第3話 修練開始

 10歳の祝福を過ぎると基本の素振りから対人戦へと修練が変更になる、これはスキルが不明のまま対人訓練をすると指導者が思わぬケガをすることになる。


「本日から剣など武術の相手をするドース15歳です、よろしくお願いしますライト様」


「素振りなどをして体を温めてから、本日から行う修練となります」


「木刀は素振り用ではなく、対人訓練用の木剣を使用してください」


 今日まで練習していた、素振りと型の練習をした。


「そろそろ、準備は良いですか、それでは始め」


 ドースに掛かっていくが軽くいなされて、


 <バシ> ☆☆☆といういい音を響かせて頭に一撃を打ち込まれた。


 あまり痛くないことが不思議。


「これは対人訓練用の魔道具の木剣ですから相手へのダメージは有りません、当たるとエフェクトが発生しますが痛くありませんよ」


「魔道具スゲー、お兄様の修練の時もこうなっていたのか」


「はい、もう一本取れるまで頑張りましょう」


「ヤー」

<バシ> ☆☆☆


「トー」

<バシ> ☆☆☆ 


「ヤー」

<バシ> ☆☆☆


掛け声を掛けて攻撃するも軽く躱され、跳ねのけられてドースからの一撃が<バシ> ☆☆☆。


「ハーハー、ドジャーまだやるの」


「まだまだこれからですよ」


 最初はこれくらいって無いんですか、剣を振るのと受けるには、力と体力が必要です、もう一時間はしてますよ。


「ヤー」

<バシ> ☆☆☆


「トーリャ」

<バシ> ☆☆☆ 


「ヤー」

<バシ> ☆☆☆


「<バシ>・☆☆☆ はい頑張って」


「ハーハー、もうダメ、アイリス」


「まだ修練時間はありますのでがんばってください」


 見守っているアイリスは何か冷たくないか、自分の事では無いし、僕へのお世話が仕事だから声援はしても、助け舟は出してくれないよー。


「ドジャー先生こんな魔道具の木剣があるのに何で10歳まで対人訓練をしないのですか?」


「有名なところでは倍返しというスキルが問題で防御貫通で尚且つ攻撃量を倍返しするというものでライト様は今日何回攻撃をうけましたか?」


「いっぱい」


「ハハハ、たとえば100回攻撃を受け尚且つ最後の方は体力も限界付近だと勝手に防衛のためこのスキルが発動するとどうなると思いますか」


「ダメージ貫通系のスキルは防御を貫通します、ダメージ量は魔道具で減らす前のダメージ量なので少し危険かと思われます」


「だから攻撃を全部躱すのではなく、ある程度受け止めてくれるのですか」


「魔道具の木剣は生物へのダメージは減らしてくれます、木剣への威力は変わりませんので力量も判断できますから」


 あまり痛く無いのは良いのだが、それでも打ち込みを全力で行うのは体力が必要だ。

 

 あまり痛くは無いが、何回も体に木剣が当たりいい音が出る、何回死んだと思ったことか。


 これからこれが毎日続くのかー、早くドースに一撃を入れれるようになるぞ。


 その次の日も・その次の日も同じような光景が続いた。


「一週間たって少し剣撃への対応がおろそかになっていませんか、初心者が修練の最初に陥ることですよ、痛く無いからって『肉を切って骨を断つ』の様な戦いかたは関心しません。そのような戦い方では生き残れませんよ」


「この魔道具が出来た当初、この魔道具に慣れすぎて実践で死亡する者も居ました」


「実践では死んでしまいます、ライト様はしっかり守りの剣を行ってください」


「ヤー」

<バシ> ☆☆☆


「剣の基本は相手剣に当たらずに、己の剣を相手に当てるという事です、相手に剣を当てて、相手の剣に当たらない様にするのではありません、防御が先です」


「ヤー」

<バシ> ☆☆☆


「今は格上に対しての修練なのでライト様から攻撃していきますが実践では防御中心と考えてください。攻撃している時に相手がどんなふうに防御しているがよく見て考え覚えてください」


「ヤー」

<バシ> ☆☆☆


 <バシ>☆☆☆ ってやってみたかった、普通に攻撃してもあっさり止められる。


「攻撃が当たるのはしばらく先のことです、ライト様はまだ実践経験がありません、ドースは魔物との実践経験もありますからレベルも上がっています」


「ドースはこれからも上がっていくはずです、ドースはどんどん強くなり、ライト様は少しづつ強くなるのでもっと努力しないとレベル差の分どんどん差は開くままです」


「えー・・・、僕は実践経験はいつになるの?」


「予定ですと、もう少し剣捌きとかが上達したらです、最初の相手はスライムですかね」


「いつ頃の予定ですか」


「11歳になる前でしょうか?」


「庶民は10歳になると冒険者登録できますから街の外に出るとすぐに魔物との戦闘はあります、ライト様は子爵様のお子様ですから安全に戦えるようになってからだと思います」


「そうですね、せめてドースの攻撃を受け止められ程度になっていただかないと、危なくて実践には出せません」


 どんどん強くなるドースの攻撃を受け止めるって、今でも1撃しか止められてないのに無理じゃない。


 それに僕のスキルはレベルの弱い相手にしか通用しないのに弱いままではだめなのに・・・。


「おしゃべりは終わりにして修練を続けますよ」


「ヤー」

<バシ>☆☆☆


「トー」

<バシ>☆☆☆ 


「ヤー」

<バシ>☆☆☆


 今日も何回<バシ>☆☆☆と打ち込まれた事か、あー早く<バシ>☆☆☆としたい。


 昨日も、今日も、明日も修練は続くよどこまでも、今日も<バシ>☆☆と成っていますが少しエフェクトのキラリーンが少ない感じだ、少しは防御出来て来たのか?


「道具の魔力切れですかね」


「魔力が切れかかるとエフェクトか少なくなってくるのです、交換しないと危険なので交換します、ゴブリンの魔石なので値段も高くないです」


「そ・そーなんですね」


見ていると簡単に剣の柄を開いて魔石を交換した。


「交換終わりました、修練を再開します」


<バシ>☆☆☆


「大丈夫そうですね」


「ハーハー、もうだめ」


「本日の修練は終わりにします、ドースはまだまだなのでいろいろと隙があります、もう少し相手をよく見て戦いましょう」


「スキって何ですか」


「はっはっは、それを自分で見っけるのが修練です、早く見っけないとどんどん隙は無くなっていきますよ、ドースは兵士なので午前中は別な訓練して、ますます強くなってますから」


 強くなるドースの攻撃を受け止めるって、今は1撃を止められても、そのうち止められなくなるという事ですか?


 僕の目標は果てしなく遠にどんどん離れていくような気がしています、僕に必要なのは相手の攻撃を受けないで躱す事なのか?


 修練の後はボロボロで泥に汚れていた、この後お風呂に入って着替えて少し休んで夕食だ、最近は夕食前に寝てしまい起こされて夕食に行く事が増えた。


 修練が始まる前の訓練は午前だったのに修練を午後やる意味がわかる、午後座学だとそのまま居眠りしそうだ。







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