第24話
深夜二時を回ったところだ、イヤモニの無線から応答が入る。
『準備はええか?』
「無問題 モウマンタイ」
耳に手を当て返事を返したのは、漆黒の闇に溶け込むように静かに佇んでいた夜雨だった。
『久々に聴くな、お前の広東語』
ケラケラと緊張感のなく笑う棗に夜雨がぴしゃりと言う。
「やかましい」
そこへ、ジジッと音を立ててイヤモニからため息が聞こえてきた。
『楽しそうなところ恐縮ですが、あまり暴れないでくださいね』
いい大人の緊張感のない話に呆れたスクロが間に入って念を押した。先日のガロンの一件いらいスクロは二人の補佐兼尻拭いを任されることになった。表に出てはまずい物を片っ端から消していってもらうためだ。これもアルバートの鶴の一声だった。
「まぁええやない。スクロくん、楽しくやろな?」
イヤモニ越しからでも分かるスクロの年相当の不貞腐れを棗は宥め夜雨と合流した。
「さて、そろそろ時間やぞ。夜! さっさと悪い奴とっ捕まえて病院の子達救うで!」
「ハイハイ」
見上げると月が隠れ、黒く厚い雲が怪しく空を覆い始めていた。時期に雨が降る。
すると目標の部屋の電気が消えた。それを合図に棗が不敵なそれでいて不気味な顔で微笑んだ。
「行くぞ」
いつもと違う低い声色に夜雨は妖艶に微笑んだ。
「そう煽んなっての」
二人は夜の闇に溶け込むように消えて行った。
終
ダークレイン こうやゆた @yuta000
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます