護衛隊が盾を使って取り囲み、逃げられない様している所にライトと聖剣ドジャーが現れた。


「ライト様、本物の魔物との闘いですのでくれぐれも気をぬかないようにして下さい、危険と思われれば私がお助けします、頑張ってください」


 聖剣ドジャーに用意された状況であったが初実戦が始まった。


 盾を構え近づくと牙むき出しの素早い攻撃が襲って来た、ランドウルフも一番小さく弱そうなライトを攻撃目標としたようだ。


 一撃目の攻撃は盾で何とかそらすことが出来たが攻撃までは至らなかった。

 (危なー、あんなにジャンプして攻撃してくるとは思わなかった)


 一旦下がったランドウルフは今度は足へ攻撃してきたがギリギリのところで躱すことができ、一撃を放ったがランドウルフにうまく攻撃を躱されてしまった。

(対人戦とは違い攻撃目標が低いので思い通りに防御・攻撃出来ない)


  何度か攻撃を盾で防ぎ、何度か攻撃をしたがランド・ウルフの攻撃もライトの攻撃も相手はへは届かなかった。

「これ以上は危険なので私が処理します」と言ったか言わないうちにライトの方に向いていたランド・ウルフの頭がコトンと落ちた。


「師匠って本当に凄いんですね」

「何を言っているジジイにはなったが聖剣の称号を何だと思っている」


「ライト様はまだまだこれからなので気お落とさないで、次も頑張ってください」

「また、次も魔物との戦闘やるの」

「日程の許す限りやります」と宣言されていまった。


 そのあと、ゴブリンと戦い、コボルトと戦い、オークとは危険なので戦わずと何回も戦闘が行われた。


 暇で退屈と思っていた馬車の旅が思わぬ方向へ行ってしまった。

「今日、初めて魔物のゴブリンを自分で倒しました」


父親のホワイト子爵は

「初めてがスライムでは無くゴブリンか」


「ドジャーが付いていて見ていてくれたから倒せた様なもので、危険になれは後始末はしてもらう、他の魔物が来ないかも警戒してもらっている中での戦闘で、すべて自分の実力で倒したのでは無いことをよく覚えておくように」


(自分の実力で倒したのではないことは良く理解しているが初討伐なので少しうれしかったのに)


「子爵様、やはり今年は魔物の出没が多いようですね、いつもは多くても峠で1っ回・魔の森付近で1回くらいなものです」


「そうだな、前回王都へ行ったときは1回も魔物との戦闘は無かったと記憶している」


「やはり、魔物が増える周期に入ってているのでしょうか」


「我が領の『魔境の森』は今の所、魔物が増えていると言う報告が上がっていない」


「魔物が増えている様に見えるのは、魔物が多く発生しているのか、強い魔物に自分の縄張りを奪われて移動しのかは、何年か経ってみないと解らないものです」


「魔物が増えると戦闘職のスキルが多く祝福されるって本当ですか?」


「今まで何100年かの間に魔物が著しく増加したことがあり、それに合わせて戦闘職のスキル持ちが増えたと歴史書に記されている」


 「王都では教会で祝福されたら市民のスキルを王城へ報告するルールになっている、戦闘系のスキルが多くなっているのか王都へ行ったら確認してみよう」


「スキルを報告する法律があるのですか?」


「特に貴族には国への報告義務がある、虚偽の報告をすると厳罰に処されたり危険なスキルを報告していないと騒動が起きた時に不利に働く、王族を守るためある程度厳しいのが王都の実情だ」


「ホワイト子爵様、王宮内には王都の教会より高レベルの『祝福の宝珠』が有るという話が有りますが本当なのでしょうか」


「実際に見たことが無いので王都の教会より高レベルかどうかは判らないし『祝福の宝珠』と同じものなのかも判らないが、聞いた話だと近づくだけでステータスが表示されるものがあるらしい」


「そんなものがあるのですか?」


「さっきの話に戻るが、スキルの虚偽報告をどうやって調べることが出来ると思う」


「王宮内に入る時に魅了系のスキル持ちの貴族・来賓は精神系スキル耐性のスキル持ちの騎士が近くで監視する事になっている」


「王族は精神耐性の魔道具を持っているので大丈夫だが使用人や官僚まですべて耐性や魔道具があるはずもない、このような監視体制になっているが偽りの申告をした者を発見するのはどうしているのかという事だ」


「王族の近くで仕事をする官僚・使用人・貴族たちは定期的に調べられているらしいぞ」


「本当の話ですか」


「下級貴族としては確かめようが無いので解らないが、突然の配置転換とかはあるそうだ、気を付けておくことに越したことは無い」


「実際に断罪された時、スキルを虚偽報告をしていると判明している事からも、何か調べる方法があるの確かだ」

「本当の事を報告すれば問題無いし、我が家には精神系のスキル持ちが居ないので安心だがな」


「精神耐性ってどうやったら獲得出来るのでしようか」


「ライト様、精神攻撃は術者よりレベルの高い者には効きずらいと言われています、精神耐性スキルまでなるには何回も精神系の攻撃を受けて覚醒してを繰り返すか魔道具をつけるかしかありません、一番簡単な事は自分のレベルを上げる事です」


「魅了とかのスキルも術者からの距離により効果が薄くなります、離れることが重要ですが魅了されると離れたくなくなるので難しくなります」


「騎士は精神系スキル耐性スキルを持っているの」


「修行ですね、私も精神系スキル耐性スキルを持っていますが、スキルを得るにはデバフをかけて戦う訓練が有ります。精神低下・能力低下・思考力低下・思考誘導などがありますがわざとかけてから戦闘訓練をします」


「最初の頃は耐えられなくて逃げだしたり、我を忘れたり、味方を攻撃したりひどいものです」


「スキルにならなくても精神耐性を獲得するのは先ほどの話したレベルの問題で高レベルになると精神攻撃がききずらくなります、耐性スキルを持っていても精神状態が悪い時は簡単に攻撃が決まる場合もありますから、平常心は常に大事です」


「精神系スキルや耐性スキルを獲得したからと言って何でも大丈夫とは言えません、特に異性関係の時にスキが出来るので夜の街は要注意です」


「なんで夜の街が異性関係なの?」


「ハッハッハ、まだライト様には早かったですかね」


「????」






 






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